せめて助けたい
身体を震わせて啜り泣くサーシャにいたたまれない気持ちになった私は彼女に近寄り肩に手を置いた。
「大丈夫、大丈夫よ、私、貴女に着いていくわ。」
「ひ、ひっく、え、え…?」
「あら、不満?自分で言うのもなんだけれど、私結構強いのよ。」
安心させるように今度は背中をさすって、一緒に頑張りましょうと微笑むと、涙は止まったものの、彼女の反応は私の想像したものではなかった。
「か、カレン様?」
「カレン、でいいわ。サーシャ。」
「本当に?」
それほど私が同行を承諾したのは予想外だったのか、驚きつつも不安がっているサーシャに、右手を差し出した。
「よろしくね。」
もういちど安心させるように穏やかな表情を作ってみたんだけど、そもそも誘ってきたのはサーシャの方だ。これで断られたらどうせ家には居ずらいし、私旅に出ることにするわ。
少し私の差し出した右手を見つめた後、おずおずとその手を握ったサーシャにほっとした。
「あの、よろしくお願いします!」
「そんなに驚くことかしら。」
「い、いえ、私の話を聞いて頂けたのははじめてだったので…今回のカレン様はもしかして、と昔から思っていたのでつい泣いてしまい…」
「え?」
「いえ、なんでもないんです、すみません!」
「ふーん…まあ、短い付き合いでは無くなると思うし、おいおい聞いていきましょうか。」
「は、はいっ!」
「それと、」
「?」
「カレン、よ、サーシャ。」
よしよし、と何やら慌てるサーシャの頭を撫でて覗き込むと、頬を染めた彼女はほっとしたように、えへへ、と笑った。
既に私の中で妹属性とおさまったサーシャのはじめての笑顔だった。
表情って大事ね、その顔はとても可愛らしい。
「サーシャ、貴女笑っていた方が素敵よ。」
「へ!?あ、ありがとうございます…」
照れる様子も可愛らしい。
さて、直ぐにでも出発出来るように荷物をまとめますか。