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未踏破区域⑪



セレフィナたちは天使たちとの戦闘を繰り広げながら、ついに神殿の奥深くへと辿り着いた。そこに広がるのは、圧倒的な神聖さと不穏さが入り混じる広間だった。高い天井には星空のような輝きが映り込み、壁面には古代の紋様が緻密に刻まれている。そして広間の中央には、強大な魔力を放つ巨大なクリスタルが浮かんでいた。


その周囲には無数の天使たちが跪き、祈りを捧げるように頭を垂れている。だが、その静謐さとは裏腹に、クリスタルから漏れ出る力には異質なものが混ざっていた。


「これが…」セレフィナは足を止め、冷ややかな目でクリスタルを見据えた。「天使たちが命を懸けて守るものの正体。」


グレンが一歩踏み出し、緊張した声で問いかける。「あれが、天使たちの力の源ってことか?」


「ただの力の源じゃない。」セレフィナの声には冷たさと確信が混じっていた。「この力、単なる秩序の維持には使われていないわ。」


リリィがクリスタルを見上げ、不安げに呟く。「じゃあ、あれは一体…?」


その問いに答える間もなく、天使たちが一斉に立ち上がり、セレフィナたちを取り囲んだ。その先頭に立つのは、純白の甲冑をまとった天使長だった。彼の黄金の瞳は冷酷な光を宿している。


「汚れし者たちよ。」天使長の声が広間に響き渡る。「この地を踏み荒らす理由を答えよ。」


「理由?」セレフィナは天使長をじっと見据え、唇を歪めた。「こちらが問いたいところよ。あなたたちがそのクリスタルで何を企んでいるのかを。」


天使長の表情が一瞬だけ険しくなり、彼の手に握られた光の槍が輝きを増した。「その問いに答える必要はない。お前たちはここに来た時点で、秩序を乱す存在とみなされた。」


「秩序を乱す?」セレフィナの声にはわずかに嘲笑が混じっている。「その秩序のために、どれだけの犠牲を払ってきたのか、あなたたちは分かっているの?」


天使長は一瞬だけ黙り込んだが、再び毅然とした声を響かせた。「必要な犠牲だ。我ら天使は神の代行者として、混沌を排除し、秩序を保つ。それが正義だ。」


その言葉に、セレフィナは冷たく目を細めた。「正義…ね。その正義が、他の次元を侵略し、支配しようとすることを意味するのならば、私はそれを許さない。」


「妄言だ!」天使長が光の槍を掲げ、広間中に眩い光が溢れた。その力に応じて、周囲の天使たちも武器を構え、戦闘態勢を整える。


グレンとリリィもすぐに身構えたが、その背後でセレフィナが低く呟く。「やるしかないわね。」


次の瞬間、天使たちが一斉に動き出し、光の波動を放ちながら襲いかかってきた。セレフィナは素早く魔力を放出し、強力な防御障壁を展開する。その衝撃で空間が揺れ、一瞬の静寂の後、戦闘が激化する。


「セレフィナ様!」リリィが叫びながら剣を抜き、天使の攻撃をかわしつつ反撃する。


「無駄よ!」セレフィナが冷ややかに言い放ち、天使たちの攻撃を力尽くで跳ね返す。「あなたたちの秩序なんて、ただの偽りに過ぎない。」


戦闘が激しさを増す中、セレフィナはクリスタルを見据えながら思考を巡らせていた。 あのクリスタル…壊せば、この偽りの秩序も崩れるはず。しかし、その代償は何か…?


「セレフィナ様!」リリィの叫び声に反応して振り向くと、天使長が猛スピードで迫り、光の槍を振り下ろそうとしていた。


「甘いわ。」セレフィナが冷静に一歩踏み込み、圧倒的な魔力を放って槍を弾き飛ばした。


天使長は驚愕の表情を浮かべるが、すぐにその目に決意を宿して言い放つ。「汚れし者よ、いかに強大であろうと、この地でお前の存在は認められない!」


セレフィナは冷徹な眼差しを崩さず、静かに告げた。「認められる必要なんてない。私は私のやり方で、秩序を正すだけ。」


天使たちとの激闘を続ける中、セレフィナたちはついに神殿の最奥へと足を踏み入れた。そこには荘厳で広大な空間が広がっており、空間全体が金色の光に包まれている。天井に描かれた星図のような模様が淡い輝きを放ち、壁面の彫刻は古代の物語を語るかのようだ。しかし、漂う空気はただの神聖さではなく、不穏さを孕んでいた。


広間の中央に浮かぶのは、異様な輝きを放つ巨大なクリスタル。その周囲には無数の天使たちが跪き、祈りを捧げるように頭を垂れている。クリスタルから発せられる魔力は圧倒的でありながら、どこか歪んでいるように感じられた。


「これが…天使たちの守っているもの?」

リリィがクリスタルを見つめ、不安げな声で呟いた。


「ただの力の源ではないわ。」セレフィナはクリスタルを冷ややかな視線で見据える。「この魔力、秩序を維持するだけのものじゃない。もっと…別の目的がある。」


グレンが剣を握り直しながら口を開く。「別の目的って、どういうことだ?」


セレフィナは答えず、クリスタルを見つめ続けた。その中に封じ込められている何かを探るかのように、魔力を研ぎ澄ます。そして、静かに口を開いた。


「これは…」彼女の目が細まり、冷徹な光を宿す。「このクリスタルは、ただ天使たちの力の源というだけじゃない。他の次元に干渉し、支配するための装置よ。」


その言葉に、リリィとグレンは驚きに目を見開いた。


「支配?」リリィが息を呑む。「それじゃあ、天使たちは私たちを守る存在じゃなくて…?」


「その通り。」セレフィナは冷たく言い放つ。「彼らはこの次元を管理しているように見せかけて、裏では他の次元を侵略している。そして、私たちをその計画の障害とみなして排除しようとしているのよ。」


その瞬間、クリスタルの光が強まり、周囲の天使たちが一斉に立ち上がった。広間全体が眩い光に包まれ、耳をつんざくような声が響く。


「汚れし者ども、この地に足を踏み入れることは許されない!」

天使の長が高らかに叫び、光の槍を掲げた。その槍はまるで神罰そのもののように、空間を震わせる力を放っている。


「汚れし者、ね。」セレフィナは微かに笑い、天使長を見据えた。「その汚れた存在とやらに、あなたたちの『正義』がどれほどの価値を持つか試させてもらうわ。」


天使長はその言葉に表情を歪め、槍を構え直した。「秩序を乱す者を排除する。それが我らの使命だ!」


「秩序を守るために命を弄ぶのが使命だというのなら、私はその秩序を否定する。」セレフィナの声には冷徹な決意が宿っている。


次の瞬間、天使たちが一斉に動き出し、光の波動を伴う槍がセレフィナたちに向かって放たれた。その力は広間全体を覆い尽くし、逃げ場など存在しないかのようだ。


「そんなもの、通じると思う?」セレフィナは低く呟き、強大な魔力を解放する。彼女の放つ力が天使たちの攻撃を弾き返し、空間全体を震わせた。その衝撃波で、天使たちの陣形が一瞬崩れる。


「行くぞ!」グレンが叫び、リリィも即座に剣を構えて突撃した。だが天使たちの数は膨大であり、簡単には突破できそうにない。


セレフィナは一瞬の隙を見てクリスタルに向き直り、冷徹な目で呟いた。「これを壊せば、全てが終わる…でも、その代償が何かまでは分からない。」


彼女の内心を読んだかのように、天使長がセレフィナの前に立ちはだかった。「そのクリスタルに触れることは許されない。汚れた存在が触れるなど、神への冒涜だ!」


「神ね…」セレフィナの口元に皮肉な笑みが浮かぶ。「あなたたちの神がそんなにも万能なら、なぜ私を止められると思う?」


その言葉に天使長の表情が険しくなり、彼は槍を振りかざした。「黙れ!神の意志に背く者には裁きが下るだけだ!」


「裁きね。」セレフィナは冷静に槍を受け流し、相手に向けて言い放つ。「その裁きがどれだけ意味を持つか、試してみなさい。」


その瞬間、二人の間に激しい閃光が走り、広間全体を揺るがす戦いが始まった。

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