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魔王、シャドウスパイラルを攻略する




3人はその後、順調にシャドウスパイラルの10階層に到着していた─。




ボス部屋の前、薄暗い廊下を進むグレンたちの心には緊張が走っていた。周囲の空気が重く、何か不吉な気配が漂っている。足元には、過去にここを訪れた冒険者たちの足跡が消えかけている。彼らの運命はどうなったのか、想像するだけで恐ろしい。



「ここがボス部屋か…」グレンが囁くように言った。彼の声はわずかに震えていたが、仲間たちの顔には覚悟が宿っている。



「準備はいいか?」隣に立つリリィが問いかける。彼女の目は真剣そのもので、手には既に魔法の杖を握りしめている。



「もちろん。全力でいくぞ。」グレンは頷き、深呼吸をした。彼の心臓は速く脈打ち、これから何が待ち受けているのか、期待と不安が入り混じった感情が湧き上がる。



ボス部屋の扉は黒く、古びた石でできていて、まるで過去の遺物のようにそこに鎮座していた。扉の周囲には奇妙な模様が彫られており、異様な雰囲気を醸し出している。



「いくぞ!」グレンが声を上げ、全員がその後に続く。扉を開けると、薄暗い部屋の中には、巨大なアビスゴーレムが待ち構えていた。ゴーレムの体は黒い石でできており、目は赤く光り、まるで生きているかのように彼らを見つめていた。



「何だ…あれは?」リリィが恐怖を隠せずに言った。



「アビスゴーレムだ。強力な魔法で作られた石の巨人だ。警戒しろ!」グレンは急いで仲間に警告を発する。




グレンは、アビスゴーレムの迫力に圧倒されながらも、すぐさま体を動かしてその一撃をかわした。振り下ろされた巨大な手が地面を叩きつけると、衝撃が足元から伝わってきて、思わず息を飲む。隙を見てリリィが放った炎の魔法がゴーレムに直撃したが、その外殻には微かに焦げ目がついただけで、まったくダメージを与えていない様子だ。



「こんな硬さ、どうすれば…!」




一瞬、焦りが胸をよぎった。だがその隣に立つセレフィナの落ち着いた表情を見た瞬間、その焦りが別の感情に変わっていくのをグレンは感じた。彼女は微塵も動じず、涼しげに一歩前に進むと、こちらに軽く視線を向けて言った。



「見てて。」



その瞬間、何かが変わった。彼女が静かに詠唱を始めた途端、まるで空気自体が彼女に引き寄せられるかのように、周囲が張り詰めた緊張に包まれていく。グレンは無意識に息を詰め、目の前の光景に見入った。



セレフィナの心の中では、詠唱の必要性が大きな意味を持っていた。彼女は、ただ力を見せつけるのではなく、人間の魔法使いとしての存在を示すために、意図的に詠唱していた。この瞬間、人間たちの前で魔法を発動することは、彼女にとって単なる戦闘行為以上の意味を持つ。



「こんな簡単に…?」



次の瞬間、セレフィナの手から放たれた黒いエネルギーがゴーレムに向かって飛んでいく。その一撃は、まるで容赦のない裁きの刃のように鋭く、凄まじい力が宿っていた。アビスゴーレムは一瞬のうちにその黒い閃光に包まれ、わずかに驚愕の表情を浮かべたかと思うと、声も出せないまま、地面に崩れ落ちていく。




グレンの心は、その瞬間に打ちのめされた。こんなにも圧倒的な強さ、まるで異世界の力を目の当たりにしているかのようだった。自分たちがどれだけ全力を尽くしても届かなかった敵が、彼女にとってはただの小石に過ぎなかったのだと、思い知らされる。



「さすが、セレフィナ殿…」




リリィが歓声を上げるのを横目に、グレンは複雑な気持ちを抱えたまま立ち尽くしていた。彼は敬意と畏怖を感じながらも、自分の無力さが頭の片隅をよぎる。



しかし、セレフィナがこちらに微笑みかけた瞬間、その感情が少しだけ和らいだ。「これが私の実力だから、心配しなくてもいいよ。」彼女のその言葉に、グレンはどこか安心感を覚え、肩の力が抜けるのを感じた。



「俺も、もっと強くならなきゃな…」


心の中でそう決意を新たにしながら、グレンは再び前を見据えた。強大な力を持つ彼女とともに進む道のりには、今まで想像もできなかった試練が待っているだろう。それでも、今はその未知の道を彼女と共に進むことに、大きな意義を感じていた。





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