ごみ清掃ってわけだな
官房長官の依頼は乾いた笑いが出るレベルのものだった。
全国4つある『ブラックファング』の拠点を同時に破壊する作戦に参加してほしいとの事だった。
先日のテロリスト十人を生け捕りに出来たことで細かな拠点を特定しほとんど潰すことが出来、残すところ大きな拠点四つまで追い詰めたらしい。
相手が、守りに入っている所を無理やり潜入し壊滅に追い込んで欲しいというのが依頼だった。
かなり大規模な作戦で全国八カ所のSATから一分隊ずつ選抜隊があつまり、陸上自衛隊からも第1空挺団第一小隊が参加。海自上自衛隊から特別警備隊も小隊規模での参加が決まっている。
はっきり言ってそれだけの戦力を注ぎ込んでいるのであれば俺などいらないと思うのだが、官房長官は迅速に拠点のトップを潰し表の部隊は逃げるテロリストの処理として機能させる。
すなわち、実働部隊は裏の組織の少数精鋭に任せる気でいるのだ。で、神居市の一大拠点を俺に潰して欲しいとの事だ。
俺は皆の料理を全て提供し終えてから腕を組み、明美に話しかける。
「同時襲撃の手が足りてないのか?」
死ぬほど甘いマンデリンを美味しそうに飲んでいた明美がすまなそうに口を開く。
「私も駆り出されてるけど、規模的に言えばWが一拠点持ってくれたら成功率は跳ね上がるかな?」
明美の言葉を結が補足する。
「今動かせる実行部隊を四つに分けるとどうしてもアタックとスカウトできる人間が足りないんだよ」
アタックとは主に襲撃時に敵を無力化する戦力の事、スカウトは先頭に立ち敵戦力の分析及び分断等を行い作戦行動をスムーズにする役割の事だ。
「君の事情も聞いているから無理を言えないとは思っている。ただ、先日の襲撃失敗を受けブラックファングの幹部が増援及び日本支部の立て直しに来るという情報が入っているんだ」
確かに、Ashは傭兵や裏の世界では成功請負人として広く名が知れている。それが、これだけの失態を犯せばそれ以上の戦力を出してくるのは通りだ。
「分かった、情報と装備調達の資金と武装許可が欲しい。後、非殺で行くから後の事はそちらに任せる。俺は殺し屋じゃない」
官房長官は椅子から立ち上がり深々とお辞儀をするとカーネルママといくつか話をしてから、珈琲のお代を置いて立ち去っていった。
ふーっと一つ息を吐き、カーネルママを睨む。案の定、クネクネして私のせいではないわ〜と言っている。
「マスター、おかわり頂戴」
場の雰囲気を読んでいるのか、読んでいないのか明美が底に砂糖が溶け残っている珈琲カップを掲げておかわりを要求してきた。




