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第壱話 さらば日常、さらば平和な世界

【caution】

R15作品です。これに満たない読者さんは早急に引き返してください。読んだ事により何らかの問題が発生しても当方は一切責任は負いません。


本編をご覧になってくれている方、ありがとうございます。

そうじゃない方、初めまして。

悪い顔の猫と申します。以後お見知りおきを。

これは本編の前に書いた物を手直しして掲載していきます。手直しと言うよりは新作に近い修正作業が要るので、更新は若干遅くなります。そのへんはゆっくり待ってください(´・ω・`)

第壱話 さらば日常、さらば平和な世界


 今日も気温は30℃を超える。まだ残暑厳しい季節だ。照り返す太陽を憎憎しげに眺めながら一人のサラリーマンが溜息を吐いた。


「課長っ!こう暑いと外回りも行きたくなくなりませんか?」


「何言ってるんだ桜井?お前まだノルマ達成できてないだろうっ!泣き言を言ってる場合か。さっさと成績上げて来い馬鹿者がっ!」


課長と呼ばれた太った中年にどやしつけられ、桜井真澄(さくらい ますみ)は逃げるようにオフィスを後にした。まだ10時を少し過ぎた時間だったが、外は茹だるような暑さである。すぐにネクタイを緩め、桜井青年はもう一度溜息を吐く。ふと上を見上げると、今出てきたビルの3Fから見知った女が手を振っていた。同じ大学で今年共に入社した同期の桜である。艶やかな笑顔を浮かべ手を振る女を苦笑いしながら見上げる。3Fは開発課の部署で、真澄は4Fの営業課である。


「糞・・・、俺も開発課に配属予定だったのに、入社した途端に営業とかどんな詐欺だよ。茜のやつ他人事だと思ってニコニコしやがって、ほんと頭にくるぜっ!」


愚痴が言葉となって口から漏れる。誰かに聞かれれば一大事だが、まだ入社5ヶ月目、新人気分の抜け切っていない真澄は、ついつい声に出してしまっていた。


「愚痴るならここはマズイんじゃない?」


後ろから不意に声をかけられる。真澄は心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほど驚き、飛び上がった。


「うひょおおおおおおおおっ!!!って先輩ですかっ!」


そこにはスーツをビシッと着こなした女性が立っていた。彼女の名前は土倉光(つちくら ひかり)という。現在26歳で彼氏募集中、美人だが性格がきつく、おまけに貧乳という営業の紅一点であった。


「桜井君、今のは不問にしますけど、次見つけたら課長にチクっちゃおうかな~?」


「先輩っ!勘弁してくださいよ・・・。これ以上目を付けられると、俺なんかクビになっちゃいますよ。」


「それもそうね。じゃあ私、クレープとカフェラテでいいわよ?」


うふっと口の端を持ち上げながら、土倉光は真澄を見る。有無は言わせないようだ。


「分かりました・・・。その代わり、本当に今のことは他言無用でお願いしますよっ!」


「まかせてまかせて。」


(なんて嫌な女だ・・・、だから彼氏できねぇんだよっ!このお局様がっ!!!)


「今失礼なこと考えたでしょう?パフェ追加ね。」


「ぐっ・・・、先輩は鬼ですか・・・?」


「鬼よっ!新人君はこうやって成長していくのっ!そして財布が大きくなるまで搾り取るのよっ!!!」


(貧乳めっ!)


「何?晩御飯も奢ってくれそうね?」


「何でそこまでっ!?」


「心の声で貧乳って聞こえたのよ。当たりでしょ?」


「あんたはエスパーか何かか・・・。」


「ふっふっふ、じゃあ今日の7時に駅前の居酒屋で飲みますわよ。遅れたら課長にばらすからねっ!」


「御意・・・。」





 ルート営業で何とか新規の発注を終えた真澄はノルマをクリアしたことに安堵する。時計を見るとすでに5時を回っている。急いで帰社することにした。会社はすでに定時を過ぎていたため、社内には少しの人間が残業を抱えて残っているだけだった。


「お疲れ様です。桜井真澄ただいま戻りましたっ!」


「おお、先方から報告受けてるぞ。ノルマ達成お疲れさん。」


課長がまだ残っていたらしく、珍しく優しい言葉をかけられる。真澄は思わずニヤリとした。


「馬鹿野郎っ!ノルマ達成くらいで浮かれるなっ!次はもっと業績を伸ばす努力だっ!」


真澄のしたり顔に課長が声を上げた。真澄は途端に自分のデスクに逃げ込む。


「お、ちゃんと帰ってきたな。私の財布ちゃん。」


土倉光が真澄を見つけ声をかけてきた。真澄の顔が曇る。今日は急用が出来たことにして逃げるつもりだったのである。


「あ、先輩お疲れ様です。」


「真澄君、逃げられると思ってないわよね?」


「何のことでしょうか・・・?」


「7時から居酒屋で飲むわよっ!ノルマ達成祝いでちょうどいいでしょ?」


「そうですね・・・。」


「さぁ行きましょう。課長、お先に失礼しますっ!」


「お疲れさん、土倉っ!今から飲みに行かないか?」


課長は土倉光を飲みに誘う。課長は今年で40歳、独身である。結婚を焦っており、社内のある程度若い女性は片っ端から飲みに誘う傾向があるのだ。


「あ、今日は桜井に営業方針の講義があるので無理ですねっ!また誘ってください。行くわよ桜井っ!!!」


土倉光は真澄を使い、あっさりと課長の誘いを受け流す。


「あ、僕は今度でいいので、課長とどうぞ・・・。」


「何か言ったかしら?さ・く・ら・い・く・ん?」


「いえ、何も・・・。」


真澄はお局様の睨みに怯んでしまい、結局4Fの廊下に引っ張り出されてしまった。





 エレベーターに2人して乗り込む。土倉光は上機嫌だった。奢り確定なのだ。上機嫌にもなるというものだ。


「今日は逃がさないわよぅ、何飲もうかしら。」


「先輩、出来るだけリーズナブルな方向でっ!」


「おっけー、でも牛刺し食べたいなぁ?」


「マジっすか・・・。」


2人で会話していると、エレベーターが3Fで止まる。扉が開き、開発の新人山寺茜(やまでら あかね)が乗り込んできた。


「あ、真澄お疲れ、先輩もお疲れ様です。」


「山寺さんお疲れ様。」


「茜も残業だったのか?」


「うん、主任とマンツーマンよ。やんなっちゃうわっ!」


「あー、セクハラ主任か。女も大変だよな?」


「今日なんか何回も青焼き見てるところに胸元覗き込まれたわよ。あとお尻に3回タッチされたし、最悪ぅ~。」


「その胸には男の希望が詰まってるからなっ!Dカップだっけ?」


「真澄っ!それ完全にセクハラだからね。」


「まぁ同期のよしみで許せ。」


新人2人は会話が弾む。完全に土倉光は蚊帳の外だ。真澄があることに気付いたがそのまま会話を続ける。


「もう主任のセクハラどうにかしたいよね~。アブラギッシュだし勘弁してほしいわっ!」


真澄は主任のセクハラ談義に完全に夢中になっている山寺茜の顔を覗き込んでニンマリと笑う。


「何よ?ニヤニヤしちゃって・・・。」


「いや、同罪乙。」


「は?」


「私の存在を完全に忘れてたでしょ?」


ニッコリと微笑む土倉光。そこで初めて山寺茜は青ざめた。


「今日は豪華な夕食になりそうねっ!」





 結局、居酒屋に入ってビールで乾杯になった。料金は新人2人の折半である。


「ああああっ!おいしいぃ~、人のお金で飲むビールは格別ねっ!」


山寺茜は真澄にブツブツと文句を言っていたが、諦めて付いてきたのだ。


「土倉先輩っ!後輩にたかって楽しいですか?」


「ええ、こうして美味しい物も食べられるし最高ですが何か?」


「いえ、もういいです・・・。真澄っ!私達も飲むわよっ!」


こうしてビールを胃に流し込み、1時間も経つとかなり酔いが回ってしまった。


「もうねぇ、開発はセクハラが多すぎなんですよっ!」


「馬鹿野郎っ!営業なんか課長がアレだぞっ!おまけに紅一点は後輩にたかる奴だっ!貧乳だしどうしようもえっ!」


「あんた達、完全に無礼講になっちゃってるけど、大丈夫なの・・・?」


「やかましいっ!おっぱいペラペラのくせにっ!」


「そうだそうだっ!ペラペラおっぱいめっ!」


完全に出来上がっている。土倉光は溜息を吐きながら、2人を窘める。


「もう分かったから、そのくらいにしておきなさい。明日また奢らせるわよ・・・。」


「ひぃっ!ペラペラさんはまだ後輩から搾り取る気なのねっ!」


「勘弁してくださいっ!ペラペラ先輩っ!」


2人の暴言に土倉光は俯き、小刻みに震えだした。


「あれ・・・?どうしましたペラペラ先輩?」


「大丈夫ですよっ!ペラペラが好きな男の人もきっと居ますってっ!女は胸が全てじゃ無いんですからっ!」


「誰がペラペラだあああああああああああっ!!!!」


あまりにボリュームの見えない胸のことを2人に攻められ、土倉光はついにキレてしまった。





 土倉光の怒声に、2人の酔いは一気に醒める。


「ひいいいいいっ!失礼なことを・・・。」


「すみません先輩っ!僕が悪かったですっ!」


ギロリと2人を睨んだ土倉光であったが、不意に立ち上がりトイレに向かった。


「どうするよ・・・、完全にキレてるぞあれ・・・。」


「あんたが何とかしてよ・・・、私じゃどうにも・・・。」


顔を見合わせて青ざめる2人の元にトイレから土倉光が戻ってくるのが見えた。しかし、明らかに別人のようである。巨大なバストがスーツ越しにプルンプルンと揺れているのだ。


「え・・・、あれ誰だ?先輩って双子だっけ?」


「分かんないわよ・・・、でもあれって天然の揺れじゃない?」


土倉光らしき人物が、2人の席に歩いてくるとドッカリと腰を下ろす。どうも土倉光本人らしい。ジロリと2人を睨む。


「あの・・・、先輩です・・・か?」


「そう、土倉光26歳彼氏募集中で間違いないわよ。あんた達があまりに胸のことを言うから頭にきちゃってコレ取ってきたっ!」


バッグの中を開いて2人に見せる。真澄は何か布切れが入ってるのが確認できただけだが、山寺茜はハッとしていた。


「和装ブラ・・・?」


「わそうぶら?」


「そうよ、和装ブラ。男って乳がでかい=頭が悪いって思うじゃない。だから普段は和装ブラで隠してるのよっ!」


「えええええっ!先輩もしかして本物の巨乳なんですかっ!!!」


「うそだあああああああああっ!!!私より全然大きいじゃないですかっ!!!」


「当然よ。これでもGあるんだから。少しは見直したかしら?」


2人は正座して頭を下げる。


「大変申し訳ありませんでした・・・。」


 それから、土倉光はまたトイレで和装ブラを装着して戻ってきた。さすがにGカップでノーブラだと視線が気になるらしい。何より、真澄の視線がこの上なくエロくなってしまったのだ。ジーっと胸に視線を注がれて、落ち着かなくなったのである。


「あああ、またいつもの先輩に戻ってしまった・・・。神様カムバーーーック。」


そう言うと悲しそうに真澄は俯いた。





「もう先輩は土倉G光に改名しちゃいましょうよ。」


「ふじこFとかAみたいになるじゃない。嫌よ。」


「いやいや、それを出さないのはもったいないですよ。俺は職場が今の150%くらいは楽しくなります。」


「だから嫌なのよ。男って馬鹿よねぇ、山寺さん?」


「いえ、それはF以上の台詞であって、わたくしめなどはとても意見できません・・・。」


もうすぐ21時を回るというのに、まだ3人は酒の席の馬鹿話が続いていた。結局土倉光の機嫌は直っており、また飲み直しているのである。その時、居酒屋のTVに異変が起きた。先ほどまではバラエティーのチャンネルが点いていたのだが、速報が入り急に生放送のニュース番組に切り替わっている。場所はここからさほど離れていない都市であった。


「えー番組を中断して緊急生放送に切り替わっております。現在私は○×区の現場に着ております。現在、急に暴徒が多数現れ、そこら中で虐殺と略奪が行われており・・・・・」


「えー、ただいま速報が入りましたっ!現在○×区だけではなく、ニューヨークやロンドン、北京でも同じような暴徒が確認されており、街はパニックに包まれて・・・・・・・」


「ひどい有様ですっ!ご覧いただけているでしょうか?暴徒が一般人を襲っています。あっ!こちらに気付きましたっ!!!こちらに向かってきますっ!私どもも避難をアッーーーーーーーーーーーー!!!!」


どのチャンネルを回しても同じようなニュースをやっている。居酒屋も騒然としてきた。


「何だか気味悪いことになってますね・・・。ここまで来ちゃったりしたらヤバイですよね?」


「今日はお開きにして帰りましょう。ただ事じゃないわよこれは。」


「そ、そうですね。店員さーんっ!御愛想お願いします。」


3人は酔いが醒め、慌てて帰り支度を始める。他の客も同様に帰り支度を始めていた。料金を払い、表に出る。繁華街も騒然としている。どうやらニュースを見て慌てて帰る人々で街はごった返していた。皆が顔面蒼白で急ぎ足である。真澄は市内のアパートに一人暮らしだったので、家は歩いて15分ほどであった。


「では、俺はこっちなんでこれで、電車ちゃんと乗れるといいですね?」


真澄は手を振って2人と別れようとした。その瞬間、土倉光が真澄の手を握る。


「な、なんすか?」


「桜井の家って歩いて行ける距離よね?」


「ええ、そうですが何か?」


「今日は私を泊めなさいっ!」


「ええ?無理っすよ。俺も男だし色々やばいんで・・・。」


「いいからっ!お持ち帰りしろって言ってるんだからいいのよ、女に恥をかかせるもんじゃないわよ。」


「ええええ?」


そこに山寺茜も反対の手を握る。


「じゃ、私もお持ち帰り希望で・・・。一人暮らしだし、今日は一人で居たくないよぅ・・・。」


「ちょっとっ!君ら何を考えてるんですか!?」


「これだと家に帰りつくのに不安だわ。あれってただ事じゃないわよ。いいから今日は諦めて泊めなさい。」


土倉光は有無を言わさない。今日は意地でも帰らないつもりのようだ。本来ならGカップ大歓迎なのだが、さっきの異常な放送でそんな気は完全に失せていた。


「分かりましたからっ!着いてこれるならご自由にっ!」


真澄はそう言うと脱兎の如く走り出した。慌てて追いかける土倉光だが、ヒールで追いつけるわけもない。


「ひったくりよおおおおっ!その男捕まえてっ!!!!!!」


大声が響いた。山寺茜が真澄を指差して叫んでいる。真澄はあっと言う間に近くのサラリーマン数人に取り押さえられた。


「ちょっ!誤解だってば。」


捕らえられた真澄の傍に2人がカツカツとヒールを鳴らして歩いてくる。


「諦めましょうか桜井。」






 もう逃げられないことを悟った真澄は大人しく2人を自宅に招くことにした。駅前のコンビニに3人で入る。店内は客もおらず閑散としていた。店員さんはまだニュースのことを知らないようで、新聞を読みながら座っていた。


「さて、あなたはカロリーメイト、私はウイダーINゼリーをあるだけ買ってくるわ。お金ある?」


店に入るなり土倉光に命令される。真澄は意味が分からなかったが、土倉光は店内のATMで10万ほど下ろすと真澄に数枚手渡した。


「あの、一体何を?」


「馬鹿ね、食料があるうちに買い込むのよっ!」


そういうと3人で保存食になりそうなカップ麺など、大量に買い込む。レジスターで大きな袋も買い、持てるだけの食料を買う。そして、真澄の家に直行した。







「ちょっとお待ちください。今掃除を・・・。」


「そんなのどうでもいいからっ!早く入ってっ!」


また土倉光は命令する。買い物袋を部屋に置くと、今度は近くの24時間スーパーに直行した。また同じようにあるだけ買ってくる。店員に命じて、箱買いまでした。お金があるだけ豪快に食料だけを買い込む。こんな買い物は見たこともなかった新人2人はただ呆気に取られているだけだった。スーパーを3往復ほどする。土倉光はまたコンビニのATMで10万ほど下ろしていた。当然そのコンビニでも大人買をする。そうこうするうちに、真澄の部屋は買い物袋でいっぱいとなった。最早3人で寝るスペースも無いほどであった。2部屋ある6畳の1室を食料保管庫のように使う。


「先輩、質問いいですか?」


真澄はたまらずに土倉光に問い質した。


「これはどういう・・・?」


「黙って見てなさい。山寺っ!あんたお風呂を洗ってきなさい。シャワーも浴びて、その次は私が入るから。桜井はそこのゴミのペットボトルを全部洗って水を入れるの。全部よっ!」


「ちょっと待ってくださいよっ!一体何なんですか?ここは俺の部屋ですよ。好き勝手はっ!」


「だから今は黙って従いなさいっ!すぐに分かるから。」





 山寺茜が風呂を洗ってシャワーを浴びている間に、土倉光が食料の整理をする。真澄はペットボトルを濯いで水を入れていく。


(何だってんだ?こんなことに何の意味が?)


まだ腑に落ちない真澄は顔を顰めながら水を入れていく。溜めていたペットボトルは全部で100本ほどが袋に入っている。


「それだけあれば何とかなりそうね。でかしたわよ。」


ゴミ出しの怠慢を褒められている。どういうことか分からない。


「何なんですか一体?」


「これから多分、非日常が始まるわ。だからここに篭城します。」


「いや、意味わかんないですし・・・。」


「まぁ見てなさい。今夜は眠れないわよ。」


「ええええええっ!俺2人も相手できなっ痛い・・・。」


「馬鹿な考えは止めなさい。ニュース見てみれば分かるわよ。もうすぐ略奪が始まるから。」


真澄の頭に拳骨を落としたあと、土倉光はTVのスイッチを入れた。





 TVにはショッキングな映像が映っていた。米軍と思われる兵隊が、人間の群れに発砲している。戦争映画などでよく見る光景だったが、これはリアルである。しかも撃たれた人間は怯みもせず米兵に襲い掛かっていた。軍隊がまるで歯が立たない。


「どういうことですか?これって・・・。」


「見たまんまよ。日本なんかもっと悲惨、自衛隊じゃ全滅も時間の問題かもね。」


「いえ、そうじゃなく、アレ何なんでしょうか?」


「ゾンビじゃない?私はゲーム好きじゃないからよく知らないわ。あなたの方が詳しそうね?」


「あ、やっぱりゾンビに見えますよね・・・。」


「そうね、他に例えようが無いかも。」





 山寺茜が風呂から上がり、次は土倉光が風呂に向かう。山寺茜は真澄のTシャツを2枚重ね着して、ジャージを履いていた。服は洗濯機に放り込まれていたらしい。


「ってことは、ノーブラノーパンか!?」


「そうなるわね。変なことしたら殺すわよ・・・。土倉先輩は何考えてるのかしら?もしかして複数プレイ好きとか・・・。」


「まぁ俺は大体分かってきたよ。もしかすると、先輩は俺たちの命の恩人になるかもしれないぞ?下着くらい我慢しろ。」


「どういうことなの?私は家に帰ればよかったわ・・・。」


「今から帰ってもいいぜ?窓の外見ても帰る勇気があるならご自由に。」


「何なのよ・・・?」


山寺茜は窓際に立つ。そこに真澄が飛び掛った。


「きゃっ!ちょっと何なのよっ!!!変なとこ触んないでっ!やんっあっ!」


「煩いよっ!窓は少しだけ開けて頭出さないようにして見ろよ・・・。意味分かるから。」


真澄に言われた通りにソッと頭を出して外の様子を窺う。ここは3階である。ベランダは無く、外はダイレクトに見える。やけに外が騒がしい。よく見ると、そこら中で人が大騒ぎしている。悲鳴や絶叫が絶え間なく聞こえていた。そして、人が襲われていた。あれは暗くてよく分からないが、多分生きながらに食われているようだ。


「どう?現状が理解できた?」


「ひぃっ!」


風呂から上がった土倉光が山寺茜に声をかけたのだ。同じようにTシャツを2枚重ね着し、ジャージを履いている。違うのは胸のボリュームくらいのものだった。


「う・・・、驚きました。あれ何なんですか?何が起こったんです?」


「まぁ情報はTVくらいしかないし、明日はきっと電気も水道もガスも止まるわよ。今日は寝ちゃいましょう。桜井に風呂から上がったら水をギリギリまで張るように言ってあるわ。しばらくは水の心配はしなくていいから。食料もあるし、篭城になるけど救助を待つわよ。」


「何だかしっくり来ないですけど、外に出られないんですね?」


「そうよ、ああなりたいなら自由に出てっていいわよ。食い扶持は減ったほうがいいし。」


「冗談じゃないですよっ!私が先輩と真澄を2人っきりにするはずが無いでしょうっ!」


「あぁ、あなた桜井に惚れてたのね?気付かなかったわ。」


「え、あ、そういう訳じゃ・・・。」


「とにかく寝るわよ。今日はもう何もできない。体力の温存よ。見張りは桜井に頼んであるから安心して寝ていいわよ。」


そう言うと、土倉光は真澄のベッドにゴロリと横になる。5分もすると、寝息が聞こえ始めた。

修正だけでかなりの時間がかかりました。土倉さんは修正前はAカップでしたが、大幅に修正されて巨乳に生まれ変わりました。作者はおっぱいが好きだと改めて思いしりました。


【主人公】

桜井真澄 :22歳 177cm 新卒の営業マン

 性格  :お調子者 

 趣味  :ネット徘徊


【会社の仲間】

土倉 光 :26歳 162cm 営業課の紅一点

 性格  :きつい 冷静 

 趣味  :たかり

 備考  :推定Aカップ 和装ブラを外すとGカップ


山寺 茜 :22歳 160cm 開発課の新人

 性格  :やきもち焼き

 趣味  :園芸 

 備考  :推定Dカップ

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