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いつまでも いつまでも  作者: 成瀬 慶


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愛しい香り

目を覚ますと、栞の匂いに包まれていた。彼のベッドに寝かされていた私は、状況を把握できていないまま体を起こす。倒れた時に、頭を打ったのかな?痛い。栞は私を心配そうな顔で見つめていて、その向こう側には、さっき会った綺麗な女性と、外人モデルみたいな男性がこちらを見ていた。


「悠ちゃん、よかった~!!もう目が覚めないかと思った」


私はキョトンとした顔で回りを見る。三人はホッとしたように顔を見合わせて笑った。


「紹介するよ、ジョエルとミシェル。ジョエルは同じ大学に通うルームメイトで友達。ミシェルはジョエルの彼女だよ。

ミシェルは別に暮らしているんだけど、よくココに来て、三人で食事したりするんだ。」


良かった。この強気な美人さん、栞の彼女じゃなかったんだ。


栞は無邪気な笑顔で、私に二人の説明をする。流暢な英語。大人に見える。二人も既に私の事を聞いていたようで、こちらへ来てはぐしてくれた。

しばらくしたら、二人は用事があったのか?気を使ってくれたのか?私たちを置いて出かけて行った。


二人になると栞は、私に温かいミルクを手渡して、ピタリとくっついて横に座った。


「悠ちゃん、突然来るからびっくりしたよ。嬉しかったけど。」


優しい顔で笑う。少しまた大人っぽくなったみたい

横顔を見つめる。窓から入る自然な光が栞の肌を反射しているようで綺麗。見とれてしまう。

会いたかった。


「どうしたの?」


私の方を見る栞。綺麗なオレンジ色の瞳。そこに映る自分が幸せそうにしている姿が分かる。


「会いたかった。どうしても会いたかったから、

色々考えないで来た。涼太の部屋からこれを勝手に持ってきたの。」


私は栞にエアメールを見せる。栞はそれを受け取ると、笑いだした。


「悠ちゃん無謀だよ!!これだけでココまで来たの?凄いな!!」


そう言って私を抱きしめてくれた。


栞、何も聞かないのかな?

早川のこととか、今の心境とか。


だけど、そんな事はどうでもいいのかもしれない。


懐かしい温かさ。柔らかくて、良い匂いがして、

優しい。包まれたその胸は以前より大きく思えた。

この状況だけだとしても、私はこれを求めていたのだから。詳細を語るのは、後でいい。


何故か、

二人で抱き合って泣いた。


不安やら。

安心やら。

苦しさやら。

嬉しさやら。


よく分からない感情はどれもお互いに同じで、失った人だと思っていたから、それがとても愛しく思えた。


その気持ちはとてつもなく熱をおびていて、私たちは、何度も何度もキスを繰り返し、求め合った。


・・・ ・・・ ・・・


何時間たったのだろう?

裸のままで、一つの毛布にくるまって、私たちは、まだじゃれ合っている。

感情のままに脱ぎ捨てた服や下着はベッドのまわりに散らかしたまま。

栞は私の背中から抱きつき撫でるように指を絡ませる。私も彼の白く柔らかい指をそっと握る。


「悠ちゃん、好きだよ。」


私は振り返り、栞の顔をじっと見つめて、


「本当?」


栞はにっこり笑って頷く。


「・・・会いたかった。

もう会えないって思ってたから・・・。嬉しい。」


私は彼の胸の中で、やっと今を語り始める。早川から聞いた事。早川のプロポーズを断った事。栞を好きなことは私にとって揺るぎないと言う事を、全て包み隠さず話した。


栞はずっと私を抱きしめ、髪をなでながらそれを黙って聞いていた。


言葉はなく、静かに、彼はただ優しく私を抱きしめていた。


私はそれだけで、彼の思いが分かり、十分に心ごと満たされていた。








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