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第5章 脱出編 その13 大脱出

第5章 脱出編 その13 大脱出


 ようやく魔力吸収寄生生物サナダグンを退治して、本格的に脱出計画に全力だ。僕は調査船に向かう。おっと、その前にちゃんと言わなきゃね。

「これから僕は北端へさきで最終作業に入ります」

 だから後のことはみんなに任せるしかない。街全体のことは元老院に、主推進機関はオネエサンに。

「国防と街の治安はシャルネさんに一任します。英士隊はむろん、雄士隊、防衛隊への指揮権、僕のゴーレム群、その他、レクア防衛・治安維持に関するあらゆる権限は全てシャルネさんに委譲します」

 普通ならあり得ないんだけど、今は非常時。これは元老院にも承認してもらってる。万が一、クーデターを起こされても僕はすぐ降伏するつもりだから問題ない。

「……モーリ様……」

 なのに、シャルネさんの表情が暗い。

「わたくしのような不忠者に……」

「シャルネさんは不忠じゃありません。さっきは僕の話し方が悪かったんです。気にしないでください」

 先にサナダグンの弱点を教えていれば、いくら例のイベントの件で動揺してたって、さすがにあそこまでこじれなかっただろう。それくらいは僕にも責任がある。それにしたってあんなに動揺しなくても、とは思うけど、シャルネは潔癖な人だからね。

「何よりも、これからは、僕はともかく、エルダもエマも、エスリーすら総動員して脱出作業に入ります。外敵や治安はシャルネさんたちに対処してもらうしかありません」

「はい!不肖シャルネ、モーリ様の脱出計画終了までこのレクアを死守してみせます!」

胃世界では人は無論、魔族の命すら軽いのか?仮にも元老院の一員で、この国の最高権力者の一人と言っていいのに、シャルネさんは死に急ぐ人だ。

「……死守なんてやめてください。シャルネさんにもしものことがあったら、レクアが助かっても僕は悲しいです」

「ひ!?」

 僕、本気で言ってるのに、シャルネさんの反応がいちいちおかしい。口はパクパクしてるし、汗まで出てる。なんだ?僕、また無自覚に地雷を踏んだのか?

「あの、その、ええっと……モーリ様?」

「なんです?」

 僕とそんなに身長も変わらないのに、なんで少し上目遣いなんです?

「わ、わわわわ……わたくしは……今のお言葉を素直に受け取ってよろしいのでしょうか?」

「はあ?もちろんです。この期に及んで僕はウソなんて言いませんよ」

 それでなくても僕はウソはキライで苦手だ。

「……それでは、モーリ様は、このシャルネをレクアと同じくらい大事に思ってくださっていると……」

 一瞬詰まった。そこは命の価値として等量じゃないとか、同列じゃないとか思うところはあるんだけど、でも口にするとなんか違う気がする。正解じゃない。

「マオマオ様~急ぐの~レクアめがけて怪獣たちがたくさんクルクルなの~」

 詰まった間、エマが転移シフトして僕をつかんで、そのまま船内に転移した。一瞬で変わる景色に三半規管をやられて、僕はめまいを起こす。相変わらず転移は苦手だ。

「主、もはや一刻の猶予もない。このままではレクアは食い潰される」

 対怪獣用の大型兵器は城壁に集めている。竜酸弾や竜吐水はゴーレムたちに運ばせる。都市部以外は農場の被害も今は仕方がない。

「……エルダ、船をレクア最北端へ。そこで舳先への取り付け作業を始める」

「了解した」

 そういう端からロケットに点火し発進する。まだベルトも固定してないのに。

「エマ、レクア全域に光壁を展開して」

「はいなの~」

 光の障壁が薄暗いだけの空に張り巡らされた。サナダグンみたいな魔力吸収生物でもいなければまず安心だ。落ち着いたらライブも再開させよう。

「エスリーはしばらく僕を支えて。敵が近づいたら船に光壁を」

「旦那様、エスリーのエスはスターンチのエスなの」

 僕に忠実なエスリーはそっと寄り添いロケットの猛烈な加速から僕を護ってくれた。僕は別れ際のシャルネさんの顔を思い出し、しかし今は忘れることにした。

「主、わかっているとは思うが」

「まあ、なんとかなるさ」

 僕はエルダを安心させためにうなずいた。うなずくしかできないとも言うけど、覚悟を決めて連絡をする。これも違うな。覚悟を決めるために、だね。

「オネエサン、先ほどはありがとうございました」

「弟クンか、どうしたんだい?」

 言いたいことがたくさんあったはずなんだけど、なぜか口には出せなかった。

「……いえ、僕はまもなく最終作業に入ります。オネエサンも主推進機関の調整と燃料精製を急いでください。そして準備ができ次第、移動を開始して、とだけ」

「わかってるよ。まかせたまえ」


 わずか数キロで着く世界の果て。ここがレクアの最北端だ。船をそこに降下させる。ここからは精密な作業だ。岩盤を加工し、その上にミスリルの鎖やオリハルコンの杭で船を固定する。さらには岩を溶かして接着させて……。これでもうこの船は航行能力を失った。

「旦那様、寂しそうなの」

「まあね。この船には世話になった。オネエサンにも貸し出す約束してたのに、約束、破っちゃったな」

「主、それはただの感傷だ。これからこの船はレクアの行く手を遮る全てのものを討ち滅ぼす矛の先となったのだ」

 別荘をなくすエスリーとは逆に、これからは自分のものだって宣言するエルダは元気だね。

「矛っていうか、衝角ラムの先だけどね」

 胃世界に浮かぶ都市国家レクアを船にみたてた場合、その小さな舳先の先端だ。しかしこの世界で最も硬いマジカルファインセラミック、オリハルコンでできている。更に討滅妖精エルダの力が込められ、僕の守護妖精エスリーの光壁が護り、さらにレクア全周を覆うエマの光壁まで力となる。たとえ世界竜の胃壁がどんなに分厚く、そのお腹の革がどんなに硬くても破れないわけがないと思う。時間は、まあ、それなりにかかるだろうけど。


「弟クン、こちらの用意はできた。ただいまよりレクアを移動させる!」

「あ、オネエサン。少しだけ待ってください。今から街の人たちに注意を呼びかけますから」

 元老院の方でやってるとは思うけど、なにしろここの人たちは読み書きできる人が少ないし、魔法的連絡手段に頼ってる。はっきり言えば妖精ネットワークにだ。

「エマ……全世帯中継を始めて」

「はいなの~」

 街妖精のエマが、レクア中の家妖精を通して、メッセージを送る。

「マオマオ様~もういいの~」

「つないで」

 できればオーマークさんにやって欲しかったんだけど、もうそんな余裕はない。

「……レクアのみなさん、魔王モーリです」

 これはプレゼン。人前で話すことも仕事以外じゃ苦手だったけど、それを言うならこれは魔王としての僕の仕事だろう。なら大丈夫。僕は落ち着いて、包み隠さず話しかけることにした。ただ、事実を。そして希望を。

「現在レクアは度重なる外敵の来襲を……世界竜の内生生物からの襲撃を受け続けています」

 一度ならずサナダグンを退けたことも、しかし、まだまだ襲撃が続くであろうことも。

「……今、なぜ外敵の襲撃が激しくなったのか。それは……僕は、世界竜そのものが異常な状態にあるから、と推測しています」

 世界竜の魔力マナを吸収していたサナダグンが今になって立て続けにレクアを襲ってる現状も、世界竜の脈流が静止し、竜酸海の海流が急激に変化していることも伝えた。

「だから、現在の異常現象は、ただ耐えれば過ぎ去る一過性のものとは考えにくいのです」

 エマがなにか言いたそうだ。街中の住人、精霊と一種の共生関係ともいえる彼女には、おそらくかれらの不安が伝わるんだろう。僕は、その、リボンに埋もれた金髪ツインテを撫でた。エスリーににらまれたけど、仕方がない。

「……みなさん、不安に思うのは当然です。ですが聞いてください。この事態から、胃世界の危機からレクアを救う手段があります。僕はこれからそれを実行するつもりです」

 別な理由からではあったけど、5年前から準備を始めていた計画。その前倒しを元老院に求め、受諾されたこと。既にその用意が終わり、そして。

「今、この時をもってこの計画は実行に入ります……胃世界脱出計画、開始です」

 オネエサンから、主推進機関起動開始の思念が届く。僕に仕えてくれる精霊たちが続々と報告に出現する。全ての思念を受け入れながら、僕は住民への呼びかけを続ける。

「これからレクアは胃世界の海をわたり、胃壁を突き破って世界竜の体内から世界へ、そう、かつてレクアがあった、元の世界へと帰還します」

 ざわざわ……奇妙な気配が全身を這い回る。なんだろう?住民の不安がエマを通して僕にまで伝わってるんだろうか?

 操舵輪を握り前方を見ていたエルダが振り返る。

 隣に来ていたエマがあらぬ方向に顔を向けてる。

 僕に寄り添うエスリーまでも珍しく僕じゃない方向に目を向ける。

 なんだろう?僕、この子たちにも嫌われた?もしそうなら僕は死ぬな。

「……ええっと、みなさん、不安はあると思いますが、この計画にはレクアの全てをつぎ込み、住民の安全には最大限の配慮をしています。これからレクアは北へ向けて加速を開始しますけど、できるだけ体を固定して……椅子に座るとか寝台に横たわるとかして、揺れや振動に備えてください」

 その直後、どすんって感じで猛烈な加速がきた。僕はエスリーたちに護られてるけど、住民は大丈夫だろうか?なんとなくエマを見るけど、エマは僕を見ていない。どういうこと?

 ざわざわざわざわ……何かが体の中を這いずり回って抜け出してく、この違和感が気持ち悪い。

「今、偵察精霊から報告がありました」

 風の精霊の中でも上位の方の一人が、僕の前で実体化した。うわあ、その内容、どうしよう?いや、無用な隠し事はなしだ。

「……加速を始めたレクアを追いかけるようにたくさんの内生生物が移動を開始したのが確認されました。ですが、怖がることはありません。レクアの速度はこれからさらにあがり、大型生物では追いつけないし、中小型生物では街妖精エムリアの光壁を突破できません。更には国防司令シャルネさんの指揮の下、防衛体制は万全です」

 一瞬浮かんで落ちる感覚。飛行の浮遊感だ。

「今、レクアは離水しました……離水というのは、つまり……レクアは今、竜酸海から離れて胃空を飛んでします」

 ……おかしいな。こんなに速く離水速度に達するなんて、マジか?いくら主推進機関の出力が大きいからってこの質量が飛ぶには相当の加速が必要だし、そんな加速の割には国内への被害の報告もない。僕は船内の、いや、今となってはレクアという巨大な船の船首の窓から外を見ようとしたけど、元々暗いうえに波しぶきがザブザブ当たって光壁で蒸発してて、視界悪すぎ。

「オネエサン!レクアもう飛んでるって!」

 僕は主推進機関を一任しているオネエサンに思念を送った。

「落ち着きたまえ、弟クン。現在、僕の使役している精霊たちからレクア全土の異常な質量軽減が報告されている」

その報告、僕に来ないの?

「始めて聞くんですけど」

「ああ。ボクの方で一部の報告は止めていたけど、緊急事態が起きた場合、胃世界脱出が間に合わない可能性があった。だから推進機関はキミの計画より随分と大規模にしていたんだ」

 確信犯か!?

「……どうしてです?なんで教えてくれなかったんですか?」

「飛行速度への迅速な到達を指摘したとして、実行は不可能。キミはそう考えただろう」

「……まあ、そうですね。こんな大きな土地を……江○区くらいだけど……急発進、急加速するなんて危険極まりないし、いくらエマたちが護ってても住民の安全が保証できませんし、なにより不可能でしょう」

 実際に飛んでるらしいけど。質量の異常な軽減?なにが起きたんだ?

「キミならそう言うよね。だからボクの方でインキチしたんだ」

「インキチ?」

 そんな小細工でどうにかなるような現象じゃない!

「ああ。時々、キミに精神接続サイコアクセスをして、キミの知識を一部もらってね。ボクの練成炉で、反物質を精製したんだ。異世界の知識は実に興味深い」

「はあ!?」

 反物質!?それは僕の前世でもまだ実用化してない技術だぞ………………だけど可能だな。

 確かに練成炉の中では魔力で包み込むことができる。だから通常空間では精製困難で危険極まりない反物質でも、物質を反転させることで楽にできる。つまり、理論さえ理解できれば、練成炉内で精製は容易……あれ?

「じゃあ、レクアの主推進機関って!?」

「もちろん反物質エンジンだよ。あ、当然ながら補助と偽装の意味でロケット推進機関もちゃんとついてるから安心したまえ」

 安心要素が一つも見えません……気が遠くなりそうです。

「……なにを……なにやってくれてるんですか、オネエサン!」

「まあまあ気にしない。キミが知らないだけでウーシュたちには報告してるから。もっともさすがのウーシュも反物質がなにかよくわからないみたいで、あっさり承認されたけど」

「魔法世界の住人にあっさり理解されたら僕が驚きますよ!……は?まさか」

「だから安心したまえ。レクアの質量軽減は、違う理由だ。決してレクアの国土を反物質に変換してるなんて共食い推進じゃない」

 質量がこんなはっきり計測されるくらいの反物質なんて反応させたら、もう制御不能だろう。

「じゃあ、なんなんです?確かにいくら反物質エンジンでも、この質量での急加速は」

「キミが言ったじゃないか。ここは魔法世界だって」

「……まさか魔術ですか?」

 いや、でもそんな、バカな?重力魔術は高難度の上に魔力をバカみたいに食う。レクア全土を軽減するなんて、それこそ僕くらい異常な魔力でもない限り無理じゃないか?そして僕は魔術を使えない。

「安心して、モーリちゃん」

 ゾクゾク。僕はその声でようやく振り向いた。さっきからの違和感の正体を突き止めるのが怖かったんだけど。

「…………ママ」

 ママがいた。8代魔王にして、僕の転生体の製作者、アルビエラ母さんだ。

「最後の子よ。我らが祖国レクアのために、そしてあなたのためにわたしは異端の知識に手をつけたのだ」

 神祖リエラさんがいた。このレクアを胃世界で生きながらえさせた、偉大な魔王だ。

「わらわも今、この瞬間だけ、この世に戻ったぞ」

 まだまだ小さい童女魔王のリリエラちゃんがいた。

「こんな面倒くさいことは僕はもうイヤだからね」

 マリエラちゃんは双子のリリエラちゃんに捕まってた。

「わたしにだって、少しくらい母親づらをさせてくれたまえ」

 母親を名乗るにはイケメン過ぎるルビウエラさんがいた。

「我らが魂は、転生の機会を逃れて湖底にとどまり続けた。それはこの一瞬のため」

 僕の先代にあたるルリエラさんがいた。

 僕が会ったこともない、他の魔王たちもいた。歴代12人。僕の転生体の基になった12人のママたちが。

「モーリちゃん、今、この時のために、わたしたちはあなた共にあったのよ」

「……ママ。それは僕の体に刻まれた魔王斑が実体化したってことなの?」

「そうよ。今は魔王瘡だけど」

 湖底に去った魔王が地上に還ったその姿が魔王瘡だ。一度、そう5年前。僕がまだ魔王になる前、元老院に直談判に行った時、ママとリリエラちゃんとルビルエラさんとルリエラさんが実体化して僕を助けてくれたんだ。そして今は全員の魔王が。

「モーリちゃん。レクアはもうすぐ胃壁に衝突します。もちろんわたしたちが干渉しなくてもそれを破ることはできるけど」

「その間に後方から寄生生物どもが追いついてきてはたまらぬ。時間に余裕もない」

「それゆえ、過保護かとも思ったが」

「こういうのって、お節介だよね、ホント」

「しかし母親とはそういうものだ」

「わたしの娘イシャナためでもあるしな」

 ……それぞれの魔王がそれぞれの思念こえ僕に向ける。これ、今、どういう状態なの?軽くパニクってる僕がいます。

「だから安心して。わたしたちはあなたのお手伝いをするだけだから。今この瞬間だけね」


 正面に胃壁が見えるまでの時間、僕はママたちとたくさん話したかった。だけどその時間はあっという間に過ぎ去って。反物質エンジン、速すぎだろう!重力魔術って、ママたちか!

「……主、これより本船は世界竜の胃壁に、胃世界の果てに衝突する」

「街のみんなはもう落ち着いたの~だって魔王様たちの姿を見たら、怖いものはなんにもないの~」

「旦那様はさっきからエスリーとお話してくれないの。エスリーのエスはシングルのエスなの」

 僕の妖精たちは、なんていうか自由だね。

「それはモーリちゃんのせいなのよ。妖精は主の魔力に依存するんだから」

「そう。妖精とはマナ的な存在だ。その依り主の影響を大きく受ける」

「少なくてもわらわの時は、こやつらももっと真面目であったぞ」

「普通に堅苦しかったよね」

「放任というわけじゃないから、いいことだとわたしは思うけどね」

「わたしの治世の間は、みんな、特に家妖精は口うるさくて」

 僕との縁が強い魔王はその姿も声もはっきりしてる。そして、魔王たちのおしゃべりの間の、エルダ、エマ、エスリーの表情は言うに言えないって感じで、みんなおんなじ顔してて、なんか面白かった。


「この姿もしょせんはかりそめ。長くは持たんな」

「神祖もか。わらわもそろそろ限界じゃ」

「あ~あ、やっと開放されるよ」

 リエラさん、リリエラちゃん、マリエラちゃんがつぶやく。胃壁にぶつかった衝撃はほとんどない。いつも以上の魔力にあふれた光壁の前では、柔らかい胃とかの内臓は一瞬で蒸発していった。

「だが、このペースでも無理そうだね」

「ええ。ではここいらでよろしいですか」

「みなさん……ありがとうございました」

 なぜかアルビエラ母さんが頭を下げるや、レクアの衝角ラムになってるこの船が黄金色の輝きがまばゆいほどに強くなった。

「ママ?」

「大丈夫よ、モーリちゃん……そして……さようなら」

「ママ!?」

「本来死んだ魔王わたしたちは、世界の秩序に従って次の生を受ける存在よ。でもね、わたしたちは、そもそもこのレクアを護るために、世界の秩序に逆らう存在でもあるの」

「それ故、我らの魂はレクアの湖底にとどまったのだ」

「来るべき今日のためにな」

「みんなで逃げ出すためだよ」

「元の世界、世界竜の外の世界へね」

「これは、円環から外れたわたしたちが、円環に戻るだけのこと」

 ひときわ強力な光が前方に放たれた。窓の外はもう黄金の壁しか見えない。

「だからモーリちゃん、悲しまないでね」


 強化された光壁すら耐えきれない、そんな衝撃が続いた。エルダは操舵輪を話さず前を見続け、エマは住民に呼びかけ続け、そしてエスリーは僕をずっと支え続けてくれてた。


 ……どれくらいたっただろう。


 十二人の魔王の姿はなかった。そして、僕の全身にあったはずの魔王斑もまた消えていた。


 そしてレクアは青空の下、地上に降りた。落ちたとも言うけど。

 青空だ。きれいな、そして自然な青空。懐かしくて、そして、泣きそうになった僕です。

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