表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/90

第5章 脱出編 その1 5年後のレクア 前編

第5章 脱出編 その1 5年後のレクア 前編


「旦那様、もう朝なの」

「う~ん……エスリー?」

「今朝はお寝坊なの」

 おそらくは僕が目ざめるまでずっと見守ってくれていたエスリーだ。僕を案じる幼い顔に優しい笑みが浮かぶ。でもすぐに唇をとがらせた。

「最近、旦那様はお仕事しすぎなの。お仕事は一日1時間なの」

 そんなホワイトな生活、憧れはするけど、正直罪悪感を感じてしまう。生まれ変わっても貧乏性なことに変わりはない。こればかりは僕のかわいい家妖精に何度叱られてもなおりそうもないね。

「おはようございますなの、旦那様……ん」

 ようやく体を起こした僕の頬に、エスリーがおはようのキスをしてくれる。う~ん、これだけで今日も頑張れます。

「うん。エスリーも、おはよう」

 ごく自然にエスリーを優しく抱いて、そのおでこにキスを返す。我ながらすごい進歩だ。ここに達するまで5年もかかったけど。

「旦那様、今日もマナ・ドロップが見つからないの。やはり魔力の使いすぎなの」

 エスリーは、僕の血を吸って少しだけ成長したけど、それからは相変わらず12,3歳くらいの少女の姿で、僕に甘えたり、でも母親のように僕を叱ったり。

「いやいや、あんなものが毎朝出てくる方が異常だったんだよ。それにこの生活もあと少しさ」

 過去の魔王が渾身の力で凝縮させることができたという、純粋魔力の結晶がマナ・ドロップだ。それが寝てるだけで出てくる僕の魔力量こそ問題あり過ぎ。なんて考えながら窓を開ける。窓には板ガラス。今ではレクア中に普及している。おかげで住宅の居住性があがり、家妖精たちの、しいては住民の魔力負担も減少した。窓からは近所の窓にもガラスが全部はまってる眺めが見える。ここまで頑張ったなあ。ガラスの普及は国土強靱化計画の初期目標で、ほぼ達成した。投影された薄暗い青空は、しかし5年前より明るく感じた。


「旦那様……どうぞなの」

「んじゃ、いただきます」

 椅子に座った僕と、その膝に座り向かい合わせで抱きつく姿勢のエスリー。傍から見れば大いに誤解される光景だ。前世ならジアンとかジケンだね。だけど、これは朝食だ。

「『栄養補給サプリ』なの」

 僕の体表面から自然放出される余剰魔力をエスリーがおいしくいただいて、その魔力で術式「サプリ」を唱え、魔力を栄養の形で僕に供与する。ぶううん、って鈍い白銀の輝きの後、僕の空腹感は和らぐ。

食料不足は随分改善したけど、未だレクアには朝食の習慣はない。朝は家妖精の「サプリ」術式、昼食はなし。まともな食事は夕食だけ。とはいえ、お昼休みはあるし、魔族の中には茶湯と軽食を楽しむ余裕ができはじめた。まあ、人族にはまだ贅沢な習慣だけど、週に一度の休日を広めたように、こっちも普及させたいね。

 今さらだけど、レクアの1週間は6日だ。それを3日で半休、6日で全休という形で労役をなくしていった。元老院はじめ支配階級に不評なのはわかってたけど、労働階級、つまり働かされていた人族の反対も根強かった。「休日」という概念を広めるのが大変で、かつ疲れたら休んで、元気になってまた働く方が能率がいいと理解してもらうまでがさらに大変だった。説得に一番効果的だったのは、休日に開放した大露天風呂だ。コニーデちゃんの火山島を魔改造した甲斐があったなあ。もちろん本人の同意を得、更には環境アセスも徹底的にやりました。僕はどこかのブラック企業家じゃない。ホワイトな胃世界魔王(仮)ですから。

 どこかの、といえば、前世の某国民間軍事会社社長さんのお屋敷が1万5000平方kmってなんかで読んだけど、それは岩○県(全国2位)なみの私有地ってこと?レクアは全土でもそんなに広くない。そんだけ広かったら、僕はこんなに苦労しなかった。新発見の資源島を連結して、ようやく……都内6位の江○区くらいかな。

「旦那様?」

「おっと、いろいろ考えちゃってた」

「旦那様は難しいことをお考え過ぎなの」

 今日の予定を考えながら、朝食後のお茶をいただく。うん、おいしい。茶の実を淹れた湯は、白湯の時より少し熱めの方が香りがいい。エスリーはすっかり僕好みの茶湯を淹れてくれる。贅沢だなあ。5年前には白湯でも贅沢だったけど。

「ところで旦那様」

「なんだい、エスリー」

「さっきから元老院の使いが待ってるの」

「…………そういうのはもっと早く言って」

 エスリーは僕との時間を何より大事にしてる。それはうれしいけど、メイドとしては失格だ。まあ、かわいいから許すけどさ。

「あ……そう言えば今日って」

「はいなの。元老院の定例会議なの」

「ああああああ!またオーマークさんに叱られる!」

 もちろんウーシュさんにもいじめられる。僕は魔王だけどこの二人には今も頭が上がらない。


 きらめく大理石に勇壮な彫刻の数々。レクアではありえない豪華なつくり。ここは元老院の奥の院だ。とはいえ、空間魔法で拡張していたスペースは閉鎖した。このご時世、あんな魔力のムダ遣いは許せない。閉鎖に反対する元老もいたけど、そこは強行した。具体的にはエマをけしかけた。あの時もオーマークさんに叱られたなあ。ウーシュさんは笑ってたけど。

 今朝の会合に遅刻した僕は、やっぱり叱られていじめられた。まあ、恒例だし、他の元老たちから離れた場所で、だった。あれでも二人は得がたい味方で、僕に配慮してくれたんだろう。待てよ?「シャルネはんには黙っときます」って……これ配慮じゃなくて弱みを握られたんじゃないのか?……諦めよう。今さらだ。

「どうぞ。ジマの茶実湯、実は3年物にございます」

 家妖精のテネス氏が出席者の前にお茶の入ったグラスを置き終え、退室する。いつ見ても惚れ惚れする執事ぶり。ナイスミドルって格好いいね。

 お茶の実を淹れたお湯、通称「茶実湯」も、上流階級ではすっかりなじんだ。最初はシャルネさんにすら毒って誤解されたんだけどな。今は元老院ですら喜んで喫している。ちゃんと乾燥した実ほど風味がよい、と評価され、現状5年物が最高級、3年物でも相当の高級品だ。ただ、ジマ茶のジマがなにかは僕も知らない。

「これより定例会合を開催します」

 今の議長は鬼族一位ウスル家だ。鬼族には珍しい、知的で美形な鬼だ。まあ、「鬼王の乱」で、当時の鬼族では珍しく主戦派に与しなかった功績と、なによりその優美な外見と典雅な言動が魔族ウケしたのだろうと言われている。そこに僕の意志はない。事後承諾はしたけど。

「では現在の人口問題について、人族代表イスカ、アームの両家より報告を」

 元老院でもほぼ末席の両家は人族だ。だから、魔族や鬼族といった長命種と違って年相応な外見だ。レクアが胃世界に落ちて以来既に数代の代替わりもしている。このレクアでは下位種族と言われる彼らが末席とはいえ元老院に席が与えられているのは、その人口もさることながら、このレクアの種族構成に問題があるといっていい。

 魔族は女性のみで鬼族は男性のみ。そしてこの両者の間に子どもは生まれない。じゃあ、どうやって繁殖してるのってなる。そこで人族だ。つまり、魔族には人族の男性を、鬼族には人族の女性をそれぞれイスカ家、アーム家が紹介する。それでまあ、三種族の歪な関係が成立しているわけだ。イスカ家とアーム家のもくろみによっては、例えば人族の兄妹をそれぞれ魔族、鬼族に紹介することで、人族を仲立ちとした形ながら魔族と鬼族に姻戚関係すらつくりだせる。まあ、そういう回りくどい上に後ろ暗くて、しかし有効な手は主にウーシュさんが差配していたみたいだ。「閨閥づくりは支配の基本です」なんて涼しい顔して言ってたし。

「……魔族には此度18人の、鬼族は34人の新生児が無事出産いたしました」

「人族の乳幼児死亡率は急激に減少。ここ数年の危機的状況から脱しつつあります」

「これらの結果、この国の人口もそれに伴う魔力総量も数年以内に増加に転じるでしょう」

 ……ここの人たちは統計以前に算数が弱い。基本、精霊に頼ってたせいかもしれない。だから正直に言えば、僕がエマと家妖精ネットワークを使い、自分で計算した方が正確だったりする。いくつかの質問と補足は結局僕が自分ですることになった。

人材発掘が急務なんだけど……育成が先になっちゃうのかなあ。

「続いてレクアの防衛体制について」

「はっ。魔族第4席を拝命しております、アルシャイア家当主シャルネです!」

 固い!魔族第4席ともなれば、元老院でも中堅どころと言えるし、同時期に任命された新人元老が何人もいるわけで、そこまで生真面目にならなくてもいいんだけど。ちなみに元老院の家名は本人か親の名前を名乗るのが通例らしい。

「今までレクアでは、魔族、鬼族、人族がそれぞれ英士隊、雄士隊、防衛隊を組織しており、その指揮系統も戦術も装備も統一されておりませんでした。更には最大戦力である魔王様の従属妖精との連携も考慮しておらず……」

 うん、やっぱりシャルネさんは優秀だ。エルダやエマとの連携?そこまで考えてくれてるなんてさすがだね。重要課題だけあって元老院の雰囲気も緊張を増す。

「シャルネ殿が上位指揮者として就任なさることに否やはない。しかし我ら鬼族の若者を魔族の指揮下に置くなど」

 まだわかってもらえないのか。新しく元老に任命した鬼族3位の人。種族がどうとか?もうこのレクアにいる限り一蓮托生なのに。

「我ら鬼族にも新たな部隊を、さもなくばシャルネ殿の麾下に鬼族の者を副官として」

 うわ~面倒くさい。そういう複雑な政治だか種族カーストだかを持ち込まないで。困ってる僕を見たウーシュさんは楽しそうだ。

「モーリはんの寛大さにつけこんで、鬼はんたちは、先だってのことをもう忘れたんです?さすがにおおらかな方々ですなあ」

 やはり甘かったのかな?なんかウーシュさん、鬼族だけじゃなく遠回しに僕まで叱ってるみたいだ。でもなあ、鬼族を追い込むより、できるだけ味方にしておきたかったんだ。

「まったくです。成人への魔力供与義務と、若手への兵役、反逆した元老院メンバーの一新のみ……鬼王に与した裏切り種族に対し、実に寛大きわまるご処置をくださった魔王に意見するなど、考えられません……しかも新参者が」

 オーマークさんったら、怖すぎ。ウーシュさんが真綿でソフトにネックじわじわ攻撃だとすれば、オーマークさんは大なたでスパッと首切りってハードな感じ。

 硬軟同時攻撃をくらった鬼は、さすがに沈黙した。やっぱり頭のいい人たちが味方になると助かるな~。時々叱られていじめられるくらいはたいしたことじゃない。

「鬼王の乱」後、鬼王に加担した鬼から、彼女らを救出できて本当によかった。僕は直後にオーマークさんと密談し、新たに元老院首席に任命した。いわば魔王公認の筆頭にして代理人に近い要職だ。レクアの危機意識を共有できた彼女に僕の信頼は極めて厚い。

正直僕なんかより魔王向きって気はしてる。ただし、母国由来の知識とこの異常な魔力が役立つ限りは、譲位する訳にはいかない。それはウーシュさんにも約束した。ウーシュさん自身は表に出たがらない性分だから、結局現状のままで、でも事実上のナンバー2だ。ちなみに彼女の影武者であるホムンクルスは無事だったけど、その後公的な場には出ていないそうだけど……正直、今のウーシュさんが影武者じゃないと言いきる自信はない。

「シャルネ」

「はっ!では報告を再開いたします!」

 う~ん、オーマークさんの前ではシャルネさんも未だ一介の軍人って感じだ。まあ、見かけ以上に年齢差もあるしなあ。

「現在、英士隊は隊長ジナを中心に人員を増加させ、再訓練中です」

 もともと4班20人編制だったけど、これを6班30人編制にする予定だ。本当は倍の8班までしたかったけど、ムリだった。30人だってウーシュさんたちに散々苦情を言われた。そもそも魔族の人数がすくなすぎる。

 加えて英士隊はK特隊とは比較にならないブラック勤務だ。巨大怪獣相手に徒歩で立ち向かい、休日知らずの連戦任務。「20代でもキツイんですよね~」って副官魔導師のリュイシアさんがこぼしてたけど、あの人絶対20代じゃないよね。まあ、増員は平時、定期的に休日を与えるためでもある。

「鬼族の雄士隊もまた増員。現在英士隊、防衛隊との共同訓練を行っております!」

 シャルネさんの統率の下で、訓練は順調に推移っと。ジナさんも頑張ってるんだな。

「あんなあ。シャルネはんがおらん場所でもみなさん仲良うしてます?」

 そこにやんわりと入ったウーシュさん。一瞬だけど詰まったシャルネさん。

「そこは、まだ大きな課題ではあります」

 まあ、そうだよね。とはいえ、シャルネさんが直接指揮してる場合は及第点ってだけで、うまくいってる気はする。最悪でもエルダが討滅に来るまでの時間稼ぎができれば充分だ。そのために必要なのは、戦闘力の向上じゃなく、集団行動の厳密化のはず……あ-そういうとこが不十分じゃないかってウーシュさんが指摘したのか。ソフトな口調でも指摘は鋭いよね。

「ジナはんも苦労してますなあ。どうです、時にはモーリはんが慰労なさっては?」

「なんで僕が?」

 そう言えば、ウーシュさんとジナさんは秘密会談で知り合ってたな。まあ、出席者と護衛の一人って関係だったけど。

「だいたい僕はジナさんに叱られてばっかりですから、会いに行っても迷惑なだけですよ」

 ……この世界に来てから、最も古い知り合いに、今も叱られてばかりの僕だし。なさけないね。

「ジナはんも苦労なさいますなあ。シャルネはんもですけど」

「わ、わたくしはなにも!……ジナは、まあ、そうでしょうけど」

 う~ん、新防衛体制はシャルネさんとジナさんの負担になってるのか。わかってたけどやっぱり大変な仕事を押しつけちゃったなあ。

「まあ、防衛・治安の現状はわかりました。うちの手番でええです?」

「まだだ!次はあたしの番だろ!ウーシュは順番を守れ!」

 ……居たな。もう一人。見かけだけならエスリー以下の、幼女元老が。魔族の第3席だからそれなりに偉いのに、初期に練成されたせいか、通常20代で成長(老化)が止まるのがヒトケタで停止しちゃった問題児。見かけも中身もそのまんまなんだけど。

「はいはい。そうでした。お先にどうぞ」

「うむ!では報告するぞ!」

 幼女元老はいつも名乗る暇こそ惜しんで報告しはじめる。そのせいか、僕は彼女の名前を未だ覚えていない。

「では教育問題だ!魔王がうるさく言うから庶民の子ども、成人であっても希望者には読み書き計算を教える機関を設置した!」

 ここの人たちの、人以外の種族もだけど識字率はかなり低い。魔族や鬼族なら書物妖精が読み聞かせてくれるし、朝から晩まで働く人族にはそんな余裕はない。そのうえ、大概なことは妖精が済ませてくれる。電子メールのかわりに家妖精ネットワークが伝えてくれたり、公報だってエマを通して全世帯に流される。だからだろう。文字そのものが普及してない。計算に至っては目を覆うレベルだ。うん、小学生以下だね。将来的には学者や技術者、魔術師たちを養成する高等教育機関も設置したいんだけど……先は長い。現状そういう専門家は徒弟関係に任せるしかない。

 おっと、幼女元老が激高してるぞ?なんだ?


「しかし状況はかんばしくないのだ!この3年で充分な学力に達した者は当初の見込みの半分に達しない!」

 ……3年で読み書き計算をゼロから教える。しかも教師役は未熟。教材も不足。それは目標が高すぎだ。教育は一夜にしてならずだって言ったのになあ。

「理由は、やる気のない者が多すぎるからだろう!やはり理解の遅いものへの厳罰をもうけるべきだ!」

 そうじゃないんだってば。ただ、知識を覚える意味も必要も理解してないから学習意欲に乏しいんであって、まずは動機づけをって……う~ん、この幼女には何回言ってもわかってもらえない。

「……厳罰はいけません。それは絶対にさけてください。それよりも僕の改善案を推進してもらいたいんですけど」

「魔王の案は、大甘だ!あんなものがうまくいくはずはない!」

 人選ミスだな。僕に敵対しない魔族だったからとりあえず現在の地位も権限も認めてたけど、この子は中身も子どもの上に人の話を聞かない。不安はあったが、教育問題はレクアの窮状からすればそこまで緊急の案件ではないせいで、この子を担当にしてみたんだけど。なお、鬼族は当分無役だ。

「では、これからうちらが改善案の中身を検討させてもらいます」

「ん?ウーシュはなにを言ってるのだ?」

「しかたがありませんね。ユウリアは自分でできない上に魔王の指示も聞かない……解任です」

 ユウリアって言うのか、あの幼女元老……いやいや、そうじゃない。

「ウーシュさん、オーマークさん。その、ユウリアさんを解任するって」

「そうだ!あたしを解任?なにを言うんだ?魔王の計画が悪いんだ!」

 ……激高する幼女元老を見て、同時にため息をつく首席と第2席。

「モーリはん、きちんと躾せんからこうなるんです」

「部下を管理できないのは上司の問題ですね」

 怖い……背筋が凍るってこういう感じか?しかも言ってることはまったくのごもっともで、僕は自分が上司に向いてないって改めて教えられた。知ってたけど。

「せやけど……ねえ、オーはん?」

「……はい。今はレクア危急存亡の秋。それを理解もせず今に至るまで元老院の地位に安穏としていた己の怠惰を呪うがいい!」

「た。怠惰ってなんだ……あたしが悪いのか!?」

「まあ、ユウリアはんを甘やかしてたのは、モーリはんだけやなかったいうことです。うちらも反省です。もちろん、ご本人が一番ですけどな」

 以前から感じてはいた。レクアを事実上支配していた元老院の9人だったけど、支配者としての能力には圧倒的な差があるって。戦闘力とかわからないけど、オーマークさんとウーシュさん二人の力量は他7人と比べ圧倒的と言っていい。僕が抜擢したシャルネさんだって、あの域に達するには何十年もかかるんじゃないかな。

 幼女元老さんは年齢相応に泣きそうだ。

「……だけど、ここで担当を変えたら、ユウリアさんが成長する機会を奪ってしまいますよ」

 ここで、さっきを上回るくらい深いため息。しかも今度はシャルネさんも一緒だったし。

「ここは呪いの一つでも見せはるところですのに……相変わらずやなあ」

「……ユウリア。これが最後の機会だと思いなさい。以後魔王のご意志に逆らうことは、たとえ魔王が許してもこの元老院首席オーマークが許しません」

 かくかく。まるで壊れた機械のようにうなずく幼女元老だ。硬直してるしかわいそうだな。なんだか僕が悪の秘密結社の首領にでもなった気分だね。まあ、魔王なんだけど。

「え~っと、だから、その、レクアのため一緒に頑張りましょう」

 柄にもなくそんなことを言った僕だけど。幼女元老はうつむいたままで反応なし。

 反応があったのは、こっちの方。

「モーリ様らしい」

「らしいいうんは認めますけど」

「いい加減、少しは魔王らしくなってほしいものです」

 なんでそこで三人が息合ってるの?まさかシャルネさん、もうそっち側に行っちゃたの?まだその領域が行くには早すぎですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ