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セレフィナ、召喚される②



リュカが召喚された直後、セレフィナは周囲の魔法の流れに不自然な揺らぎを感じ取っていた。青白い魔法陣の一部が異様な色彩を放っており、そこに込められた呪文の意図を即座に察知する。


セレフィナ(……洗脳魔法か。勇者を召喚して自由に操る算段とは、実に姑息だな。)


神官たちが歓喜の声を上げ、リュカに向かって聖王国の使命を語り始める中、セレフィナは動じることなくその場で呪文を口にした。


「ふん、こんな粗末な術式で誰かを縛れると思うなよ――“解呪アンバインド”。」


低く響く彼女の声とともに、リュカの周囲に漂う黒い魔力が一瞬にして霧散した。リュカの表情ははっきりと変わり、目に宿っていた不自然な曇りが消え去る。


「……あれ?頭が急に……軽くなった……?なんだこれ……?」


神官長は驚愕の表情でセレフィナに向き直る。


「セ、セレフィナ様!一体、何を……?」


セレフィナは肩をすくめて皮肉な笑みを浮かべた。


「お前たちがこっそり仕込んだ洗脳魔法を解除してやっただけだ。せっかく異世界から呼びつけた勇者を操るなんて、随分と矮小なやり方じゃないか?」


その言葉に、神官たちは明らかに動揺を隠せなかった。周囲から漏れ出したささやき声には、彼女の正体を疑うものもあれば、必死に言い訳を考える者もいた。


「そ、それは誤解です!洗脳というよりも、勇者様を正しく導くための“補助”魔法でして……」


セレフィナはその言葉を聞き流し、リュカに歩み寄る。


「リュカ、と言ったな?どうやらお前は利用されるところだったみたいだぞ。この国の連中の都合のいい駒としてな。」


リュカはセレフィナの冷たい指摘に目を見開いた。彼はまだ状況を完全に理解していなかったが、自分が操られていた事実に嫌悪感を覚える。


「操られる……?それってどういうことだよ!?」


セレフィナは軽く鼻を鳴らしながら説明する。


「お前が召喚された魔法陣には、明らかに『命令を聞かせるための呪文』が仕込まれてた。さっき解いてやったからもう安心だが、気を付けろよ。聖王国なんて名前を掲げてるが、やってることは随分と汚いみたいだ。」


「な、何をおっしゃるのです!すべては魔王ゼルナ討伐のため……必要な措置でございます!それを理解せずに――」


「黙れ。」


セレフィナの一言が神官長の言葉を遮り、地下神殿全体に冷ややかな空気が漂った。彼女の瞳には鋭い光が宿り、その存在感だけで神官たちを圧倒する。


「自分たちの行いに正当性があると思うなら、なぜ洗脳なんて手段を取る必要がある?そんなやり方で勇者を縛り付けて、何を成せるって言うんだ?」


神官長は言い返すことができず、ただ俯いて震えるだけだった。



リュカはセレフィナの言葉に救われた気持ちになり、心から礼を言おうとする。


「……ありがとう、セレフィナさん。もしあのままだったら……俺、本当にどうなってたかわからない。」


セレフィナは軽く笑い、彼を見下ろす。


「気にするな。面白そうだから手を出しただけだ。それに、お前みたいな無防備な奴がこんな国の言いなりになるのを見てるのは退屈だからな。」


リュカはその皮肉めいた言葉に苦笑しつつも、彼女の言葉に少しの信頼を感じ取った。

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