毀れた言葉
掲載日:2015/11/21
「君」という人のことを、私はまだ憶えている。
枯らすことができない涙のように、それは潰えることなく溢れ出る。
私の心には時間が流れていないみたいだから、回らなくなった観覧車のゴンドラでひとり、降りていった君が帰ってくるのを待ちながら。
届いて、届いて。
大好きなメロディを口ずさんでいる。
割れた唇を噛み締めるとちょっぴり痛くて、私はまだ生きてるのかななんて思ってしまう。
初めから私はひとりで、きっと君という存在もずっとひとりだった。
私には隣り合った星と星が、果てしなく遠くあるように映って見えた。
どこか遠くの空に、私は描かれたりするのだろうか。
もう君は絡んでしまった糸を切ることが出来たのだから、私を思い出して泣いたりしないはずだ。
だからもう、私は生きていないんだ。
淘汰された世界から置き去りにされたって、それでも私は変わろうとし続ける。
ただ只管、一直上を走っているとは気付けないのだから。
君はくすんだ窓を優しく撫でて、澄んだオレンジを眺めていた。
私は君の真似をして、歌うのをやめて、壊れた笑顔で、
君の名前を呼んだ。
君の名前を呼んだ。
君の名前を呼んだ。




