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いつまでも いつまでも  作者: 成瀬 慶


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自問自答

私はまた、頭の中の自分と自問自答していた。一緒に居る早川を置いてけぼりにしていると、彼は静かに話しかけた。


「なんだか考え中みたいだね」


何かを見透かしたような目。私はビクッとする。取り繕うように首を横に振る。それを見て早川は小さくため息をついて、少し笑った。


そこからはいつものように!


を心がけて話をした。チラチラとホールの方を見ながら・・・。


いつものようにはなれなかった。ワインはそれ以上進まなかった。ウェイターがお皿を引きに来ると、毎回、顔を見てしまう。栞がこのテーブルに来ることは無かった。


食事を終えると彼はいつになく無口でタクシーに私を乗せた。


「じゃまた」


なんだか申訳のない気持ちになる。


「また・・・」


そう言うと彼はドアをまた開けて私の横に座り、


「やっぱり家まで送らせてよ」


タクシーの運転手さんに行き先を告げる。

家までの25分間。

彼は私の左手を握る。


私は彼の方をチラッと見ると、彼はこちらを見ることなく真っすぐを見ている。何かを考えているようだ。何も話さない。私も何も話せない空気。


家の前について二人でタクシーを降りる。


「待ってますか?」


運転手さんに、そう聞かれると、早川は私の方を見る。

なんて言ってほしいかは、私だってわかる。


”どうするんだ?”


と、言わんばかりで目を離さない。私はうつむき。


「早川さん今日はありがとう、ここで大丈夫です。」


そう言って、彼の手を離す。


早川は困ったように、後ろ頭をかきながら、大きくため息をつく。


「そっか、じゃあね」


爽やかな笑顔で乗ってきたタクシーにもう一度、乗り込んだ。


ドキドキした。


帰ってくれなかったら、部屋まで来ていたらどうなっていたのだろう?


失礼なことをしてしまったのかな?


彼はよく気が付く人だから、私の栞に対しての気持ちに気が付いたのかも・・・。


”まさか。そんなはずない。栞への気持ち?何よそれ!!”


そう独り言をぶつぶつと心で呟きながらマンション内に入ると、ホールの隅に栞が立っている。目を疑う。


涙目?


早川から送ってもらって来たところや、彼とのやり取りを、ここから見ていたのだろうか?

私は入り口を振り返ってみる。自動ドアのガラス越しにしっかり見える。


別に見られて困ることはしていない。だって、弟の友達だし。弟の様な存在だし!


栞のほうに近づく。


「どうしたの?」


私は栞の顔を覗き込む。栞は私と目を合わさない。


「部屋に行く?」


そう言うと栞はコクリとうなずく。小さな子供みたい。私は栞を連れて部屋へ帰った。









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