制圧戦
闇に紛れる。
光学迷彩と電子迷彩の組み合わせによりナイトビジョンやソナービジョン、肉眼での発見を困難にする。
ボディアーマー全体の連携、そして俺の気配操作の技術が組み合わされ狭い通路の目の前を通る二人の警戒した暗殺者をやり過ごす。
そう本来なら見張りなどではなく攻勢に使わなければならない暗殺者だ。今回の拠点回復作戦はブラックファングの総力戦。実働出来る構成員だけでなく金に物を言わせて大量に雇い入れた者達の物量と武力で押し通ろうとしている。
その為、人員の場違いな使い方や大量に雇い入れた事で内通者を取り込み政府の付け入る隙が生まれた。
M4カービンを片手に下げている暗殺者の背後から忍び寄り左手で口を塞ぎ右手で頸動脈を絞め沈黙させる。
隣を歩いていた内通者にハンドサインで、今までの進捗を伝え通路の脇に後ろ手で拘束した暗殺者を転がす。
内通者は手早く通路脇2メートル程上の通風孔を開け片膝を着き、バレーのレシーブのポーズをとる。
駆けて行き足を彼の手に乗せ勢いをつけて通風孔に飛び込む。
背後で通風孔を閉じる音がしたのを確認し先を急ぐ。
まずはブリッジに急ぐ。百二十メートル級の中型タンカーの中では小さい部類に入るこの船のブリッジはこの場所から十メートル上にある。
垂直の狭いダクトに張り付き上を目指す。途中、横穴がありテロリストたちの動揺の声が聞こえる。海上保安庁の立ち入り検査をどう切り抜けるか口々に言い合っている。寄せ集めの集団の為、まとまりが感じられない。
声のしている場所を把握しながらブリッジを目指す。
狭い横穴に体をねじ込みブリッジ上の通風孔に到達し、ブリッジ内を視認する。機関士一名に航海士一名武装した見張り二名の計四人。
通常四交代制なので恐らく船を動かせる人員は他にもいる。ここの人間を鎮圧しても替わりが来れば船は動く。
ならばと、通信を送り陽動作戦を指示する。
けたたましいサイレンと四カ国語同時の停船警告が特警の船舶から大音量で流れる。
それに合わせて、通風孔を蹴破りブリッジに踊り込む。近くの航海士を押さえ込みテーザーパッチを貼り、左胸の銃を抜き強力な弛緩剤を護衛二人の太ももに打ち込む。機関士に組付き三角絞めで落とす。
素早く全員をまとめてワイヤーで縛り上げる。二カ所あるドアノブ付近に特製樹脂の入ったカプセルを投げつける。空気中の水分に反応してピキピキと固まっていく。
登攀ワイヤーを通風孔に投げ込みフックが引っかかったのを確認してからワイヤーを縮め宙に浮く。
入口と操縦コンソール付近にスタンマインを撒き、通風孔に体を滑り込ませ先ほど声のした横穴付近まで戻っていく。
さぁ、最後の仕上げだ。
今度は俺が鬼。
とんだ運命の巡り合わせ、一徹さんを殺害した殺し屋Needle。
今回の確保対象を見つけに行く。




