第一話【始まりは突然に…】
我等が暮す生界(生きてる者が住んでる世界)とはまた別の世界。
ヘブンゾーンという亡き者と死神が暮す場所の隣の別世界に、天使達が住み付いてるエンジェル界と呼ばれた場所がある。其の真下辺りに、悪魔達が住み付くデビル界があった。
両世界は、ちょっとしたいがみ合いで直ぐ戦争をし出す位、仲が悪い。昔は、そんなに仲が悪く無く、其れ処か仲が良かった。いや、仲が良過ぎた。あの時までは――…。
戦争の引き金となった発端は、デビル界に住む一人の男の子からだった。男の子の名はデビル・ド・ディーク。其の国を動かす権力を持った、王の一人息子であった。
ディークが十歳位の時だった。ある日彼は、想い人が住むエンジェル界に訪れた。
想い人の名は、エンジェル・ザ・エンジュという同い年位の女の子。偶然なのか、エンジュもまた、エンジェル界の王家の娘であった。
「エンジュちゃんは、誰が好きなのぉ?」
「……あ…でぃ、ディーク君」
「其れほんとぉ!?僕も!エンジュちゃんの事好き!大好きだよ!!」
何時もの告白?の挨拶を交わすと、ディークとエンジュはかくれんぼをする為、鬼を決めようとじゃんけんをした。
グーとパーでディークは負け、壁の方に顔を向けてしゃがむ。其れを確認したエンジュは、ダッと兎が駆けるかのように走出し、其の場から立去った
―――――……
「―…きゅーぅ、10ッ!もぅ好いかい?!」
耳に全神経を集中させ、研ぎ澄ます。小さく、消え入りそうな声で「も……い…よ」という返答が聞えてきた。其れは、探しに行っても好い合図と捉え、ディークは声がした方向へと走った。
「……さて、と。何処に隠れたかなぁ…あ」
ディークの足は止った。そして、ある一点から目が離せずにいた。
(如何して…?)
瞳に映るのは、エンジュと天使族だと思われる見知らぬ同い年ぐらいの少年が、楽しげに話している光景。
ディークの心の奥底に、黒いドロドロとしたものが溢れだす。そして其れに、青い炎が宿った。
「何してんだよッ!?」
「!…ディーク、く…?」
自分でも驚く位に怒鳴り、エンジュと少年の間に割って入ると、彼女の方に向直り、聞く。「どっちが好き」なんだって。すると、エンジュは戸惑った表情をした。
更に、炎の威力が益す。嫉妬という名の炎が…。
ディークは深く息を吐き、「もう好いよ…」とエンジュに向けて言うと、来た道を引返す。其れを察して、エンジュが彼の腕を掴んだ。
「ね…ねぇ、三人で遊ぼうよ。そっちの方が、楽しいよ!」
掴んでる手に、力が籠る。勉強よりも使ってるんじゃないかって位頭をフル回転させ、自分の伝えたい事を、ディークに言葉で伝える。
だが、ディークの反応は更に冷たくなり、手を払い除けられた。
「……でぃ…」
「世間では天使って、良い人として崇められてるけどさぁ、エンジュの場合天使ってゆぅか、悪魔を誑かす悪女だよなぁ」
「……え…」
「エンジュの悪口を言うなッ!!」
突然の第三者の声がしたかと思うと、ディークは誰かに突飛ばされた。顔を上げると、さっきまでずっと黙っていた少年が、恐い顔をして此方を見下ろしていた。
「何だよ、御前。まだ、居たのか?存在感薄かったからさぁ、僕はてっきり帰ったもんだと思ってたよ」
「俺の事は如何でも好い。其れ以上、エンジュの事を悪くいうんじゃねぇよ!此の悪魔がっ」
「!……テンく…」
エンジュはバッと、テンと呼んだ少年の口元を手で覆う。だが、其れは後の祭り。其れ処か、彼女の其の行動こそが、火に油を注いだ様なものだった。
ディークは、無言のまま、其の場を立去った。其れを見て、テンは勝った!と喜んでいたが、エンジュは何故か、切なさと、胸騒ぎを覚えていた。
「エンジュ、如何したの?遊ぼうぜ」
「あ…あの、ゴメン。ちょっと、気分悪くなって…」
「ふーん。じゃあ、サッサと帰らねぇとな。送ってった方が好いか?」
「うんん、大丈夫。有難う、心配してくれて」
二人は其処で、別々の経路へと戻っていった。
後書き
「天使と悪魔」は、私が小学校二年生か三年生位の時に思い付いたネタなのですが、あの時は上手く形にする事が出来ず((今もだろッ!!
やっと物語の初めが出来たという感じで、とても嬉しい気持ちです♪えへへ((気持ち悪いッ
初出【2012年1月4日】の一部削除を除き、ほぼそのまんまの文章の配列に後書きを改めて読んで……そういえばこの頃、少女漫画に出てくる様なカッコイイ男の子を描きたかったけど、少年漫画に出てくる様な、男性読者が支持する男キャラも描きたいっていう欲張り状態で、結果…中途半端なヒーローになった記憶があります…((←!?……えっ…((((;゜Д゜)))))))
それで、前述の少女漫画に出てくる男性を描きたいという事からそのっ…女性キャラが雑な扱いというか……一応書き上がってる約50話は、話の流れから修正しても、女性キャラの出番は変えるのが難しいけど、まだ書いてない残り…何話だ?までは、もう少し女性キャラの扱いをちゃんとしたいと思いました(`・ω・´)