突然
部屋に戻ってからスマホを確認すると美鈴からメッセージが来ていた
【今日はありがとう楽しかったよ!】
メッセージを確認した俺はあのことを思い出してしまい顔が赤くなる
ピコン
スマホが鳴った
俺がメッセージを読んだことを確認したのだろうか美鈴が追撃のメッセージを送ってきた
【もしかして今赤くなってる?】
図星だった
【なってないし】
ムキになりながら美鈴にそう返信する
【絶対嘘じゃん、何年一緒にいると思ってるの?】
絶対画面の向こうでクスクスと笑っているだろうなと想像する
その瞬間不意に頭に渚のことがよぎった
さっきまでウキウキしていた気分は一気に地の底まで落ちる
頭の中で渚のことがぐるぐるする
さっきまで楽しかったのは本当だ、嘘じゃない
俺は本気で楽しんでいた、ウキウキもしたしドキドキもした
なのに渚のことを考えてしまったとたん気分が落ちてしまう
もちろん渚は悪くないもちろん美鈴も
1番悪いのは早く告白しなかった俺だ
それがわかっているのに心はモヤモヤする
ブーブー
スマホが鳴った
多分既読だけ付けたまま放置していたので美鈴が心配してくれてなにか送ってきたのだろう
そう考えてスマホを確認する
「通話?」
驚いて声が出る
しかも相手は美鈴ではなく渚だった
今は出たくない
でも相手に申し訳ない
2つの感情がせめぎ合っている
出たくない出たくない出たくない
頭ではそう考えていても指は通話開始のボタンを押していた
「もしもし、今時間大丈夫?」
今にも消え入りそうな声で渚がそう言った
「どうしたの?」
さっきまで落ち込んでいたのが嘘のようだった
本気で渚が心配になった
もしかしたら下心が有ったのかもしれない
「あの、これから会ったりできる?」
ドクン
渚の声が俺のこころをえぐった
会っていいのだろうか、
美鈴に申し訳ないんじゃないか
そう思った
だけど渚は友達だからと
自分の心に嘘をついて
「わかった駅前のカフェで待ってる」
そう言ってしまった
「ありがとうございます」
さっきよりももっと消えそうな声で何故か敬語になり渚はそういった
その後電話を切り駅に向かおうと部屋の外に出る
「湊〜どっか出かけるの?」
リビングの前を通ったときスマホを見ていた姉さんに声をかけられた
「ごめんちょっと駅前まで」
「そっか、早く帰ってきてね、待ってるから」
姉さんはそう言うと手をひらひらさせてまたスマホに顔が向く
「行ってきます」
俺はあまり気分が乗らないながらも外に出た
誰かに見られているかもしれないということも考えずに




