すのうどろっぷの日常へ
〜神居市市街〜
あれから俺は警察に通報。それともう一件連絡を入れる。ディスプレイには『大佐』の表示
。
「Wだ、今終わった。後始末を頼む。Ashまで出てきた件だ懸賞金もあるから平気だろうが、足が出た分は全部出すからよろしくな」
電話口の昔馴染みは明るく元気な声で、いいわよんと答え電話を切った。あいつに任せれば事後処理で俺の存在は浮上しないだろう。俺は今は一般人だ。厄介事はごめんだ。
サイレンが近づくのを待って心春をZephyrの後ろに乗せ家まで送っていった。
心春の親御さんには、取材後に知り合いとの打ち上げが長くなってしまい俺が迎えに行ったと伝えた。親御さんとは同年代で信頼されており、すんなり受け入れてくれた。
次の日は、鋼一家が夕飯を食べに来たのだが小糸ちゃんが見せてくれた紙芝居が衝撃的だった。
昨日の階段の飛び込みを見てインスパイアを受けた逸品だそうで、クレヨンで繊細に描き込まれた絵もさることながらストーリーが斬新というか既視感があるというか…………
アサシンが恋人を助けるためマンベレを使うテロリストと戦うアクション大作だった…………
鋼にこれは? と問うと
「三歳児の発想力はすげーよな」
と言われた………あぁそうだなとしか答えられなかった。ちなみに心春は純粋に楽しんでいた。
水曜日は明美が来て小春とたくさん話しをしていた。あぁしてはしゃいでいれば明美は可愛いのにな…………んっ、らしくないな。
明美には溢れんばかりに肉を詰めたケバブとビールをご馳走した。酔っ払うとやたらと銃を分解して、早組み立てをする変な癖は相変わらずだった。
早組み勝負を申し込んできたので返り討ちにしてやると、子どものように悔しがる。相変わらず戦場との温度差がある明美を見て、平和の尊さを実感する。
今週は、週初めから濃い1週間だったがようやく金曜日。午後七時になり定番の閑古鳥が鳴いている。
「マスター、誰も来ませんね」
相変わらず、手を止めずに声を掛けてくる心春。そんな彼女にねぎらいも込めて賄いを出す。
「心春、金曜日に食べたいと言っていたサバサンドに、いつものカフェオレだ」
朝俺が焼いた大きめのバケットに紫玉ねぎとサニーレタスをたっぷり入れる。皮目をバッチリ焼き揚げ外側はカリッカリで中はふんわりに仕上げた大きめの鯖が野菜の上に乗る。味付けは俺特製のスパイスとレモン汁と塩とシンプル。
すのうどろっぷで一番人気のサバサンド。普通はシェアして食べるサイズだが。
「いただきます。ん~~外側パリッ、中はふわ~のバケットの中に野菜たっぷりで外カリ中ふわのサバが待ってる。ダブルの衝撃!脂の乗ったサバの味をスパイスとレモン汁がいい感じに爽やかにしてくれる」
一息で感想を言ったかと思うと、無心に頬張る。早いががっつくわけでなく、心底おいしそうに食べる心春。
食べ終えて、またもや忘れていたカフェオレをちびちび飲みながらキラキラした目で俺を見つめてくる。
「マスター、私が言うことじゃないけど無茶はしないでください。いつまでもおいしい賄いが食べたいから!」
ふっ、心春は本当に面白い子だ。
「マスター、改めてこの間本当にありがとうございます。これ、気に入ってもらえるかわからないけどお礼です」
心春は、すのうどろっぷ・マスターと書かれたシルバーのドッグタグを俺に渡してくれる。
一瞬ドキッとする。しかし、この子は二枚目のドッグタグの意味を知らないのだろう。
二枚目は戦士が旅立った時、家族に返されるもの……………
死ねないな。死ぬつもりもないが、これを受け取った時の心春の顔を思い浮かべたらと思うと。
ドックタグをぎゅっと握りしめ、心春に心からの感謝を伝える。
「ありがとう。大事にさせてもらう」
今日も、すのうどろっぷには平和が訪れた。
いかがでしたか?
ひとまず一段落です。
次の物語りが紡がれるまでしばしの休息が訪れます。
すのうどろっぷの面々は貴方にまた、おあいできることを楽しみにしております。
是非ブックマークをしてお待ちいただけると幸いです。
では、また雪の一雫が落ちる夜に。




