表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/78

未踏破区域⑤



セレフィナが一歩踏み出した瞬間、空間が揺らぎ、周囲の景色がさらに歪んでいく。サキュバスたちはその美しい笑顔を浮かべながら、セレフィナに向かってゆっくりと歩み寄る。


「ふふ、あなたもその冷たい目をしているけれど、私たちの力には抗えないわ。」一人のサキュバスが甘く囁くと、他のサキュバスたちも声を揃えて、セレフィナに向かって甘い言葉をかけ始める。


その瞬間、リリィの視界がぼやけ、彼女の体が軽くなる感覚に襲われる。心の中にどこからともなく甘い誘惑の声が響き、彼女の足は無意識に進んでいく。


「リリィ!」グレンが心配そうに声をかけるも、リリィはその声に反応せず、さらにサキュバスたちに引き寄せられていく。


「な…!」グレンは慌ててリリィの肩を掴み、その引力から引き離そうとするが、リリィの目はもう正常ではない。サキュバスたちの魔力によって、完全に幻術の世界に引き込まれてしまっている。


「…無駄よ。」セレフィナが冷たく呟くと、彼女の体から漂う魔力が一気に強まる。彼女の手に現れたのは、光り輝く剣のような魔力の刃。サキュバスたちはその魔力に一瞬たじろぐが、すぐにその恐れを隠して笑みを浮かべた。


「幻術には抗えないわ。心の中にある欲望を引き出し、あなただけの世界を作り上げる。あなたにもきっと、私たちの世界でしか感じられない快楽がある…」別のサキュバスが甘い言葉を続け、周囲の霧がさらに濃くなっていく。


「…私の世界に誘ってくれるのか?」セレフィナが鋭い目を細めながら、無表情で言った。その声には確固たる決意と、絶対的な力が宿っている。


「あなたたちの魔法は、私には通用しない。」セレフィナの目に宿る冷徹な光が、サキュバスたちを突き刺すように照らし出す。その瞬間、セレフィナは一息で魔力を解き放ち、全ての幻術を打破する光の爆発が広がった。


サキュバスたちはその圧倒的な力に一瞬ひるみ、目の前の美しい幻影が次々と崩れ落ちていく。その幻術の世界は、セレフィナの力によって引き裂かれ、現実の世界に戻りつつあった。


リリィはその瞬間、ようやく我に返り、ふらつきながらも意識を取り戻す。グレンがその肩を支え、彼女を強く抱きしめた。「リリィ、大丈夫か?」


リリィはまだ少し動揺していたが、セレフィナの力強い存在感に助けられ、ようやく意識を取り戻すことができた。「ごめんなさい…気づかなくて…」


「大丈夫よ、あなたが戻ってこれて良かったわ。」セレフィナは冷静に答えると、そのまま再び周囲を見渡した。サキュバスたちは完全にその幻術の力を失っており、消え去っていった。


「この世界の幻術にしては、かなり強力なものだったわね。」セレフィナが呟き、手を払いながら振り返る。「でも、この程度で私が屈すると思ったら大間違い。」


リリィとグレンも、セレフィナの力に感嘆の思いを抱きながら、次に進む準備を整えた。「次はどんな試練が待っているんだろうな。」グレンが言うと、セレフィナは微かに頷きながら前を見据えた。


「次元の扉はまだ開かれている…行きましょう。」


その言葉と共に、再び扉が現れ、彼らは新たな次元へと足を踏み入れた。その先に待つ試練とは一体何なのか、セレフィナとともに進む彼らの冒険は、さらに深淵を覗くように続いていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ