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壊されることを知っている
「許して……許して」
その言葉をただ繰り返す。
何十回何百回何千回。
色を失くしても。
音を失くしても。
ひたすらに。
「許して、許して」
近くに人がいる。
確証なんてない。
だって私にはもう視力がないから。
けれど私は知っている。
その人は今日も私を壊しに来た。
顔も名前も性別も知らない。
ただ知っていることは。
その人が私を壊しに来たことだけ。
足を奪われて。
耳を奪われて。
眼を奪われて。
それより先に心を壊されて。
そうして今日も罪人の私は人形みたいに壊される。
「ゆるして……」
返事の代わりに鈍い音。
左肩に激痛。
あぁ、今日は左腕なんだね。




