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セレフィナ、召喚される⑥



玉座の間での緊迫した空気の中、セレフィナは淡々とした口調で語り始めた。


「カリス王、あんたたちは“魔王”を討伐するために勇者を召喚したと言ったな?」


「その通りだ。我々人類の存続を脅かす魔王を倒すために……」


セレフィナは王の言葉を遮り、口元に冷笑を浮かべる。


「その“魔王”なら、とっくに話をつけてきた。今さら討伐なんて必要ないさ。」


その言葉に、王や周囲の者たちは一様に驚きの声を上げた。


「話を……つけた? 魔王と交渉など、あり得ない!」


セレフィナは肩をすくめ、呆れたように言葉を続ける。


「あり得ないかどうか、これから証明してやるさ。」


セレフィナは軽く手を振り、空中に複雑な魔法陣を展開した。紫色の光が玉座の間を照らし、床に描かれた紋様が輝き始める。


「ゼルナ、出てこい。お前もこれを見たら興味が湧くだろう。」



紫の光が収束し、一人の青年が魔法陣の中に現れる。黒髪に鋭い金色の瞳を持ち、余裕のある笑みを浮かべている彼こそが魔王ゼルナだった。


「息災でなによりだ、セレフィナ。それで、今日はどうした?」


ゼルナが周囲を見渡し、その視線がカリス王に向けられる。王はゼルナの威圧感に圧倒され、声を失ったかのように震えている。


「ここにいる連中はどうやら、お前が未だに人類の敵だと思っているようでな。」


「ふん、人間はいちいち説明せねば理解せぬからな。」


ゼルナはカリス王に一歩近づくと、その冷たい視線で王を睨みつけた。


「お前たちが勇者を呼び出したのは、ただ魔王を討つためか? それとも、それ以上の野心があるのか?」


王は震えながら言葉を紡ぐ。


「そ、それは……我々人類の未来のため……」


「未来のためだと? 嘘をつけ。」


ゼルナの言葉に場が凍りつき、セレフィナが小さくため息をつく。


「ゼルナ、やりすぎるなよ。私はこの国を破壊するつもりはない。」



一方、リュカはゼルナの存在に驚きながらも、勇気を振り絞って話しかけた。


「あなたが……魔王ゼルナ…さん?」


ゼルナはリュカの方に視線を向けると、少し興味深そうに微笑んだ。


「ほう、これが新しい勇者か。人間にしてはなかなかの力を感じる。」


リュカはその言葉に怯むことなく、まっすぐゼルナを見つめる。


「でも、僕たちは戦わなくてもいいんですよね? セレフィナさんがそう言っていました。」


ゼルナは一瞬驚いたように目を細めた後、セレフィナに向けて言った。


「なるほど、セレフィナ、お前の影響か。ふん、我が言うことを素直に聞く人間も珍しいな。」

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