表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/78

魔王、襲撃される

準備を整えた三人は、薄暗い階段を一歩一歩慎重に下り、四階層へと足を踏み入れた。そこにはひんやりとした空気が漂い、湿気と共にわずかに腐敗臭が漂ってくる。足元には滑りやすい苔が生えており、一歩踏み間違えれば転倒しかねない危険な環境だ。



「足元に注意して進もう。ここからはさらに警戒が必要だな」と、グレンが小声で伝える。


リリィは地図を再確認しながら、罠が設置されている可能性が高い区域に目を光らせた。「この階層は探索済みの情報が少ないです。少しずつ進みましょう。」


セレフィナも魔力を集中し、周囲の空気の流れや異常を探る。「ふむ、魔法による罠も含まれているかもしれんな。注意して進もう。」



進むごとに、うっすらと光る宝石が壁に埋め込まれた通路が現れる。その美しい輝きに一瞬目を奪われたが、リリィが冷静に判断を下した。「この輝きに惑わされないでください。近づけば罠が発動する可能性がある場所です。」



三人は壁に近づかないよう、距離を取りながら慎重に進んでいく。やがて、小さな部屋に出ると、そこには数体の中型モンスターが待ち構えていた。


「さあ、準備はいいか?」グレンが仲間たちに声をかけ、武器を構える。



セレフィナも魔力を手のひらに集め、魔法を発動する準備を整えた。「ああ、我が力でお前たちをサポートする。油断せずに進むぞ!」



リリィは弓を構え、敵の動きを観察しながら冷静に指示を出す。「グレンさん、前方から敵を引きつけてください。その隙に、私が狙撃を仕掛けます。」



グレンが突進し、リリィが見事なタイミングで矢を放つと、セレフィナは彼らの隙をついて強力な雷の魔法を放ち、モンスターたちは次々と倒れていく。連携が見事に決まり、三人は無傷のまま部屋を制圧することに成功した。


「ふむ、上出来だな。この調子で次も行けそうだ」とセレフィナが満足げに微笑む。



部屋を後にし、さらに奥へと進んだ三人は、やがて五階層に到着した。空気は一段と冷たく、視界もほとんど遮られるほど暗い。耳を澄ませば、遠くから不気味なうなり声が響いてくる。


「ここが五階層か…。噂通りの難所って感じだな」とグレンが言い、慎重に周囲を見渡す。


リリィも緊張した面持ちで頷く。「モンスターもさらに強力になっているでしょう。全員で注意しながら進みましょう。」



セレフィナはその場で魔力をわずかに放出し、周囲に異常がないか探りを入れた。「我の力も温存しながら、慎重に行こう。何かあればすぐに対処する。」


三人は心を一つにし、闇の中へと再び歩を進める。先にはさらなる危険が待ち受けているはずだが、彼らの足取りには迷いがなく、確かな信頼に裏打ちされた強い決意があった。



* * *



背後から忍び寄る影に、セレフィナはすでに気づいていたが、あえて動かず、何が起きるのかじっと待ち構えていた。やがて、暗がりから現れたのは、Sランクの指名手配犯、盗賊の頭目・カイザだった。冷酷な笑みを浮かべながら、彼は手を擦り合わせ、セレフィナたちをじろりと見据えた。


「俺様が狙うにふさわしい小金持ちの冒険者だな。まさかこんな奥深くで出くわすとは思わなかったぜ。」カイザは勝ち誇ったように胸を張り、冷たい視線を彼女たちに向けた。


セレフィナは微笑を浮かべ、まるで戯れのように静かに言い放った。「そうか…ならば試してみるがよい。そなたの“奪取”で、我の力を奪ってみろ。」


カイザは彼女の余裕ぶった態度に、短く舌打ちしながらも、「その言葉、後悔するなよ。」と応え、集中し始めた。彼の“奪取”スキルは、これまで数多の冒険者たちからスキルを盗み取ってきた凶悪な技だ。神が人間に授けたスキルを自在に奪い、自身の力として使うその能力は、恐怖そのものだった。


だが、いくら力を込めても、セレフィナからは何も引き出せない。カイザは額に汗を浮かべ、混乱と苛立ちが表情に現れ始めた。「な、なんでだ…お前、何者なんだ…?」


セレフィナは彼の様子を楽しむように、淡々と続けた。「そなたの“奪取”が扱えるのは、神から授けられた力だけ…つまり、我には通じぬというわけだ。」


リリィはその言葉を聞いて首を傾げた。 神から授けられた力だけ…? それなら、セレフィナの力は一体何なのか?彼女はただの人間だと思っていたのに、この言葉はそれを覆すように聞こえる。


グレンもその場で眉をひそめ、彼女に対する疑念を抱いた。 ただの冒険者なら、奪取が効かない理由があるはずがない…セレフィナは一体何者なのだろう?


二人の疑問と動揺を感じながらも、セレフィナはどこか余裕を漂わせ、何も恐れていない様子だった。それがかえって、彼らに一層の謎を投げかける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ