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????視点

前回の後書きを色々と裏切って1話ぶっこみます。

いや、最後の1文は裏切ってませんね。作者の予定は常に未定なのです。

 長い廊下を歩き、その先にある重厚なドアをノックする。

 入室を促す声を聞き、ドアを開ける。

 部屋の中には、私を呼び出したこの部屋の主の他に、もう1人予想外の人物がいた。


「おお?兄貴も呼ばれてたのか?」

「それはこちらのセリフだ」


 問い掛けるように執務机の後ろで椅子に座る部屋の主に視線を向けると、そこに座る父上は特に悪びれる様子もなく笑いながら言った。


「ああ、言ってなかったか。今回はお前ら2人にやってもらいたいことがあるんだよ」

「私たちに…ですか?」


 私だけでなく弟まで駆り出すとは、よっぽど重要な任務なのだろうかと考える私の前で、父上は1枚の書類を取り出した。それをヒラヒラと振りながら言う


「今朝方部下から届いた報告書だ。何でも、国境の町カロントに白銀の聖女様が現れたらしいぜ?」

「ああ?んだそれ?」


 訝しむ弟の隣で、私は白銀の聖女という呼称から、1人の少女を頭に思い浮かべていた。

 そんな私たち2人の反応をよそに、父上は手元の書類に目を落とすと、そこに書いてある内容を読み上げた。


「カロントにいた部下によると、カロントの町に押し寄せた200体以上のアヴォロゲリアスの群れを、突如現れた、白銀に輝く衣を纏う聖女様が殲滅したらしい。しかも、既に市街地戦にまで発展した乱戦状態で、負傷した戦士たちを治療しながらな。おかげで、聖女様が現れてからの死者数はゼロだそうだ。大したもんじゃねぇか?」


 その言葉に、私は目を見開いた。隣に立つ弟も、ひゅう、と感心したように口笛を吹いている。


「そりゃすげぇな。カロントの町って結構でけぇだろ?あんだけの町が戦場になって、誰1人死なせずに敵を殲滅したのかよ。一体どんな神術を使ったんだか」

「何でも治癒と攻撃を行いながら、町にいた人間全員に加護系の神術を使って強化を施したらしい。何にせよ神術師1人に出来る範疇を余裕で越えてるな」


 くつくつと楽しそうに笑いながらそう言う父上の言葉で、私は予想が確信に変わっていた。


「父上、その白銀の聖女というのは、もしやセリア・レーヴェン侯爵令嬢ですか?」


 確認するようにそう問い掛けた私に、父上は愉快そうな笑いを顔に張り付けたまま答えた。


「正体は不明、だそうだ。だがまあちょっと見識がある奴なら、皆その予想に行き着くわな」


 そう言う父上の前で、その見識が足りてない弟が訝しげな声を上げた。


「セリア・レーヴェン侯爵令嬢?誰だそりゃ?」

「お前な……面識があるだろう?ハロルド王太子の婚約者だ。いや、今は元婚約者、か」

「んん?…あぁ、あの人形みてーな女か。あれ?でもあの女は神術師としては使いもんにならねぇって話じゃなかったか?」

「お前……」


 弟のあまりの情報弱者っぷりに軽い頭痛を覚えながら、私は噛んで含めるように言い聞かせた。


「そのセリア嬢は3週間程前に王都で“神意召喚の儀”を成功させたらしい。それも儀式場もなく、1人でな。そしてその後王宮から文字通り飛び出して、現在は行方不明になっている。今王国ではその話で持ち切りだぞ?」

「は~ん…そりゃあそんなことが出来んならそいつは間違いなく聖女だろうなぁ。で、その行方不明になっている聖女様が見付かったと。それで?親父は俺たちにどうしろってんだよ?」


 弟がそう言うと、父上は不敵な笑みを浮かべながら言った。


「簡単な話だ。この白銀の聖女とやらを連れて来い。と言ってもお前たち2人では難しいだろうからな、黒鋼(くろがね)の連中も同行させる」


 予想は出来ていたが、実際にそう言われるとやはり動揺してしまう。

 動揺を抑えようと黙り込む私の隣で、弟が軽薄な雰囲気を消し、すっと目を細めた。


「そりゃあ…手段は問わねぇってことか?」

「そうだ。だがまあ話し合いで解決出来るならそれに越したことはないがな」

「そのために兄貴が同行するって訳か。なるほどねぇ」


 そう納得した弟の隣で、ようやく動揺から回復した私は、冷静にその任務の内容を吟味した。

 父上はやると言ったらやる。一度出された命令が撤回されることはない。

 ならば、やることを前提に可能な限り成功率を上げる道を模索する。これまで得た情報を元に考えを巡らせて、私は1つの結論を導き出す。


「しかし父上、今まで聞いただけでも、彼女の力は計り知れないものです。交渉が決裂した場合、あの者たちがいたところで彼女を抑えられるかどうか……それに、そもそも居場所を特定するのは困難では?」

「そりゃそうだ。だからこそ、もちろんこちらも本気でやる」


 どういう意味かと訝しむ私たちの前で、父上は笑みを消すと、全身から覇気を迸らせながら、重みと力強さを増した声で命を下した。


「神器“崩天牙戟(ほうてんがげき)”と“ヴァレントの針”の使用を許可する。何としても白銀の聖女をここへ連れて来い」


察しがいい人なら彼らが何者なのかは分かると思います。


次回更新は前回の後書きの通りです。

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― 新着の感想 ―
で、連れて行かれて領地壊滅とかにならなきゃいいけど…………。 ハートキャッチ×3とか。
[良い点] 崩天牙戟! なんとマジで! びっくりです!
[良い点] 登場人物と国が多い事は大好きです~ 他の乙女転生作品の大半は一国内止まりですから
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