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たべものがたり  作者: 有桜 彩生
1/10

初めての戦い(1)

数回に分けて投稿します

 まだ携帯やインターネットが家庭に普及して間もない頃のこと。


 父宛のクール便が届いた。

 判子を押し箱を受け取ると何やら動く気配。

 箱の外に貼られている伝票を見ると

 「海老」【なまもの】

 生きている海老か。

 とりあえず冷蔵庫にいれておけばいいよね。

 そう考えてスペースを作り箱をそのまま入れて自室に戻った。


 30分くらいした頃、母が自分の実家から電話をかけてきた。


「さおーちゃん(注:仮の私の名前)

 今日海老くるんやけれど」


 もう届いたよ


「そしたら新鮮なうちにさばいておいて。」

 

 は?


「今からおじいちゃん接骨院連れていってから買い物しないとあかんのよ。

 だから今ならまだ新鮮だからやっといて」


 やっといて…って軽く母は言うが、私の脳内では『殺っといて』と変換された。


 殺るのか…私が…海老を…?!


 幸いなことに当時家政学部系統の学科に在籍し、教員免許のため調理実習を選択していたので包丁を握ることには慣れている。

 ただし魚は既に他の人の手で生きていない状態のものしか3枚に下したことがない。

 生きている魚(海老も含む)には一度も手をかけたことはない。


「海老はね、頭を外せば後は簡単だから。まだしばらくはおじいちゃんとこいるし。

 なんかあったら電話頂戴。」


 そう言って電話が切れた。


 車エビの頭なら何度か家でも包丁を入れて落としたことはある。

 それが生きて動いているだけ。

 ならばそんな怖くはないか。


 冷蔵庫を再び開けて発泡スチロールの箱を出す。

 まだがさがさと音がする。

 すまないねー。

 できるだけ苦しまないようにするからね。

 と心の中で謝り箱を開ける。


 おがくずの中に3匹海老がいた。


 だがそれは私が想定していた車エビではなかった。


 そこにいたのは

 ザリガニより大きい伊勢海老だった。

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