シャドウスパイラルの未踏破区域①
アンデッドの巨人は、静寂を破ってその巨大な足で地面を踏みしめ、ゆっくりとこちらに向かって歩みを進めてきた。グレンは一歩前に出て、剣を握りしめた。「セレフィナ、これをどうにかできるか?」
セレフィナは一度深呼吸をし、冷静に巨人の動きを観察した。「あの巨人、恐らくただの力任せではない。魔力を使って操られている可能性が高いな。」
リリィは背後で身構えながら、セレフィナに尋ねた。「魔力を使っているって、どういうこと?」
「魔力が篭った武器や道具を使うのと同じように、アンデッドの巨人も恐らく魔力で強化されているのよ。」セレフィナは答えながら、その巨人を一瞥した。「あの巨人の魔力の源を断ち切らなければ、ただ力で倒すだけでは無駄になるかもしれないな。」
「分かってる。」グレンは短く応え、素早く位置を変えて巨人との距離を縮めた。「だが、どうやってその魔力の源を見つけるんだ?」
「まずは、戦いながらその巨人の動きの中に魔力の流れを感じ取ることにする。我がそれを引き出す。」セレフィナの目は鋭く、戦況を見極めながら言葉を続けた。「その隙を突いて、リリィは魔法で援護を。」
リリィは、まだ不安げに周囲を見回しながらも、セレフィナの指示に従って魔法の準備を始めた。「分かったわ、私もできるだけのことをする!」
一方、グレンは巨人に向かって再び突進した。その動きは重いが、あまりにも巨大で恐ろしい威圧感を放っていた。巨人は地面を揺るがすような一歩を踏み出し、グレンに向かって両手を振りかぶってきた。
「来るぞ!」グレンは声を上げ、素早く横に跳んだ。迫る巨大な拳が地面に激しく衝突し、爆風が周囲を巻き上げる。だが、グレンは素早く立ち上がり、再び剣を構えた。「お前がどんな魔力で動いていようと、俺は引かねぇ!」
セレフィナはその言葉に微かに微笑みを浮かべ、両手を広げた。「なら、私も行くわ!」彼女は高く両手を掲げ、その手のひらから青白い魔力が渦巻き始める。
「――魔力の裂け目、開け!」セレフィナが呪文を唱えると、空間が歪み、次元の裂け目が彼女の前に現れた。その裂け目から、魔力の流れがまるで生き物のように蠢き、アンデッドの巨人に向かって吸い込まれていく。
リリィはその隙を逃さず、「アイススピア!」と氷の槍を発射。氷の矢が巨人の肩を貫き、冷たい霧がその体を包み込んだ。しかし、巨人の動きは止まらない。セレフィナはその様子を見て、さらに魔力を注ぎ込んだ。
「魔力の源はこれか…!」セレフィナの目が鋭く光った。「リリィ、グレン、今だ!」
巨人が次に振り下ろした拳をグレンがなんとかかわし、その隙にセレフィナが魔力の流れを引き裂く。空間が揺れ、巨人の胸部に黒いひび割れが走り、その中から濁った魔力のかけらがぼろぼろと落ちてきた。
「これで終わりだ!」セレフィナが叫び、再び魔力を一点に集める。
その瞬間、巨人の体が大きく揺れ、魔力が一気に引き裂かれる音が響いた。巨人の体は崩れ始め、その巨大な姿が徐々に消え去っていく。
「やったのか…?」グレンは肩で息をしながら確認した。
「ええ。これで倒せたわ。」セレフィナは安堵の息を吐き、魔力の余韻を感じ取る。「でも、まだここからが本当の試練よ。私たちの前にはまだ道が続いている。」
リリィはその言葉に強く頷き、周囲を見渡しながら言った。「次は何が待ってるんだろう…。でも、セレフィナがいるならきっと大丈夫。」
セレフィナはその言葉に微笑み、足元の遺跡の先を見据えた。「まだ終わりじゃない。新たな道が開けたわ。さあ、行きましょう。」
そして、彼女たちは再び一歩を踏み出し、次なる試練へと進んで行った。




