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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

究極の質問

作者: 沖田 楽十

 地球最後の日。アナタはどうごしますか?



「答えて? 」



 可愛い顔してける彼女に見惚みほれるも、ハッとした男はフイっと目をらして、


「何でそんな事()くわけ? 」

 とたずねた。



「【無人島に行ったら何を持っていくか? 】って質問があるでしょ? 」


「あー…よく聞くヤツな」


「あれって、現実味が無いというか、想像出来ないのよね。それなら“地球最後の日”の方が現実味があるかなぁ、と思って♪」



 地球最後の日の方が現実味が無いから想像しづれぇよっ! というツッコミをんで、彼女の話に付き合った方が後々(あとあと)面倒くさくないと考えた男は、質問の内容を思い出しながら答えを探す。



「……どう? 」


「……………多分……」


「うんっ! 」


「いつもと変わんねぇと思う…」


「………うん? 」



 納得のいく回答では無かったのか、女は何処どこ不服ふふくそうだ。男はやれやれとかたすくめると、「じゃあお前は? 」と問い掛ける。

 まさかそんな事を訊かれるとは思ってなかったのか、女はえっ? と驚いた様に目を見開いて男を見た。



「お前の納得いく回答を教えてくれよ? 」


「わっ…私は別に、貴方の答えに納得してないわけじゃ……」


「じゃあ、俺が答えたんだからお前も答えろ。俺だけ答えさせるなんてフェアじゃねえだろぉーが」


「ッッ………わっ……笑わないで、聞いてもらえる…? 」


「……………内容次第では無理」



 素直に答えると、女にキッと睨まれた為、わかった笑わない、と男は言った。しばしの間を置き、女は答えた。



「私もね、貴方と同じでいつもと変わんない日々を過ごすと思うの。でね…なんっていうか……選択っていうのかな…? それってさ、便を我慢する時と似てるなぁ、って」


「………………は……? 」



 予想外の回答に、男は目をパチクリとさせる。



「ッッッ……だっ…だからァっ! 便を我慢する時ってさぁ、便を我慢してまでたいものがある時って事でしょ!? 生きてると排便はいべんする事は切っても切れない関係よね?! 」


「まっ……まあ、そうだな…」


「つまり、こーゆう【地球最後の日にどう過ごす? 】とかの究極の質問って、大体は便をもよおした時に出すか出さないかの話に似てると思ったのよっ!!! 」



 顔をこれでもかってぐらいに真っ赤にめて、真剣に語る女に、男はーー我慢出来ずにすと、そのいきおいのままに腹を抱えて笑い出した。



「わっ…笑わないって約束したじゃない!? 」


「だっ…だって……ブハハハハッッ!!!! 」


「笑うなッ!!! 」



 男は可笑おかしかった。

 “究極の質問”で、排便か便を我慢するかの話題に持っていった彼女の事が。



「……二択か…」


「………は……? 」


「肝心な選択程、“保留ほりゅう”って曖昧あいまいなものがねぇの」


「それがなにーーちょっ…?!? 」



 男は女の腕をつかむと、引き寄せてまま抱き締める。それに、女はなにが起こったのか理解出来ずに暫しの放心状態後、ハッとした様に離せっ!!! と暴れ出した。



「こーゆうコトして笑った事を誤魔化ごまかそうとすんなっ! 」


「あー……やっぱ誤魔化せない? 」


「誤魔化せないわよっ!!! 」


「俺と結婚しねぇ? 」


「だから誤魔化す………………えっ…? 」



 女は暴れるのをめると、恐る恐るといった感じで顔を上げて男を見た。男は真剣な表情かおで女を見ていた。



「………なっ……えっ…えーっと……冗談…よね? 」


「ッ……ひでぇな…。流石さすがにそーゆう冗談は言わねぇよ」


「……………なっ……なんで今? 」



 女の質問は至極しごく当然で、話の流れから、プロポーズをする様なロマンチックな雰囲気は無かった。どちらかというとーー究極の質問と排便するかしないか問題が似てる、と言った女に対して男が笑った、というロマンチックとは正反対のやり取りが行われた事だろうか。



「いや……まぁ…なんっつぅーの……明日が【地球最後の日】になったら、後悔するかと思ってな? 」


「ッッ……なっ…なにそれ……意味、わかんない…ッ」



 女は気恥きはずかしくなって男から顔をそむけた。


 ーーなっ…なによっ! そんな真剣な顔で……なのに、そんな優しいで私を見ないでよっ!! おかしくなる…


 内心、女は素直に喜んで良いのか、それとも男が普段ふだんから冗談を平気で口にするので、うたがった方がイイのかで反応に困っていた。

 長年の付き合いでそれがわかっている男は、今迄いままでの自分の言動を改めようと思うと同時に、オッケーの返事をもらったら、その流れでホテルへ行こうと目論もくろんでいる事を、女は気付かない。




【地球最後の日。アナタはどう過ごしますか?】

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