錬金術師見つけました
「――主様、五人程尾行してくる人間がいる。たぶん、領主の部下」
「案内断ったからな、そりゃ尾行くらいつけるか」
キメラ騒動の翌日。
俺はユエを伴ってマーズの職人区まで来ていた。ノーソンのような田舎に来て手を貸してくれる職人を探すためだ。
やはり探すのは大工職人かな、個人的には鍛冶職人のつくる剣や盾にも興味あるけど。まずは村の体裁を整えたい。
大規模な改修をするほど資金はないので、顔を名前を売っておくだけになるかも知れない気。
あ、牡丹姉さんと黒姫は別行動中。やりたい事は多いのに一塊で動き回っても効率が悪い。黒姫が何かやらかさないかちょっと不安だけど、牡丹姉さんもいるから大丈夫だろう……きっと。
「いやいや、それにしてもここは大通りとは別の意味で賑やかだな」
「――ん、活気がある」
職人区はお店や露天、客引きと通行人が溢れていた大通りとは違いやや閑散としている印象を受ける。
しかし、木材を抱えて走る者、石にノミを打ち込む者、硬い金属をハンマーで打ち付ける音、親方らしき者の怒鳴り声。
それらが折り重なって放つ熱気は、こうしてただ歩いているだけでも存分に感じ取る事ができる。
「――主様、尾行者の中に変なのがいる。今まで尾行されてるのに気つかなかった」
「変なの?」
黒姫の【生命感知】のような特殊能力はないものの、ユエの優れた五感は尾けてきている相手を正確に把握している。
だからこそ俺はのんびり歩けるわけだが、そのユエの警戒網を掻い潜る事で出来る者だって……?
「後ろの柱、物凄くわかりやすいのがいる。あんまり下手過ぎて、尾行だと思わなかった」
ユエの言葉を受けて近くの工房の入り口に飾ってあった剣を見る……振りをして、チラッと横目で件の柱を覗き見る。
――いた。柱の影から、赤いフクロウ帽子を載せた頭だけを出した赤毛の少女。歳は俺よりちょいと下ぐらいで、可愛らしい顔立ちながら活発さを感じさせる、なんというか向日葵のような印象を受ける少女だ。
いや、それはともかく、そんなに顔だけ出してガン見してたら怪しんでくれといってるようなものじゃないのか?
他の通行人から訝しげな視線を浴びて、余計な注目を浴びていることにまったく気がついていない。
ーっと、ようやくこっちが逆に見ている事に気がついたのか慌てて頭を引っ込める。どう見てもサリーシャ領主が放った部下じゃないな。
放って置いてもいいが、あからさまに後ろをついてこられるのも良い気分じゃないのでこちらから近付いてみた。
再びそろ~っと頭を覗かせた所で、目の前で片手を上げて挨拶。
「こんにちは」
「わきゃ!?」
わきゃって何だわきゃって。
「ああああああ怪しい者じゃないですよ尾行なんてしていませんよただの偶然ですよ!」
「まだ挨拶しかしてないんだけど」
「ちょっと、こう、物陰に隠れながら散歩するのがマイブームなだけですから!」
「――主様の故郷では、うそつきは舌を引っこ抜かれるって聞いた。ユエが代わりに……」
「すいませんごめんなさい、お城を出た所から尾けてました――ッ!」
怒涛の勢いで言い訳する割にあっさり自白する帽子少女。単にユエの迫力に気圧されただけかもしれないけど。
あと、舌を引っこ抜かれる話は俺の故郷じゃなくて牡丹姉さんの故郷(=地獄)だ。
「正直ついでに、どうして尾行してたのか聞いても良いかな? 間違ってたら悪いけど、初対面のはずだよな?」
そもそもこの街に来たのも初めてだし、この世界に来てからの交友関係は非常に狭い。かといってこの子が領主と繋がりがあるようにも見えない。
あったら下手な尾行なんて回りくどい真似する必要はない。
「……えっと、あの。謝罪とお願いがあってきました……」
「謝罪?」
「――お願い?」
ユエと顔を見合わせる。なんのこっちゃ。
「――ん、メイドなら間に合ってる」
「いや違うだろ、たぶん…………だよな?」
「ち、違います!」
あんまりユエが大真面目で言うもんだから「まさか」と思ってしまった。というか、ちゃんとメイドのつもりだったのね、服だけじゃなくて。
「じゃあ、謝罪から聞こうか。心当たりはないけど」
「あの、昨日皆さんを襲ったキメラ……私が造ったんです」
「――ん、輪切りの刑」
「やめなさい!」
キメラ製造者発言に驚きかけたが、直後のユエの輪切り発言の方がよほど肝が冷えた。
「でも、主様に無礼を働いた元凶。しかるべき罰を……」
「ユエ達のおかげで無傷だし、犯罪者の刑罰は俺達の領分じゃない」
「――ん、わかった。大目にみて三枚おろしの刑に……」
「わかってない!?」
ハルバードを構えるユエを説得し、ユエの行動に固まってた帽子少女に疑問をぶつける。
「なんであんなもの作ろうと思ったんだ? 禁止されている上に危ないだろうに」
「えっと、実は手乗りサイズの可愛いペットを作ろうと思ったんですけど……予想以上に急成長しちゃって、逃げ出しちゃったんです。本当にすいませんでした!」
て、手乗りペット欲しさかよ……いや、あれが手乗りでも相当気味悪いと思うけど。
「で、俺達の事はどうやって知った?」
「あ、キメラを追い掛けた時に戦ってるのが見えて……」
目撃者がいたのか。黒姫もユエも戦闘中だったから気がつかなかったのかね。
「それで、アカデミーだっけ? たいが――放校処分になったそうだけど」
「はい、自首したおかげで大目に見てもらえました。ただ、本当に着の身着のままで放り出されちゃって……そこで、お願いがあるんですけど」
「そこに繋がるわけか。で、お願いって?」
「あの…………私を雇って頂けませんか!?」
…………はい?
「ええと、どういう経緯でそういう発言に繋がるのか、簡潔に教えてもらえるか?」
「はい。アカデミーに居られなくなって、最初は故郷の村に帰ろうと思ったんです。だけど、よく考えたら田舎の村だと今まで学んだ錬金の技術を生かせないんです……と言うか、帰って素直に言うとこれ幸いと結婚させられるので」
「ああ、村に若い女性が少ないわけだ」
若い男はいても女が少ないので、人口が少ないのも相まって嫁探しが激しい。この子の年齢的にこの世界では適齢期入ったぐらいだから、引く手数多という可能性もある。
それぐらいなら働いて留まりたい……ってのはわからなくもないけど、それを俺に言ってくる理由が不明だ。
「ご迷惑をお掛けした方に頼むのは図々しいと思うんですが、今回の件で領地内ではまともに雇ってもらえないですし、他の領地に行くための関税どころか旅費もなくて……」
「言い分はわかるけど、どうして俺?」
「見たこと無いけど目立たない割りに凄く仕立ての良い服を着てらっしゃいますし、こんな手練れの方をメイドとして扱える方なんて、貴族かよほどの豪商の方ではないかと思いまして」
「――えっへん」
手練れと言われて胸を張るユエが子供っぽくてほのぼのするが、突き出た二つの弾力ある塊は断じて子供じゃないと言っている。
以前に風呂場に突入してきた時には、スイカとは言わないがメロンぐらいはあったはず。やhりうちの女性陣の中でも突出した戦闘力を……
いや違う、話の焦点はそこじゃない。
「キメラとの一件、見てるんだっけ。それじゃあもう一人の方も?」
「あ、見ました。遠目で何をやったのかよくわかりませんでしたが、凄い美人さんということはわかりました。ひょっとして奥様でしょうか?」
「いや、違うから」
細かく説明するのは面倒なのでスルー。
「まぁとにかく、それで恥を忍んで俺に雇って欲しいと?」
「は、はい! こう見えてもアカデミーでは優秀な成績を残しました……最後はあんな事になっちゃいましたが。でも卒業過程までの技術は全て習得しているので、直ぐにでもお役に立てるはずです!」
お役も何も、ダンジョン経営なんだけど。でも錬金術師というのはなかなか興味深い、勘違いはともかくとして引き入れるのは悪くない選択肢だ。
もっとも……
「いいよ、別に貴族でも商人でもないけど。とりあえず雇用条件は後で打ち合わせるとして、それで双方納得したら正式に雇おう」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃないと領主様が怖いだろ?」
「そうなんですよ、うまく懐に潜り込まないと牢獄入れるって………………あ」
一安心と息を吐き、笑顔になったところで自分の失言に気がついたようだ。
やっぱりサリーシャ領主の回し者か、おそらくキメラの話の下りは本当だろう。推測だがキメラの件で温情をかける代わりに、人材を探している俺達にスパイとして潜り込んで情報を引き出すように言われたのではないだろうか?
あんな物騒な生き物を野放しにした張本人、犯罪者と後ろ指を指されて投獄されても不思議じゃない。
それを回避するためなら、多少は無茶な理屈でもねじ込んで仲間になりにくるだろう。
……ただ、キメラの件を正直に話したのは好感が持てる。単に街の錬金術師で通す方法もあったのに、あえて不利なる事を伝えて謝罪した。
とはいえキメラ暴走の件もあるし、多少癖が強い人物であることは確かだろう。だが、そこが面白いかもしれない。
「否定も肯定もいらないし、別に話す必要もない。俺達は互いに話したとおり、雇用主と従業員の関係……それでいいよな?」
「は、はい!」
何度もブンブンと頭を縦に振り肯定する帽子の……あ。
「そういや、お互い自己紹介してなかったな。俺は山田太郎。まぁ太郎とでも呼んでくれ」
「わ、私はリーズ。リーズ・ラヴェットです。よろしくおねがいします、太郎様!」
いや、様いらな……ま、いいか。ユエや黒姫達の下になるんだし。
「――主様、問題は?」
「ま、無い訳じゃないけど、領地内で探すなら誰を雇っても領主の間者である可能性はあるだろ? だったら、まだはっきりと分かってる方が扱い易い。それに、俺たち対してリーズはキメラっていう負い目があるしな」
「――ん、さすが主様」
褒められるほどのものじゃないけど、ユエが感心してくれたからそれで良い事にしておこう。
□
「ノーソンって領地の端っこじゃねえか。そこまで旅費、滞在費、人件費、資材の運搬費用、護衛の雇用費……金貨百枚ぐらいじゃ足りねえぞ」
上手い具合に道先案内人のリーズが仲間になったので、領都でも大きい工房に案内してもらった。
ここは親方はドワーフの武器職人なのだが、色んな職人を束ねているので色んな仕事を請け負って分担しているようだ。
とりあえず領主の徽章を見せて親方にはすぐ会えたのだが、どうもお金が全然足りないらしい。以前の盗賊の件で金貨七十枚、今回の低ランクダンジョン討伐で金貨六十枚の計百三十枚あったのだが。
髭でボサボサになった顔を退屈そうに緩めながら、ドワーフの親方は目も合わさずに言葉を続ける。
「んな田舎町の整備何て別に必要ないだろ? 交通の便も悪けりゃ特産品があるわけでもない、わざわざ寄らなきゃいけないような名所もねえしな」
今はダンジョンがあるけどね、とは言えないが確かに一理ある。
「それじゃ、運搬に必要な費用と護衛の代金。それから必要な資材をこちらで用意できるとしたら、単純な現地での仕事だけでどれくらいかかりますか?」
「まぁ、見て見ねえ事には何とも言えねえが……それだったら金貨三十から五十ってとこじゃねえか? うちの料金は他よりも高いが、その分腕は確かだからな」
「なるほど、それならなんとかなりそうです」
「面白い事言うじゃねえか。ま、仮にそんな事が出来ても気は進まねえな」
マップを使っての瞬間移動なら護衛や運搬費を削減できるので、単純な人件費と技術費だけに抑えることが出来る。資材もなんとかなるだろう。
しかし、親方はどうにも気乗りしない、退屈そうな顔を崩さない。
「その理由を伺っても?」
「はんっ! 別に大した事じゃねえよ。ここ数年、家造りや大量生産の剣や防具を作ってくれだの、ありきたりな仕事しかないんだよ。一昔前はモンスタ―の素材を持ち込んで武器を作ってくれって冒険者も多かったんだが、今はそんな奴もトンとこねえ」
「そうなんですか?」
「冒険者組合が腕はそこそこ、無難で扱い易い職人を割引対象にして勧めてんだよ。うちみたいな腕一流、性格は二流のやつらとは付き合いたくないんだとよ。あ―あ、たまには背筋がゾクゾクするような仕事、こねえかな……」
なるほど、つまり親方の腕と好奇心を満たせる素材があれば、喜んで仕事をやってくれるってわけか。
典型的な職人肌の人物だが、だからこそ事前の準備も無駄にならなくて助かる。
「ユエ、例の物を」
「――ん、了解」
一度言ってみたかった台詞、それに応えて工房に飾ってあった武器の数々で試し振りしていた(そしてそれが前髪を掠めたショックで腰を抜かしたリ―ズ)ユエが、傍にやってきてエプロンの内側からある物を取り出す。
『お、おおおおお―――ッ!?』
それを見て親方だけではなく、腰を抜かしていた筈のリ―ズまでも復活して近寄り驚愕の声を上げた。
「お、おまえ、これドラゴンの鱗じゃねえか!」
「しかも、さ、最上位の古代竜の物ですよね!? 貴重すぎてアカデミ―の博物館でも閲覧制限あるんですよ!?」
二人が凝視するのは宝石のような光沢を持つ一枚の赤い鱗……紅牙のドラゴン形態の鱗を一枚失敬したものだ。
こういうこともあろうかと準備していたが、反応を見るに予想以上の成果だな。一人余計なのもいるが。
「これも加工して武具なんかにして欲しいな~って思ってるんだけど、これほどの物だからやっぱり信頼できる相手を選びたくて。この仕事を請け負ってくれる職人なら、頼んでも……」
「よし任せろ! 腕利きを揃えてやる! だから他んとこに持ち込むんじゃねえぞ!」
計画通り……
「ちょっと待ってください!」
じゃない!?
「武器や防具に使うなんて勿体なさ過ぎます! それを使えば、炎を無効化するアクセサリ―や薬。今までにない新たな道具を作り出すことも夢じゃないんですよ!」
予想外にリ―ズが反対意見を述べ、それに親方の眉が跳ね上がった。
「ああん!? 武器や防具「なんか」だとおぉ!? 大層な口叩いてくれるじゃねえか小娘が! こういった伝説級の素材はな、いつだって俺様みてえな一流の職人の手を経て時代の勇者の手に渡るもんだって相場はきまってんだよ!」
「ちゃんちゃらおかしいですね! だいたい武器なんて戦い以外に使い道がないじゃないですか! それなら錬金術に使って便利な物を生み出した方が世のため人のためですよ!」
キメラ暴走させたおまえが言うな。
「そのこましゃくれた口閉じねえと、俺様のハンマ―で平らに伸ばすぞコラ!?」
「上等ですよ! その少なくなった髪の毛丸ごと吹っ飛ばして、ピカピカにしてやります!」
ハンマ―を持ち出す親方に対抗して、服から丸くて導火線の付いたものを……ってか爆弾かよ!?
「ユエ、止めて……」
「――ん」
「ぬぎゃ!?」
俺の命令通り瞬時にリ―ズの背後へ移動したユエがハルバ―ドの柄で後頭部をドツクと、蛙が潰れるような声を出して沈黙した。気を失ったとも言うかな……うん、取りあえず頭蓋骨は陥没してない。
「それじゃ、準備できたらまた来ますので。その時はよろしくお願いします」
「おう! そのドラゴンの鱗、勝手に使うんじゃんねえぞ!」
来たときにやる気の無さはどこへやら。上機嫌の親方の声を背にして工房を後にした。
□
「へぇ~、そんな事があったんですか」
「これがご主人様を襲った畜生の造り主ですか……バラしますか?」
「バラさなくていいから」
合流した牡丹姉さんと黒姫に経緯を説明。牡丹姉さんの言葉はありきたりだが、黒姫の反応はユエとほぼ同じだ。
バラすとか三枚下ろしとやめれ。
「そっちの首尾は?」
「はいはい、ちゃんと調べてきわよ。食料、道具、武具、家畜、農作物の種類や相場とかね」
「噂話や都の有力者、名の知れた冒険者などの話も多く集めて参りました」
「順調で何より。何か問題はなかった?」
「いえ、ご主人様を煩わせるような事はなにもございません」
黒姫の即答に思わず苦笑いが漏れる。黒姫の感覚で言えば、キメラだって大した問題じゃないとスル―されるかもだ。
「う―ん、あったといえば黒姫ちゃんがナンパされまくった事ぐらいかな?」
「ナンパ?」
「そうそう。もう行く先々で男が声をかけてくるのなんの。もう、こんなお色気たっぷりのお姉さんが横にいるのに……」
「問題ありません、ご主人様に迷惑を掛けぬよう死なない程度に手加減しておきました」
ぶつぶつ文句を垂れる牡丹姉さんの横で、さらりと問題発言する黒姫が怖い。
深く聞くと後悔しそうなので、問いただしはしないが出来るだけ手出しは控えるように注意しておこう。
「…………はっ!? ここはどこっ!? 私は天才っー!?」
ベタと自画自賛を混ぜた寝起き発言はリ―ズ。ようやく目を覚ましたか、帰途に着く前でよかった。
「おはよう。ここはもうマ―ズの外、城壁の外側だ」
「え、あ、太郎様? あれ、私いつの間にか寝ちゃった? す、すいません……う、なんか後頭部が痛い……」
人の話聞け。でも後頭部に関して突っ込まれたくないので、スル―しておこう。
「リ―ズの事は説明しておいた。で、こっちが牡丹さんに黒姫だ。形としては俺の部下だけど、リ―ズより上になるから注意してくれ」
「あ、はい。リ―ズ・ラヴェットです、よろしくお願いします!」
「はい、こちらこそよろしく~」
「ご主人様に粗相のないようお願いいたします」
三人が挨拶を交わす中、周囲に人目がない事をユエに確認して貰いつつマップを開いて操作する。
「えっと。もう夕方なんですけど、何処にいくのでしょうか?」
「ん? ああ、大体の用事は済んだから、一度拠点に帰ろうかとね」
「はぁ……でも、私準備なにも出来てませんけど。確か遠い村ですよね? 皆さん手ぶらのようですし、もうすぐ夜になりますから……」
「――ん、主様に任せておけば大丈夫」
「その通りです」
リ―ズの至極もっともな疑問を、無駄な忠誠と信頼でシャットアウトするユエと黒姫。
「ま、最初は色々驚くかも知れないけど、追々慣れてくればいいさ」
言いながらマップを見えるように姿勢を変えると、その目がキラッと好奇心の色に染まった気がした。
マップをのぞき込むように見るリ―ズに構わず、ダンジョンのある場所をタップして転送を開始。
周囲を光が包み、その光が晴れた時にはもう見慣れた我が家(ダンジョンの入り口)が目の前にあった。
「え、え、え、ここ、どこですか? 今の何ですか!?」
初見のリ―ズが戸惑う中、俺は周囲を森に囲まれたダンジョンの入り口に立って一言。
「ようこそ、我が家……我がダンジョンへ」