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魔王が望むもの


玉座の間で、セレフィナからの報告が終わると、国王は大きく息を吐き出しながら深く頷いた。ルビクスの脅威を退け、国境沿いの混乱を収めた功績は計り知れないものであり、その一切をほとんど単独で成し遂げた彼女の実力に、国王は改めて畏敬の念を抱いていた。



だが、それと同時に一つの悩みが頭をもたげる。これだけの功績を挙げたセレフィナに、国として相応の褒美を与えたい。しかし、いったい何を与えれば、彼女にとって十分な価値を持つのだろうか。彼女は明らかに尋常な戦士とは一線を画する存在であり、金や土地などのありきたりな褒美ではその意義を示せない気がした。



(ただの宝物や称号では満足しないだろう…かといって、彼女が望むものを正確に見極めることも難しい…)


国王は玉座に深く腰を下ろし、手のひらで顎を支えながら考え込んだ。セレフィナの冷静で威厳ある姿が脳裏に浮かび、彼女が本当に求めるものは何かと自問する。彼女は決して功績のために動いたのではなく、その表情からも、栄光や名誉への関心を微塵も感じさせない。彼女がその行動に込めた意図を測りかねる国王は、彼女の本質に触れるような、特別な褒美を考えねばならないと感じていた。


(もし、彼女の望むものが分かれば良いのだが…それが何なのか、見当もつかぬ。だが、いずれにせよ相応の礼を尽くさねばならない…)



やがて、国王はため息をつき、決意した表情で玉座から身を起こした。セレフィナの意向を直接確かめるため、丁寧に言葉を尽くして尋ねることにした。



国王は改めてセレフィナに視線を向け、慎重に問いかけた。


「セレフィナ殿、これだけの功績を挙げていただいた以上、何か望みを聞かせていただきたいのですが…もしあるならば、遠慮なく言っていただきたい。」


セレフィナは少し考える素振りを見せたが、すぐに興味深そうに笑みを浮かべた。


国王は再びセレフィナに向き直り、やや困惑した表情で問いかけた。


「セレフィナ殿、このような大功を挙げていただいたからには、何か望みを叶えさせていただきたいのですが…何かご希望はありますか?」



セレフィナはしばらく考え込むような素振りを見せたが、やがて、いたずらっぽく微笑んで答えた。


「ふむ。では、国境の警備はしばらく我の召喚獣のアスラとルーシアに任せてみるのはどうだ?アスラは大きな狼で、ルーシアは猫のような姿をしてるんだが、二匹とも強いし頼りになるのでな。」


国王はその提案に驚いたが、すぐに頷いた。「それは心強いですね…アスラ殿とルーシア殿に国境を守っていただけるのであれば、我々の不安も大きく和らぎます。」



セレフィナは軽く肩をすくめ、「二匹ともこういうのには慣れてるし、むしろ張り切ってやると思うよ」と自信ありげに言った。


国王は感心した様子で頷いた。「なるほど…そして、他には何か望みがあれば、どうぞ遠慮なく。」



セレフィナは少し考え、ふとした閃きで口を開いた。「そうだ、冒険者ギルドの紹介状を書いてくれないだろうか?この世界でもっとワクワクするようなことを体験してみたいのだ。」



国王はその意外な望みに少し驚いたが、すぐに笑顔で答えた。「なるほど、あなたがギルドに入るとなれば、非常に興味深いですね。ぜひ、紹介状を書かせていただきます。」


「感謝するぞ‥!」セレフィナは満足そうに頷き、その瞳には新たな冒険への期待が浮かんでいた。その姿を見て、国王はこの国に訪れる変革の予感を感じ、胸に希望を抱いた。

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