2話:閃光の勇者
「あっすな〜職業なんだったん?」
「うわぁ」
クラスのムードメーカーである親友の秋山今日香に後ろから抱きつかれた。悲しいが、私と比べーー比べなくてもかなりの質量があるものを携えた彼女のほぼ全体重が上半身の下に方にかかりよろめく。
「私? 私は付与術師だけど」
「魔法使いか〜、あたしは魔法剣士だった〜」
ズレた黒縁のメガネをクイッと上げながら答える。
「フェンシングやってたから順当な職種か」
「あたしが明日那のこと守るよ」
「んで、私が今日香のことを支援するってこと?」
「そうそう、二人いればどこへ行ったって最強ってことで」
何気のない会話をする。でも、少し、今日香に元気がない。やっぱり怖いのだろうか。急に右も左も分からないところに飛ばされたのだから冷静でいられるほうがおかしい。
「だいたい確認できたな。じゃあ、一人一人、職業と霊装のタイプを記録させてもらう。順番に来てくれ」
そう、ルシウスが言うと、ざわついていた部屋が一気に静かになった。その後、扉の近くにいた男子のグループから、順番にルシウスの前に行く。各々、ルシウスの前で霊装の出し方を教わり、見せていく。剣、槍、斧、籠手、刀、杖、短剣、弓……と、凝った装飾の武器を出していく。そして、私たちの番になった。
「名前は?」
「神崎明日那、付与術師」
「わかった。頭の中で霊装と強く念じるんだ」
言われた通り、霊装と強く念じる。自分だけの専用武器ってかっこいいなぁ、剣かな? 魔法使いだから杖か。
そう、楽しみにしていた。だが、出てきたのは。
「……盾ですね」
左腕に、針がむき出しのアナログ時計のような、円形の盾引っ付いている。裏は歯車があり、その隙間から異空間がのぞいている。
「まあ、盾は霊術が強い傾向があるから」
全くフォローになってない。まあ、味方を強くするために自分を守れということか? それとも、触手で戦えということか?
「次」
「秋山今日香、職業は魔法剣士です」
「霊装は……刺突用の剣か」
今日香の武器は予想通り、細剣か。反応的に細剣という言葉はなさそうだが。
その後も、順に前に出ていく。大体、4人ぐらいあとだろうか、部屋にいた騎士がざわついた。
「君が勇者か」
そういったルシウスの前には、学級委員長である、早川光が立っていた。
「俺が、勇者?」
「そうだ、その魂紋、それは勇者紋といわれる、勇者のあかしだ。称号に何か増えただろう」
「え? えっと……閃光の勇者ですね」
「そうか、閃光の勇者、ハヤカワヒカル、君にこの国の命運を託してもいいかな? 断りようもない状況で済まないが」
勇者――異世界物ではかなりありふれた設定。だが、あとあと精神病むまでテンプレート。昨今の小説家は本当に性格が悪い。
そんな級長精神崩壊ルートのフラグが立ったというどうでもいい事は置いといて、これから先どうするか、だ。まず第一に安全。最低限、私と今日香は確保しないと。第二に帰還。これに関しては、私の時空間転移でどうにでもなる。となるとまずは……
「強くなることか」
ひとまず、アルヴァスティ国王ぶん殴って黙らせるくらいには。放置して魔王に滅ぼされるなら、異世界耐久鬼ごっこもいいな、魔王戦の切り札である級長担いで。これするにはクラス全員でこの王城を脱出しないとだけど。
そんな未来設計図を広げていると
「それでは、部屋に案内します。明日から、訓練を行いますので今日はゆっくり休んでください」
そう言われ、二人の騎士はホールをあとにした。
明日那と今日香は対比になっていて、一例を出すと
高身長(167㎝)の明日那と低身長(149㎝)の今日香
まな板の明日那と巨乳の今日香
父子家庭の明日那と母子家庭の今日香
(表向きでは)インドアオタクの明日那と幼い頃からフェンシングを続けている今日香
と、かなり、真逆に作ってます。
勇者紋ですが、通常の魂紋の中央を貫くように剣の紋様が描かれています。




