ステータス確認その2
僕たちはしばらく警戒していたが他のゴブリンはいないようだった。
しかし安心は出来ずに急いで森の外まで移動した。
周囲の安全を確認してから全員が腰を下ろす。
ゴブリンは森の外まではよほどでないと出て来ないし、森と違って見晴らしもいい。
マップにも反応はないし大丈夫だろう。
「死ぬかと思ったぁ!シリウスありがとう!」
ミトが僕に抱きついてきた。
同年代の美少女。しかも露出度の高い格好のせいで色々な所が当たっている。
主に胸が!僕の二の腕に!
やばい。反応しちまう。
「本当に良く気づいたわね。あんな遠い所のしかも樹上だなんて」
「偶然気づいたんですよ。運が良かったです」
マップもこの世界ではレアスキルだ。みんなにも秘密にしておこう。
「シリウスがいないと私は死んでたよ!本当にありがとう」
だから胸を押し付けてくるな。
こんな所では色々とまずい。
せめて宿で2人の時とかにしてくれ。
「ミトもよくあの状況で躱せたわね。なにか特殊なスキルでもあったの?」
ミトはようやく俺から離れて腕組みをして考えている。
「うーん……特にそんなスキルはないんだけど。なんかシリウスの声が聞こえた瞬間に身体が動いた?的な?」
確かにあの動きはあり得ないほど速いかった。
いくら戦士でもあの速度は無理だろう。
「そういえば俺もゴブリンに突撃する時、シリウスに指示されてからやけに体が軽かったな。攻撃も自分で思ってるより力強くなった」
「あ、それ私も!シリウスに指示された後はゴブリンがスローモーションみたいに見えて負ける気がしなかった」
「私も弓のゴブリンを狙う時、シリウスの指示だったから詠唱したけど、正直あの距離で当てる自信はなかったわ。当たっても牽制くらいのつもりだったのだけど、まさか一撃で仕留めれるなんて」
シルビアも不思議そうだ。
「わ…私も…一発で雷魔法当てたの初めてでした」
やはりこれが指揮官の効果なんだろう。
指揮権とメンバーのステータス向上。
僕が魔法を指示したら、シルビアとエリーゼの魔法の威力と正確性が上がった。
カデットとミトも僕が指示を出した後は自分の想像よりも良い動きだったと言っている。
しかもミトが矢で狙われた時、僕が躱せと指示したら、それまでよりも遥かに速い体捌きをした。
つまり僕の指揮下にいるとステータスが向上するだけでなく、僕が指示した行動をとるとメンバーの動きが格段に良くなるんだ。
これが指揮官の能力か。
これって地味だけと、というか僕自身はなにも出来ないけど。
パーティーメンバー全員を強く出来るならレベルが上がっていけば集団戦ではチートクラスなんじゃないかこれ?
皆にバラしたい!
自慢したい!
褒められたい!
ちやほやされたい!!
急にそんな衝動があったが、指揮権の能力は秘密なので誤魔化すことにしておいた。
「皆さんが優秀だからですよ。きっと本番に強いタイプなのでしょう」
あー勿体ない。
謙虚は美徳って言うけど僕のお陰だぜ!って堂々と言える性格だったら良かったのに。
「えぇーほんとにぃ?そんなに褒めないでよー」
ミトがくねくねと体を捻る。
みんなはまだ不思議そうだが、勝った喜びもあってあまり気にしていないようだった。
嘘ついてる僕が言うのなんだが、そんな考えなしでいいのかよおい。
「最初の戦闘もシリウスの作戦通り、上手くいきましたね」
「うんうん!上手くハマったよねー!」
「ああ。この作戦でもう二、三回行けるだろう」
「か……完璧でした」
そんなに褒められると正直照れる。
遠距離でダメージを与えて、近距離の戦士でトドメって作戦というのもおこがましいくらい雑な指示だったのに。
「皆さんのおかげですよ。パーティー全員の力です」
というか俺は最初の指示以外なにもしていないけど。
「そういえば、私はレベルが2になりました。皆もレベルが上がったのでは?」
「そうだ!ステータスチェックしよーっと」
皆も各々ステータスをチェックしだした。他人には見えないので空中で指動かしている不思議な光景になる。
そんなことより僕もステータスチェックっと!
シリウス
レベル2
HP :10/10 →14/14
MP :10/10 →16/16
筋力 :3 →5
耐久 :2 →4
敏捷 :3 →5
器用 :3 →8
職業 :神官レベル1、指揮官レベル2
スキル:治癒魔法レベル1、、状態異常回復魔法レベル1、マップレベル2、鑑定レベル2、思考加速レベル1
レベルアーップ!!
でもステータスの伸びが微妙、、、
こうスキルは微妙だけど成長率がめっちゃ高いとかそんなことを期待してたのに!
なんか世知辛い異世界だなぁ。
神官のレベル上がってねーじゃんと思ったけど考えたら神官っぽいことなんもしてないわ。
指揮官はレベル上がったんだなー。
最初の作戦立てたのが良かったのか?
指揮官をタップしてみたが説明文に変化はなかった。レベル2に上がったのでパーティーメンバーのステータス向上も強化されたのだろうか。
あと何気に高速思考スキルをゲットしたのは助かる!
戦場でとっさの指揮を出すときに考えをまとめるためには必須のスキルだ。
指揮官のレベルアップに付随して得られるスキルなのかな?
ちなみにマップスキルは表示範囲が半径10mから30mに拡大していた。
森のような視界の悪い場所でも索敵には便利だ。
鑑定スキルの効果を確かめようとメンバーを見渡す。
<<エリーゼ
職業:魔法剣士 レベル2>>
メンバーの名前と職業の他にレベルも表示されるようになった。
これ微妙……ステータスが見えるとかもっと情報がないと使い道ないぞ。
もっと詳細な情報をくれ。
スキルレベル上がるまでは外れスキルだなぁ。
ステータスの伸びはイマイチだったが。というかこの世界の標準だったが
なにはともあれこうして僕の初めての冒険は終わった。
地味回です。すみません。
次はもうちょっと楽しい感じにします。