表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/90

第4章 その2 討滅妖精 対 管理妖精 胃世界最大の決闘・・・・・・の意外な結末

第4章 その2 討滅妖精 対 管理妖精 胃世界最大の決闘・・・・・・の意外な結末


 太陽も月も星もない暗い胃世界に、巨大な雷光が次々現れる。

「あんな攻撃を受けてるのに・・・・・・」

「エマも前より粘るの」

 雷光を浴びせ続けるエルダさんと、それを光壁で防ぎ続けるエムリアさん。そしてそばにいて僕を守ってくれてるエスリー。みんなレクア湖の妖精で、僕と契約してくれてるんだけど。

「なんでエムリアさんが僕たちを襲うんです?」

「マオマオ様~申し訳ないけど、エマエマたちには本当の契約者がいるの~マオマオ様とは一時の過ちだったの~」

 なんか僕が間男みたいになってるぞ。NTR系はキライなんだけど。

「本当の契約者だと?エマ、なにを言ってるのだ?」

「旦那様以外にそんなのいないの。エスリーはもうそう決めたの」

 エスリーが僕をかばうように言ってくれたのはうれしい。僕の指には間違いなく「フェアリーリング」がある。アルビエラ母さんがくれた、魔王と妖精の契約の証だ。だから僕以外に彼女ら湖の妖精を従えられる者はいない。僕が退位して次の魔王に譲り渡すまでは。

「そうじゃないの~エマエマたちは~・・・・・・あ~内緒なの~」

「今さら内緒?ここまで引っ張っておいて今さら?」

「女の子の秘密を暴こうとするマオマオ様はいやらしいの~」

 ・・・・・・腑に落ちない。だけどこの子の言うことをいちいち真に受けるのも大人げなさ過ぎだ。僕はまあまあ大人なんだし。

「・・・・・・イシャナさんのことかな?」

 と思いつつも、ちょっと探りの一言。イシャナさんなら先代ルリエラさんの養女で、筋目的には魔王になって当然だ。僕自身、あの子を後継者に指名してるし。嫌われたままだけど・・・・・・だからか?

「違うの~。あ、ええっと、エマエマは何にも言ってないの~」

 ・・・・・・誰がエムリアさんの契約者かは知らないけど、この子を味方なんかにして大丈夫なのか?人ごとながら心配だね。でも・・・・・・イシャナさんじゃない?エムリアさんと契約を結べる人物?心当たりがなさ過ぎる。何かと僕の足元をすくいたがる元老たちだって、僕より上位の契約はムリだろう。妖精って、マナと契約が大事なんだって聞いたし。それに出発前に手は打っておいたし。リベートやらお土産やら、僕への支援は彼らも充分利益を得るはずだ。特にガラスペンがあんなに魔族さんたちに気に入られるとは思わなかったね。

「エマ。それはあり得ない。我らは神祖リエラと契約を結び、その後継者を守護する存在だ」

 エルダさん自身は世界竜の意識の一部が同化してるけど、それも契約の一部みたいだし。

「そうなの。リエラ様が湖底に去られてからは、当代の魔王様のみがご主人様なの」

「そしてそれが魔王モーリだ」

 僕にはなんの力もない。いろいろあって、それでもママに言われたんじゃなくて、自分の意志で魔王になった。それをこんなふうに言ってもらえると、恥ずかしいね。

「まあ、ヘタレで情けないことに異論はないが」

 だけど、その付け足しいらないと思う、エルダさん・・・・・・。

「だから~エマエマたちが契約したのは~あ~これ、言っちゃダメなヤツなの~」

 ・・・・・・なんか、エムリアさんを放っておけば、勝手にいろいろ話してくれるんじゃないかな?なんて思ったのは僕だけみたいだけど。

「なるほど・・・・・・興味深いね。世界竜に飲み込まれて以来の、レクアの真実が垣間見えそうだ!」

「お姉さん?」

 双眼鏡よりも巨大な謎メガネをかけた、見た目十歳児のお姉さんだ。でも、実は僕の体を合成したアルビエラ母さんのホムンクルスで、神祖リエラさんが転生した魂の一部が残ってる。いろいろ知っていそうな人物ナンバーワンじゃないか。

「お姉さん、エムリアさんと契約できる人って誰か他にいるんですか?」

「いいや、見当もつかないね。あえて言えば湖底に去った過去の魔王たちだけど、今さら地上にあがって後継者であるキミのジャマをするとは思えない」

 ですよね~。ママたちとの約束を破ったのならともかく、今のところ、レクア脱出計画は前進中だ。僕が言うのもなんだけど、僕なりに予想外に順調だって思ってるくらいなんだし。

「ええい、面倒くさい。いい加減この雷を受けろ」

「エルエルこそ、さっさと諦めたらいいの~」

 いったん中断してた雷撃が再開した。あ~あ、エルダさんも短気だからな。あのままほっとけばエムリアさんが勝手に事情を話してくれそうだったのに。

 先ほどを上回る巨大な雷がこれまた暗闇にそびえる巨大な光壁を襲う!雷が落ちる度、光壁は揺らぐ。しかし、すぐにもとの輝きを取り戻していく。

「このままじゃ、手詰まりだな」

 しかし僕をやっつけにきたはずのエムリアさんが防戦一方だから、まあ、悪い流れじゃないのかな。

「エムリアさ~ん、もう戦うのはやめて事情を教えてくれませんかあ?」

 とはいえ、エルダさん相手にエムリアさんもすごいよな。あんな攻撃を平気で防いでるし。

「いいえなの。旦那様、エマも疲れてたの」

「え?」

「エルダの雷撃を受け続けてエマも消耗してたの。だから一休みして、魔力を補充してたの」

 まさか、そんな高度な作戦をエムリアさんができるなんて、驚きだね・・・・・・って。

「待って待って!エムリアさんが補充した魔力って」

「はいなの。レクアの住民たちの魔力なの」

 それはダメだ!街に住む人たちは、胃世界の過酷な住環境を維持するために毎日多くの魔力を供与してくれてる。生物にとって魔力を多く失うということは、頭痛や腹痛などの体調不良を招く行為だ。その上、レクアは労役やらも負担させ休みなく働かせる超ブラック社会だ。そんな人たちの魔力をこの戦いでさらに奪うなんて・・・・・・

「降参します!」

 僕は急いで甲板に出て、大声を上げた。

「旦那様!?」

「弟クン、どうしたんだい」

 止めてくれるエスリーにも驚くお姉さんにも悪いけど。

「このままレクアの人たちの魔力を無駄に使わせたら、国を支える魔力人口がいっそう減少してしまうじゃないか!そんなことになったら、最悪5年以内に滅亡するって予測が早まりかねない!何より毎日がんばってる人たちの命を削らせるようなことしちゃダメだ!」

 仮にも前世で過労死した僕がそんなの許せる訳がない!それに、それじゃあ、僕のレクア脱出計画だって間に合わない!

「エルダさん!僕は降参しますから、手をひいてください!エムリアさんも!」

 空中から思いっきり僕をにらむエルダさんは恐いけど。

「マオマオ様~潔いの~。エマエマ、惚れなお~」

「いりません」

「ムカムカなの~!エマエマへの扱いがザツなの~!」

 僕を裏切ったエムリアさんに態度をどうこう言われる筋合いじゃない。それより先に僕にはやることが多すぎる。エムリアさんが僕を連行する間に、やらなきゃいけないことが。

「降参なんていけないの、旦那様!」

「心配してくれるんだね」

「当たり前なの。エスリーだけは旦那様の忠実な妖精なの」

 さりげなく、途中参加のエルダさんや何度も裏切ったエムリアさんとの差別化を訴えるエスリーだけど、この子が僕を特別扱いしてくれることは本当だ。

「ありがとう。でも心配しないで、相手が誰かわからないけど、僕の魔力はムダにはできないはずだ。殺されはしないよ」

 最悪でも、魔臓器待遇ってヤツだな。三食昼寝つきで魔力を搾り取られる家畜扱い。まあ、スローライフを気取るにはちょうどいい。

「エムリアさ~ん、条件によってはちゃんと降参しますから、話し合いましょう~」

 さすがに、殺されるのはイヤだし、僕以外の人たちの扱いもある。無条件って訳にはね。

「オケオケなの~難しい条件はないと思うの~」

 こうるさいBGMとともに七色に光るミラーボールを従えてエムリアさんが近づいてくる。

「・・・・・・本気なのか・・・・・・ふん、好きにしろ。短いつきあいだったな」

 そしてエルダさんは僕を見限ったのか、どこかに飛び去ってしまった。ヘタレな主でごめんなさい。せっかく僕と契約してくれたのに、せめて直接謝りたかったな。

「あ、でも、エムリアさんが来る前にすることもあるか」


「エムリアさん、今回の調査で発見した資源島やその妖精たちや精霊たち、その扱いについてなんて言われてますか?」

「ええっと、エマエマは聞いてないの~だから放置なの~」

 甲板に降りたエムリアさんを僕は迎える。で、そのまま船室にご招待だ。

「エマ!旦那様に失礼をしたらエスリーが許さないの」

 ソファで向かい合って座る僕たち。そしてあくまで僕の傍らを離れないエスリーだ。

「あれ~?エスエス少し大きくなったの~驚きなの~」

「あと、エスリーは旦那様から離れないの」

「ええっと~それはムリなの~」

 話しながらさりげなく立ち上がり、僕に近づくエムリアさん?

「エマ!」

 僕のお世話が仕事で義務で生きがいみたいな最近のエスリーだ。だけど、怒るエスリーを無視してエムリアさんは僕の腕をつかんで引っ張って。

「旦那様!」

「エスエス~またなの~」

 そんな声とともに転移した・・・・・・僕をつかんだまま。しまった。話し合いの前に半ば以上戦力を放棄してしまった僕は、もはや拉致の対象に格下げだったか。ほんと、僕は戦いにもこういう駆け引きにも向いてないね。だけど、戦いの被害は最小限に抑えられた。そこはまあ、自分でもよしとする。

 だけど。

 僕の魔力が頼りで僕の護衛が仕事で僕のお世話が生きがいのエスリー。

 そんな彼女を一人だけ残してしまった。かわいそうなことをしたかも。

 旦那様。

 その最後の声が胸に残って・・・・・・痛い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ