そうだ、未踏破ダンジョンにいこう②
ダンジョンの奥深く、ひんやりとした空気が一層重く感じられる中、突如として地面が震え、遠くから迫る咆哮が響き渡った。その音は、深い闇の中で一層強く反響し、どこか不気味さを帯びていた。
「これは…一体?」グレンが警戒しながら周囲を見渡す。リリィもすでに構え、セレフィナの顔を伺う。
セレフィナは冷静に耳を澄まし、魔法剣「エターナル・ヴェイル」を手に取った。その刃は淡い青白い光を放ち、まるで時間を超越したような静謐さを感じさせる。
「来る…」セレフィナは静かに呟くと、魔法剣を軽く握りしめ、戦闘の準備を整えた。すでに彼女の心の中には、戦いの方針が決まっていた。
その時、巨大な影がダンジョンの奥から現れる。それは三つの頭を持つケルベロス――目は血紅の光を放ち、全身からは黒煙のようなオーラが立ち上っている。どこからどう見ても、並の魔物ではない。
「ケルベロスか…。しかも、かなりの高レベルだ。」セレフィナはその魔物をじっくりと観察し、心の中で戦闘の流れを冷静に描き出していった。その目は鋭く、決して怯むことなくケルベロスに向けられている。
ケルベロスは三つの頭をそれぞれうなり声を上げながら前に突進してきた。爪を突き立て、牙をむき出しにし、まさに猛獣そのものだった。しかし、セレフィナは一歩も引かず、魔法剣を軽く振り上げた。
「《エターナル・ヴェイル》!」
魔法剣が一瞬輝き、空気が震えるような力を放った。その瞬間、セレフィナの体が一気に加速し、剣を一閃。ケルベロスの爪がセレフィナの背を掠めるが、彼女はわずかな間合いでそれを避け、剣をケルベロスに向けて振り下ろした。
刃がケルベロスの頭部に深く切り込んだ。だが、その強靭な皮膚に弾かれるように、刃がわずかに止まった。セレフィナは一瞬、予想外の硬さに驚いたが、すぐに冷静さを取り戻す。
「想像以上に頑強だな…」セレフィナは静かに呟きながら、剣を振ると、その刃から新たな魔力が流れ出した。「だが、これで終わらせる。」
再び「エターナル・ヴェイル」の力を引き出し、セレフィナは力強く剣を振り上げた。その刃から放たれた魔力は、まるで時間そのものを引き裂くようなエネルギーを放つ。
「《エターナル・スラッシュ》!」
その一閃がケルベロスの体を貫き、周囲の空気さえ切り裂くような音が響き渡った。ケルベロスは一瞬ひるみ、全身を震わせて倒れ込む。だが、セレフィナはその隙を逃さず、再び剣を振り下ろす。
「《エターナル・ヴェイル》、その名の通り、永遠に続く力…この刃の前では、無力だ。」セレフィナは冷徹な表情を崩さず、剣をさらに振るう。
ケルベロスの体は次々と切り裂かれ、最終的には力尽きて倒れ伏す。セレフィナは一歩踏み込み、魔法剣を深く突き立てるようにしてケルベロスの最後の一撃を放った。
「これで終わりだ。」彼女は剣を引き抜き、静かにその姿を見下ろす。
グレンとリリィが駆け寄り、驚きの表情でセレフィナを見つめた。
「すごい…セレフィナさん、一人であのケルベロスを倒しちゃったんですね!」リリィは興奮しながら声を上げた。
セレフィナは冷静に答える。「まあ、これくらいは想定内だ。『エターナル・ヴェイル』の力があれば、こういった魔物には問題ない。」彼女の言葉には自信が滲んでいたが、その内心ではひとつの確認があった。
『この魔法剣は、確実に私を強くしてくれる。これを使いこなせる限り、まだまだ挑戦し続けることができる。』
その考えがセレフィナの心を支えていた。だが、この先にはさらに強大な敵が待ち受けていることを、彼女はすでに予感していた。
「行こう、先を目指すんだ。」セレフィナは短く言い、再び足を踏み出す。グレンとリリィもその後に続き、ダンジョンの奥へと進んでいった




