七十九、翌朝のふたり
「…………ん。」
私はカーテンの隙間からの朝日で目が覚めた。その明るさ的に今日はとても天気がいいみたいだった。私は窓をしばらく見つめた後、隣ですやすや眠る愛しい人の寝顔を見おろした。この寝顔が見れるのもあと数回かと思うと、さらに愛おしいと同時に寂しくなった。そして見つめていたら昨夜のあれこれが脳内回想されてしまった。
「……んっ………んっ………んぁっ!あっ!…………んん。」
彼の一個一個の動きに反応するしかない私はいつもより声が大きい自分に恥ずかしくなって口元に手をおいてふさいだ。するとそれに気付いた彼がすぐにピタッと動きを止めた。
「……はぁ、なんで……声抑えるんだよ。」
「……………は、恥ずかしい……。」
「…………………今さら………んじゃあ、こうするわ。」
「……え、っちょ、おわっ!」
急に腕を引っ張られて、私が急に上になってしまった。
「え、な、なん……………………っ!?」
急な体勢に驚いて理由を聞こうとした瞬間、彼がまた力強く動き出した。私はとっさに衝動的に口から手を離し彼の腹部に手をおいて、身体を支えざるおえなくなった。声をふさいでる余裕なんて全然なかった。
「……あ、あっ!……ん、………………いっ…………ちゃ……………んんっ!」
私は一気に果て全身の力が抜けて、彼のほうに倒れこんだ。私は呼吸を整えるの必死だったが、そんなのお構い無しに彼はまた動き始めた。
「…………っちょ、……っん…………まっ…………ああっ!」
「ん?……まだ…付き合ってくれるっしょ?」
「……た、たんまっ!…………わたし……体力……がっ!」
「もうちょっとだけ……頑張って。」
「……っああっ!!…………。」
――――――――――――――――――――
私は脳内回想が終わりベッドから降りようとしたが、身体に痛みが走りまたベッドに逆戻りするように倒れた。
「…………か、身体……痛い…………。」
「…………わるいとは思ってる……。」
私は後ろからそう聞こえたので、ゆっくりと後ろを振り返るとシーツから半分顔を出した少年がこちらを見ていた。その姿に怒りより可愛いが勝ったのは言う前でもない。
「……それ、わざと?」
「………………?」
「あざとくない?」
「あざといってなに……?」
「……うわ~、無意識にやっちゃう系?」
「なんか嫌な言い方だな。」
彼はそう言いながら少し怪訝そうな顔を私にしてきた。いつも思うけどバスケに関わる以外の知識が皆無なんだよな。
「澄くんは、我慢強いって思ってたんだけど?」
「香奈のことは無理、…………ぜってぇ、浮気すんなよ。」
「またその話?どんだけ疑り深いの?」
「…………………やっぱ、指輪買わね?」
「なに、急に。」
「男避け。」
「いい、いい、いらないから。大丈夫だから!私、意志負けないので。」
「……まぁ信じてるけど……。」
彼はぶっきらぼうにそう言うと、はぁーっと盛大にため息をして天井を見つめ、しばらくするとまたこちらに顔を向けた。何かを考えてるのかわからないが、急に熱い視線をさらに私に送ってきた。
「…………………………。」
「なに?どうかしたの?」
「…………………………。」
「…………………………。」
「…………………………………………。」
私はなんとなくだんだん察しがついてきて、少しだけ彼から離れて距離をとった。
「…………っ?!え、もしかして……。」
「朝、したことなくない?」
彼はそう言いながら、離れた分こちらにゆっくり近づいてきた。
「……っつ!!……ちょ、っと待って!……さっきの反省は?!」
「さっき謝ったじゃん。」
「いやいや、謝ったからってそんなっ、てえぇっ!!」
「ん?」
「てっ、どこ触ってんの!?!」
「……香奈が好きなとこ。」
「ば、バカっ!」
私は彼の手をペシッと軽く叩いたが、全然手が止まる気配が無かった。
「じゃあ、ゆっくり、優しく、丁寧にする。」
「なんでする前提なの?!」
「昨日みたいに意地悪しない。」
「ねぇ、全然人の話を聞かないじゃん。」
確かに宣言どおりに彼の手は優しすぎるくらいゆっくりで、少しもどかしいくらいだった。その手の動きに思わず声が少し漏れてしまった。
「………んっ…………。」
「……ここ?…。」
「…聞かないでよ。」
「……香奈も……触って?」
彼はそう言いながら私の手をとり、自分の頬に私の手を押し当てた。
「~~~~~~っ、」
「だめ?」
「~~~~~~~っ!!」
(ず、ずるい。そんな甘えたな顔する技なんて……。)
私は心の中で葛藤をしていると、彼は触れるのを止めて、私を抱き寄せて耳元で話しかけてきた。
「……俺……昨日の……結構ヤバかったんだけど?」
「え……?」
「…………………風呂のやつ。」
「えっ!」
「……頼んだら…………して……くれんの?」
「そんなに…………よかったの?」
私がそう聞くとかなり小さめな声でうんと聞こえた。
「………いいよ?」
「それならいいのかよ。」
「さすがに私の身体労ってよ。」
「……さーせん。」
「しょうがない人。」
私はそう言いながら、彼のほっぺにチュッとキスした。彼は少しビックリしながらも、照れ臭そうにキスされたほっぺを自分の指でポリポリかいた。私はその仕草を見た後、じゃあ失礼しまーすと言いながら、シーツの中に潜ろうとしたら両肩をぐっと抑えられた。
「えっ、なに?」
「香奈、見えねぇじゃん。」
「へ?」
「見てたい。」
「え~、なんか、やだ。」
「は?昨日のあれは、じゃあ何なんだよ。」
「んーー、気持ち高ぶった……みたいな?」
彼は私の発言に対して不満そうに私の両頬を片手でふにふにし始めた。
「……なんだよ、それ…………。」
「んーー。」
私はされるがままに頬をふにふにされながら、彼を見つめた。そしてゆっくりと顔を近づけてきたので、つられて目をつぶったが、何も口に触れるものがこなかった。私はまた顔を眺めれてるのかなと呆れながら、今度は目を開けた。彼は優しいような悲しいような顔をしてこちらを見つめていた。私は彼のその表情を見た瞬間、涙が出てきた。急に本当にこれから離れるんだと現実を感じた。彼は思いっきり私を強く抱き締めた。
「もー、やめてよ~。」
「香奈、俺、頑張るから。」
「………………うん、、いってらっしゃい。」
「いってきます。」
そして数週間後、彼は旅立った。




