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4話 オートチャーム

 ステータスボードを読めるようになるためにまずは文字の読み書きから始めることになった。どうやらこの世界の文字は日本語のように1文字づつ読み方を当てがうもののようで、後は漢字のように1文字で意味を表す字もあるらしい。

 最初に絵本を渡され1文字づつ読み方を教わり、その傍らわかるように順番に紙に書き出していく。自分でわかるように日本語と同じ50音順に並べておくのを忘れない。これでかなり覚えやすくなったわよね。


「なぜその並びで書くのですか?後そこ書き方が違います」

「僕はこの方がわかるかと思ったのですが…だめですかね?」


 指摘された文字を直しつつ返事をかえす。


「だめじゃないわ。むしろ並べてみようというのがすごいと思ったのよ。」


 どうやら褒められたようだ。それにしてもすごいのはこの絵本である。一通り教えられながら読み書き出してみると、漢字みたいなのは1つも使ってはいなかったがすべての読みを書き出すことが出来た。


「この絵本すごいですね。文字を覚えるためにとてもよく出来ているように見えます」

「えっそうなんですか?私が教えてもらったときもこの絵本だったのでもってきたのですが…」


 どうやらそこまで考えてくれたわけではなかったようだ。


「そうだサリア。ステータスボードを今日読めるようになったら何かご褒美が欲しいな~」


 目を輝かせお願いして見る。するとサリアは綿私の手を取り少しうっとりとしているようだ。はて…どうかしたのかな?


「はい…私で叶えることが出来る事でしたら……」

「……」


(どうしちゃったの…今までもたまにおかしかったけどさらに変なんだけど?)


 サリアの様子は気になったがご褒美がもらえるそうなのでこれはがんばるしかない。




***




 ご褒美の力は偉大である。まだ所々間違うこともあるけれど、ほぼ完璧に文字の読み書きが出来るようになった。読みに関してはもう間違えることもないくらいだ。今目の前にはステータスボードがかかげられていて、これが読めるか今から試してみるところ。


「ではディビーノ様。上から順番に読み上げて見てください」

「おっけー」


 私はステータスボードを上から順番に読み上げた。



 名前 ディビーノ・バレ・マールブランシュ

 年齢 5歳

 性別 男

 職業 無し

 特性 オートチャーム

    『無意識に笑顔や眼力で相手を魅了する』

 特技 家事全般、園芸

 称号 縁の下の力持ち、転生者、酒豪

 戦力 A +

    『身体能力A、魔法能力B+』

スキル 言語理解A、道具理解S



(説明書より少し詳しくでてるのね。オートチャームとか中々やばそうじゃないのかしら?)


 少し考えてみたのだけどこの世界の知識が少なすぎてよくわからないことに気がついた。サリアも家庭教師の3人もみんなこのステータスを見た後驚いていた。それぞれ何に驚いたのか聞いてみるべきかもしれない。早速文字が読めたことに喜んでいるサリアに聞いてみることにした。


「サリア。読み方はあってたかな?」

「はい、間違いありません。言葉の意味などはまだわからないかもしれませんがそれはこれからおぼえていきましょう」

「ん、大丈夫全部わかるよ。たぶんこの言語理解ってやつのせいかな?」


 ステータスボードの言語理解のところを指差してサリアのほうを向いた。実際は前の記憶があるからなのだろうけどこれは言う必要はないことだよね。


「それよりも最初これ見たとき何か納得してたみたいだけど、何を納得したのかな?」


 首をかしげ笑顔でたずねてみる。たぶんこの瞬間にもオートチャームが発動しているのだろう。サリアはどうも会話する相手の目をそらすことができなく、話しかけるたびこちらを向いていた。そのせいで顔もほんのり赤くなっているところを見ると、魅了されているに違いない。おろそしいわねこれは…


「はい…今まさにかかっているオートチャームです。いつも不思議に思っていたんです。目が合うとどきどきして10も年が下の子供に恋をしているのかと思っていました。けどきっとオートチャームのせいだったんですね…」


 頬を両手で押さえながらサリアは身悶えていた。彼女はどうやらまだ15歳のようだ。恋愛に興味をもっていてもおかしくない年だ。


(なるほどねーまあ中身元女だからか気持ちは理解出来るけど女の子と恋愛とか今はわからないなー…)


 とりあえず納得していた理由は理解できた。他の先生たちにも今度きいてみよう。後はこのAとかBとかSも聞いてみたほうがいいだろうか。


「ところでサリア。オートチャームのことは理解したけど、このA、B、Sの説明もお願いできるかな」


 1人身悶えていたサリアはあわてて姿勢をただした。どうやら魅了効果がきれたみたいだね。


「あ、はい。あまり詳しくはないのでわかる範囲までになりますがいいでしょうか?」

「おっけー」

「ではわかるだけ説明します。A、B、S、それはランクになります。AとBではAのほうが上で、その2つよりSのほうが上になります。一番下がFになります。B+というのはBよりは上だけどAよりは下ということです。今のところSより上は確認されてませんが実際はわかりません。能力によってランクで何が出来るのかは私には説明出来ないのでそれぞれの能力に詳しい方か自分で使って理解してみてください」


(他の先生ならわかるかしら?)


 アルファベットがランクだということはわかったのでまずまずであろうか?ちらりと外に目をやる。あと数時間もすれば日が落ちそうだ。


「さて…ご褒美をもらいたいんだけど?」


 再び笑顔で首を傾ける。サリアは頬に手をあてうろたえだした。


「わわわ私に出来ることでしょうか…?」

「もちろん」

「ではどうぞ……」


 サリアは不安げな顔をしている。それもそのはずだオートチャームがある限りよほどでなければきっと受け入れてしまうだろう。出来るだけ目を合わせないように横にそらし耳だけを向けている状態だ。そんなサリアに近づき耳元でそっと声を出した。


「ひゃあっ」


 どうやら声にもオートチャームが働いていたようだ。まじかで声を聞いたサリアは真っ赤な顔をし耳を押さえふるふると震えている。少し涙目にもなっているようだ。


「あ、あの今なんて…」

「ん。一緒にお出かけしようって言ったんだよ?」

「デ、デートですかっ?」

「違うよ…」

「違うのーーーー?」


 オートチャームのせいでサリアは少し混乱しているようだった。悪いことをしてしまったかな?


 

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