更科梨沙(セリア・レーヴェン)視点 2-③
― 翌日
私たちは目的地に向けて順調に馬を走らせていた。
今朝起きた時にローランさんがこっそり教えてくれたのだが、昨日の私の戦いっぷりがメンバーを少し怖がらせていたようだった。昨日は気にもしていなかったが、道理で他の4人が食事の時によそよそしいと思ったら、そういうことだったらしい。
どうやら昨日の私は自分で思っていた以上に感情を抑えられていなかったらしい。そのことを指摘されるまで気付かないとは、私は相当精神的に余裕がなかったのだろう。
なので、今日はかなり抑え目に戦うことにした。といっても、オーバーキルがワンキルになっただけだけど。
それに加えてローランさんがチームメンバーにそれとなく事情を伝えてくれたらしく、昼食時には腫れ物に触るような態度を取られることはなかった。別に元々ほんの数日の旅の道連れなので特に仲良くなる必要もないのだが、ああいう態度を取られると昔を思い出して嫌な気分になるので、隔意がなくなったのはよかった。
そんなこんなで特に大きなトラブルもなく、昼頃に私たちは目的地に辿り着いた。
「お疲れ様です。ここが目的地、聖人テオドア・リンフォードの遺跡です」
ローランさんの指し示す方向を見ると、そこには巨大な岩があった。
一見そこら中に転がっている岩と何も変わらないように見えるが、よく見ると下の方に穴が開いており、中が空洞になっているのが分かった。穴の形が不恰好であることから、何らかの原因で穴が開いてしまい、偶然内部の遺跡が発見されたという感じなのだろう。
聖人テオドア・リンフォード
約1500年前にリンフォード伯爵家に生まれた聖人であり、宮廷神術師筆頭として王家に仕えたという聖人にしては地味な経歴の持ち主だ。
しかしその分多くの記録が残っており、その記録の最後の部分に私は強く興味を引かれていた。
彼は長く宮廷神術師として仕えていながら、ある日突然職を辞し、姿を消しているのだ。それ以降の記録はどこにもなく、この遺跡が10年程前に発見されて初めて彼が国外にいたということが分かったほどだ。
王都で何不自由ない生活を送っておきながら、突然姿を消してこんな辺境に住居を構えているのだ。これは何かあると思うのが自然だろう。もしかしたら、彼こそが異世界への帰還を試みた聖人なのかもしれないのだ。
更に、私がこの遺跡に期待する理由はもう1つある。
これはローランさんに聞いて初めて知ったのだが、この遺跡にはどうやっても開かず、動かすことも出来ない箱があるそうなのだ。
恐らく神術で保護されているのだろうが、王国の調査隊に参加した神術師にもどうすることも出来ず、そのまま放置されているらしい。これは調べるしかないだろう。
「どうぞ、私たちは周囲の警戒をしているので存分にお調べ下さい」
「ありがとうございます」
ローランさんに促され、私は身を屈めると、岩に開いた穴に頭を突っ込んだ。
当然中は真っ暗だったので、ポケットから灯りを取り出した。これは領都の屋敷から持ち出した付与触媒を使って作った簡単な神具で、外見は拳大の光る石だ。剣聖アーサーの遺跡を調べた時に灯りがないと面倒だと気付いたので、ローデントに滞在している間に作っておいたのだ。
その神具を掲げると、岩の内部の様子がよく分かった。
中は思った以上に広く、生活感が漂っていた。しかし悲しいかな、やはり既に調査隊によってほとんどのものは持ち出されてしまったらしく、机やクローゼットなどの大きな家具類しか残っていなかった。机の引き出しやクローゼットの中身もきっと空だろう。
その中にあって、異様な存在感を放つものが1つ。
「あれが…」
真正面にある机の横、壁際に鎮座する金属製の箱が1つ。
思ったより小さい。私が両手で抱えられる程度の大きさしかないだろう。
しかし、その箱には強力な神力が宿っているのが遠目にも分かった。
私は穴から全身を突っ込むと、真っ直ぐ部屋を横切り、その箱の前に立った。
机の上に灯りの神具を置いて両手を空けると、屈んでその箱を調べる。
外見は金属製の直方体だ。口もなければ蓋もないので、開けることは出来ない。
しかし軽く叩いてみると、音で中が空洞であることが分かった。
試しに持ち上げてみようとしたが、まるで床と壁に完全に接着されているようにビクともしなかった。
さて、どうするか。
聖剣ゼクセリアを使えば、簡単に開けることは出来るだろう。しかし、故人の秘密を暴くのにゼクセリアを使うのは気が引ける。
それに見た感じ、経年劣化で神力が弱まったのか、はたまた元々そこまで強力な神術ではなかったのかは分からないが、ゼクセリアに頼らずとも開けられるような気がした。
「まあ、とりあえずやってみようか」
私は箱の上面に両手を乗せると、集中を高め、一気に神力を解放した。
発動するのは“物質変形”。箱の上面に穴が開くようにイメージをし、全力で神力を込める。
「ん、かったいなぁ……っ!!」
流石は聖人の遺した神具というべきか、箱は頑強に私の神術を阻み、その形を変えようとしない。
「……っ!!はあああぁぁぁーーーっ!!」
更に神力を注ぎ込み、箱を守る神術を全力で弾き飛ばそうとする。
通常、キャパシティ限界まで神術を込められた付与触媒は、それ以上の神力を受け付けなくなる。
言ってみれば、付与触媒という器に神力という水を限界まで注ぎこみ、神術という形で凍らせた上で、更に水を注ごうとするようなものだ。当然器に水は入らず、ただ流れ出るだけだ。
私のローブなども、既にキャパシティ限界まで神術を込めてあるので、これ以上神術を掛けることは出来ない。本当は目立たないように光属性神術で色を変えたりした方がいいのだろうが、それももう出来ないのだ。まあ神力を全力解放して輝いていない状態なら上質な絹と言えなくもないので、これに関してはもう気にしないことにしているが。
今私がやっていることは、器の中の氷にジェット水流を当てて無理矢理氷を砕こうとしているのと同じことだ。普通の神術師なら氷を砕く威力の水流は作れないだろうし、作れたとしてもあっという間に水が切れるだろう。だが、私は違う。
「こんのぉ、開けえぇぇぇーーーーーっ!!!」
後先考えず、自分に出せる瞬間最大出力で一気に流し込む。
すると、ついに箱の表面が波打ち、ゆっくりと穴が開き始めた。
一度動き出すと後は速く、数秒後には箱の上面が完全に開いた。
「はあ、はあ…や、やったぁ…」
一気に神力を放出したせいか、頭の芯がズキズキと痛み、身体にどっと疲労感が押し寄せて来た。
思わずその場にペタンと座り込んでしまってから、箱の中身を確認する。
「これは…」
その中には、ぎっしりと木簡の巻物が入っていた。剣聖アーサーの遺跡にあったものと同じようなものだ。
「ビンゴ…!!」
普通の人なら、神具や宝物の類が入っていなかったことにがっかりするだろう。
だが、私にとってはそんなものよりも史料の方がはるかに重要だ。
軽く深呼吸をして気持ちを落ち着けると、私は上にあった巻物を1つそっと手に取り、中身を改めた。
“愛しいテオドア様、先週の晩餐会では夢のようなひと時を過ごさせて頂き、本当にありがとうございました。真っ赤な衣装に身を包んだテオドア様は、いつにも増して雄々しく、とても素敵でした。今度はいつお会い出来るのでしょう?貴方様とお会い出来ない日々は身も心も凍えるようで、毎晩枕を涙で濡らす日々です……
ん?
え~~っと?
……読み間違いかな?
改めて冒頭から読んでみるが、内容に変わりはない。
うん、どう見ても恋文です。ありがとうございました。
いや、って、え?まさかこれ全部?
一旦持っていた巻物を地面に置き、別の巻物を適当に手に取る。
“愛するテオドア様、昨日はありがとうございました。昨晩のテオドア様はとっても激しくて情熱的で……
ちょおいっ!!思いっ切りR18じゃん!!何コレ!!ていうかさっきのと筆跡違うんだけど!?
あまりの内容に思わず放り投げてしまい、巻物がばらばらと広がっていくのを見て慌てて拾いに行く。
しかし、もう一度巻き直そうと端の部分を持ち上げたところで、差出人の名前が目に入って思わず硬直した。
あなたのロクサーヌ・ファルゼンより”
…ロクサーヌ・ファルゼン
…ファルゼン
………
コ、コイツ王女に手を出してやがる!!
はぁ!?王女に二股かけてたわけ!?バカじゃないの!?
……ん?ていうかロクサーヌ・ファルゼンってどっかで聞いたことあるような…?
1500年前の王族で……ロクサーヌ?
………
………
「…って!王女じゃなくて王妃じゃん!!完っ全にアウトだよ!!」
まさかの人妻でした。しかも“あなたの”とか言われとる。大丈夫か?この王家。
既に帰りたい気持ちでいっぱいなのだが、一応他の巻物の内容も確認する。もしかしたら恋文の中に重要書類を紛れ込ませているパターンかもしれないと思ったからだ。
「エロ本隠すなら専門書の中」と言っていたのはお父さんだったか。もっとも、私とお母さんが聞いていることに気付いていなかったらしくて、次の瞬間お母さんに飛び付き腕拉ぎ十字固めを極められて全部の隠し場所吐かされてたけど。
という訳で、気力を振り絞って片っ端から調べて行く。
すると、出るわ出るわ、下は準男爵令嬢から上は公爵令嬢まで。平民なら有名な踊り子やら吟遊詩人、下は少女から上は熟女まで。
結論、テオドア・リンフォードは聖人ではなく性人でしたとさ。
私は空になった箱の前で、凄まじい徒労感を味わっていた。
…こういうの何て言うんだっけ?ああそうだ、それ何てエロゲ?だ。
なんだろう?ゴシップ記者にとってはスゴイ宝の山なのかもね?私からしたら同胞のとんでもない負の遺産を発見してしまった気持ちでいっぱいだけど。
しかし、これどうしよう?
王家のスキャンダルとかあるし、処分した方が絶対良いんだろうけど、流石に故人が大事に保管していたものを勝手に焼き払うのは気が引ける。たとえその内容がどんなに酷くても。
(というか、もしかしてテオドア・リンフォードが突然姿を消したのって、あっちこっち手を出しまくった挙句派手に修羅場って、それを処理出来ずに逃げ出したからなんじゃないの?)
何の根拠もない邪推だが、不思議と外れていない気がした。
何だろう。もしそうだとしたら、さっきまでの期待に満ちていた私の胸の高鳴りを返して欲しい。
(……やっぱり焼き払おうか?)
そんな考えが頭を過るが、すぐに頭を振って追い払う。
うん、見なかったことにしよう。それが一番だ。
私は巻物を全て箱の中に戻すと、“物質変形”を使って元通りに口を閉じた。
本当は開かないように強化の神術を掛け直した方がいいのだろうが、付与触媒で一度使ったキャパシティはもう戻らないので、それは出来ない。というか、そこまでしてやる必要性も感じなかった。
もしかしたらいつかここを訪れた人間の手によってこの中が暴かれることもあるかも知れないが、そこまでは私の関知するところではない。
それから私は一応室内をざっと調べてみたのだが、やはり他に目ぼしいものは特になく、骨折り損の草臥れ儲けという言葉の意味を深く実感する羽目になった。
肉体的にも精神的にもぐったりしながら岩の中から出ると、ローランさんが声を掛けて来た。
「用事は済みましたか?」
「はい…色んな意味でもう十分です」
「…?そうですか。すみませんが出発はもう少し待って頂けますか?」
「?何かあったんですか?」
「いえ、実はロッドとチャドの2人が気を失ってまして。目覚めるまでもう少し掛かりそうなのですよ」
「気を失う…?害獣の襲撃でもあったのですか?」
「…まあ、そんなところです」
ローランさんのその歯切れの悪い態度で、私は気付いた。
「あ…」
恐らく、ロッドさんとチャドさんは私の神力に当てられたのだ。
神具の箱に向けて神力を込めていたが、あんな風に我武者羅に神力を放出すれば余波が周囲に漏れるのも当然だ。
「す、すみません。私のせいで…」
「いえいえ、私や他の2人は大丈夫でしたからね。むしろ気絶した2人の鍛え方が足りなかったのでしょう。新たな課題が見付かったと思えばこれもいい経験ですよ」
慌てて頭を下げると、ローランさんはそう優しくフォローしてくれた。
結局、2人が目覚めたのはそれから1時間後のことだった。
2人にもきちんと謝罪したのだが、結局2人の態度は今朝のよそよそしい感じに戻ってしまい、私は帰り道ずっと気まずい思いをする羽目になった。
* * * * * * *
― 翌日の夕方
私たちは予定通りローデントの門まで戻って来ていた。
「さて、これで依頼は完了ですが、サラ様は町に入らずに旅立たれるのですよね?」
「はい、そうさせて頂こうかと思います」
本当は遺跡を調べ終わった時点で別れてもよかったのだが、依頼人と共に旅立ったはずの傭兵たちが、依頼人が乗っていた馬だけを連れて町に戻って来たとなると、あらぬ疑いを招く恐れがある。
なので、一応門番に6人で戻って来たところを確認してもらう必要があったのだ。
しかし、町に入る必要はないので、門の外で別れることにした。
依頼書に依頼完了のサインをしてローランさんに返す。
「確かに。ところで、サラ様はこの後どちらに行かれるおつもりですか?差支えなければお教え頂いても?」
「…そうですね。北に行こうかと思います。セルノルド辺境候領辺りですかね」
「そうですか。少々お待ち下さい」
そう言うと、ローランさんは懐から紙とペンを取り出し、何かを書いた。
「どうぞ、その辺りにいる仲間への紹介状です」
「いいんですか?」
「ええ、もちろん。ロイも同じことをやっていたでしょう?私が出し渋っては私がロイよりも器が小さいようではないですか」
そう茶目っ気たっぷりに笑われてしまえば、私にはもう何も言えない。ここで遠慮するのは失礼というものだろう。私は有難くそれを受け取ることにした。
「それでは、皆さん。3日間本当にありがとうございました」
振り返って、後ろにいた4人のメンバーにそう言うと、4人は口々に別れの言葉を言ってくれた。
…ロッドさんとチャドさんは若干笑みが引き攣っていたような気がしないでもないけど。
最後に、ローランさんに向き直ると、万感の思いを込めて別れを告げた。
「ローランさん、本当にありがとうございました。ローランさんの言葉に、私の心は救われました。おかげで迷わずに歩いて行けます。本当に、本当にありがとうございました」
「サラ様…いえ、私がしたのは本当に小さな助力ですよ。あなたの心を救ったのはあなた自身です。あなたが歩む先に輝かしい未来があることを、陰ながら祈っておりますよ」
そう優しく笑うローランさんの笑顔が、またしてもお父さんの笑顔と重なった。
胸の奥からぐっと込み上げて来るものがあり、私は顔を伏せた。
今までにないくらい別れが惜しい。
それでも、私は前に進まなくてはならない。
深く息を吸い込んで込み上げて来たものを呑み込むと、私は顔を上げた。
そして最後の別れを告げようとしたところで…町の方に意識を持って行かれた。
(あれ?今…)
………
………
………
「?サラ様?どうかなされましたか?」
「すみません。少し用事が出来たので、やっぱり私も町に入りますね」
「?そうですか、分かりました」
門番に通行料を払い、“浅黄”の皆さんと共に町の中に入る。
「それでは皆さん、本当にありがとうございました」
馬を預けると、挨拶をしてその場で別れる。
“浅黄”の皆さんは傭兵ギルドに向かって大通りを歩いて行くが、私は外壁沿いに歩いて行く。
― どこへ?
しばらく歩くと、人通りが少なく、道も細く入り組んできた。
その入り組んだ道を、私は迷うことなく進んでいく。
― なんで?
そのまま歩き続けると、やがて高い塀が左右に伸びている場所に行き当たった。
目的地はこの中だ。入口がある方に向かって塀沿いを歩く。
― ちがう
角を曲がると、塀が途切れて、ぽっかりと口を開けているのが見えた。あそこが入口だ。
私はそこに向かって足を進める。
― おかしい、何かが、おかしい
入口に辿り着くと、私は迷わずに敷地内に入った。
そこには広い空き倉庫があった。私はその入り口に向かう。
― ちがう、違う!これは、これは……っ!
開きっ放しの入口を潜ると、暗闇に満たされた倉庫内に多くの人の気配が感じられた。
― これは……精神操作だ!!
そう思い至った途端、一瞬頭に掛かった靄が薄れた。
「“聖霊の涙”!!」
気合一閃。
一瞬の隙を逃さず、神術名だけで一気にイメージを練り上げ、強引に神術を発動させる。
すると、頭の中の靄が完全に吹き払われた。
同時に、倉庫の中心へと向かっていた足を止めて入口へと素早く振り返る。
しかし入口は既に、私の後ろにいたであろう7人の男たちによって塞がれていた。
その中央、私の真正面に立っている男が、被っていたフードを後ろに払いつつ声を発した。
「お久しぶりですね。セリア・レーヴェン侯爵令嬢」
逆光で顔はほとんど見えない。
だが、私がその正体を見誤ることはなかった。
「魔皇子…ツァオレン・リョホーセン…っ!!」
~ ローラン視点 ~
「リーダー?リーダー!!」
「ん?ああ、何だ?」
「何だはこっちのセリフだ。ボーっとしちまって」
「ああ、すまない。さっきのサラ様の様子が少し気に掛かってな」
「?何かあったか?」
「いや、どこという訳ではないんだが、少し様子がおかしくなかったか?」
そう聞くが、仲間たちは特に気にならなかったと言う。
となると、私の思い過ごしなのだろうか?そうとも思えないのだが……。
物思いに沈みつつ、傭兵ギルドに向かって歩いていると、となりにいたゲイブにまた声を掛けられた。
「おい、リーダー」
「何だ?」
「何だじゃねーよ、あれだ」
そう言って視線を向ける方を私も見ると、向こうからこちらへ歩いて来る集団が見えた。
そして、その集団が身に着けている文様を見た時、ゲイブが注意を促した理由が分かった。
「黒鋼の傭兵団…?なぜこの町に」
黒鋼の傭兵団は主に隣国のリョホーセン帝国で活動する傭兵団だ。
だが、そのバックには皇帝家がついているというもっぱらの噂で、裏で色々と後ろ暗い仕事をやっているという曰く付きの傭兵団なのだ。
その傭兵団が、あんなにたくさんこの町にいるというのは妙だ。
「…引き返すぞ」
何となく嫌な予感がして、元来た道を引き返すことにする。
仲間たちも同じように不穏な気配を感じていたのか、異論は出なかった。
なるべく自然に振り返り、引き返そうとする。
しかし、振り返った時点で足を止めざるを得なかった。
振り返った先には既に別の黒鋼の傭兵団が待ち構えており、道を塞いでいたのだ。おまけに、いつの間にか他の人間はいなくなっていた。
大通りに、悪意と暴力の気配が満ちた。
という訳で、????登場です。
????はリョホーセン帝国の皇子でした。
まあ国名と神器名からして、分かる人にはバレバレだったと思います。
なんのこっちゃという方は“ほうてんがげき”でググってみて下さい。
そもそもリョホーセン帝国って何ぞやという方は梨沙視点⑥を読み直してみて下さい。
次回更新は土曜日までにやる予定です。