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第拾肆話 飴と鍵

ちょっと書いてない時期が長かったので、久しぶりに数日の間隔で更新しました。


こんなサービス滅多にしないんだからねっ(`・ω・´)


萎えたらサーセン(^p^

第拾肆話 飴と鍵


 引っかき傷でも感染する。これは全員が驚愕した事実だった。すぐさま叩き起こされた女子高生2人も哀れな少年を愕然と見ながら腰を床に落とす。ショックでしばらく誰も喋らなかった。その間にも桟橋はゾンビで溢れ、体中を引き裂かれてなおゾンビになって徘徊しだした柳少年デブや小林弘美の姿も確認でき、全員は何も語れずに船内に入る。現実は重く、皆が押し黙ってしまっていた。しばらく沈黙が続いた後、誰とも無く客室から去っていき、真澄も土倉光の眠る部屋で床に座り込む。穏やかな寝息を立てて眠る土倉光を羨ましくさえ思えた。このまま起きないほうが幸せなのかもしれないなどと考えながら、いつしか昼間の疲労もあり、真澄は座ったまま寝息を立て始めた。





 話を聞き終えた土倉光は大きく溜息を吐く。まさか自分が眠っている間にそんなことが起きていようとは夢にも思っていなかった。


「で、今生きてるのは私達と女の子2人とそのとっつぁんだけね?」


土倉光は確認するように呟く。


「ですね。まぁ銭形さん以外は友達も死んだし、ショックから立ち直るのにちょっと時間がかかるかもしれませんが・・・。」


「それはどうでもいいんだけどさ、こうなったら全員の面倒見ないと人としてやばいわよね?」


「それはどういう?」


「その銭形何某は一人でも平気だと思うわけよ。電気屋でしょ?色々知識もあるだろうし、まぁどうにか出来るわよね。問題は残った女の子2人ね。このまま放置って訳にもいかないでしょう?」


「ああ、そういうことですか。」


血も涙も無いはずの土倉光が、女の子2人の行く末を心配するとは意外だった。それに今の言い方だと、ちゃんと責任を持って連れて行くようにも取れる。


「その銭形さんに全部任せて、私達は今のうちにスワンボートで・・・ブツブツ。」


「ちょっとっ!流石にソレは・・・。」


「大きい声を出すんじゃないわよっ!皆が起きるでしょうっ!アイタタタ・・・、頭痛い・・・。」


やはり土倉光はリアリストだった。唯一の脱出手段であるスワンボートを使って早々に退散を考えていたらしい。助かるには一番確実な方法だが、それは人としてどうかと思う。


「大声出すからですよ。でもいくら何でもちょっとひどくないですか?僕等は仮にも人間なんですからもっとこう・・・。」


「その甘い考えで山寺さんを殺したんでしょう?今さらだわ。」


「う・・・、それは・・・。」


「逃げ道ならあるぜ?」


ドアの向こうから唐突に声がする。2人ともビクリと体を振るわせた。悪巧みなどしていると人間こういう反応をする。


「あ・・・、銭形さんっすか?」


「おうよ、電気屋の銭形ですよ。ボインちゃんもよろしくな。」


ドアを開けて入ってきた銭形慶治は、まず土倉光に挨拶する。そしてニヤリと2人に不適な笑みを向けると、ドッカリと腰を下ろして何かを床に置いた。何だか細かい文字と船の絵が書いてある。


「あの、これって?」


「このアヒルのバケモンのマニュアル本だ。俺ならこれで船を動かせる。」


「その話本当なの?」


「ああ、俺は4級なら船舶も持ってる。電気屋だからな。」


「それは関係ないんじゃ?」


「馬鹿野郎っ!電気屋は皆持ってるぞ。しらねぇのか?」


当然嘘である。


「そんな下らない嘘はどうでもいいわ。この船が動くなら逃げるのは簡単ね。」


「ああ、でも問題があってな・・・。」


「何です?」


「うん、鍵がねぇんだ。」


「意味ないじゃない。やっぱりあんた達はここに残りなさいな。」


土倉光は冷たく言い放つ。真澄もせっかく芽生えた全員で脱出する希望にあっさりと泥を塗られて肩を落とす。


「まぁ聞けってば。鍵は無いんだが、そこに遊覧船の管理小屋があるんだよ。」


「何処よ?」


「だからすぐそこだ。」


銭形慶治はそう言って2人を立たせると、客室を抜けて出て行った。土倉光は立ち上がろうとしたが、足が覚束ない様子で壁に向かって倒れる。何とか壁に背を持たれていたが、まだ歩くことも出来ないくらい体にダメージが残っていた。


「桜井、肩。」


真澄を促し肩を借りて歩こうとしたが、高さが全然違うため余計に歩きにくい。


「もういいわ・・・。腕。」


今度は真澄の腕にしっかりと自分の腕を絡ませて何とか歩く。真澄は何となく照れたが、土倉光は気にもしていない様子だった。そのまま銭形慶治の出て行ったドアに向かう。フラフラとしながら出てきた2人を見て、銭形慶治は呆れたようだった。


「おいおい姉ちゃん、瀕死じゃねえか?そんな体たらくでこっそり逃げようと考えてたのか?笑えるね。」


「うるさいわね、まだ体が暖まってないだけよ。それにしても寒いわね。」


「ああ、夜ですしまだ残暑があっても海風は冷たくなってますよ。何か着る物ほしいですか?」


「もういいか?熱々なのもいいが程ほどにしてくれよ?」


2人の様子を見ていて、銭形慶治はうんざりしたように言った。早く説明を始めたいのだろう。


「あ、もういいっすよ。」


真澄はそういうと、自分が羽織っていた薄いパーカーを土倉光の肩にかけてやる。土倉光は小声で『ありがと』とだけ呟いた。


「ほら、あそこに見えるのが管理小屋だ。って真っ暗だな・・・。」


「だってもう電気は死んでるでしょ・・・。街灯だって無いですよ。夜は本当に真っ暗になります。もしかして知らなかったとか?」


「いや、だってあれだ。夜はずっとバケツの中で寝てたんだよ・・・。やることなくてな。ハハハ・・・。」


「もういいわ、明日にして仕切り直しましょう。」


今度は真澄と土倉光がうんざりしながら、船室へ戻っていった。





 次の日、まだ明るくなる前から3人は再び遊覧船の通路に立った。眼下ではゾンビが狂ったように唸っている。どう足掻いてもゾンビの身体能力では登って来れそうに無かったが、やはり不気味だった。銭形慶治の言った管理小屋は、桟橋の根元からさらに30mほどの場所にヒッソリと佇んでいるソフトクリーム売り場を兼ねた小屋だった。何故そこが管理小屋だと分かったのか不思議なくらい、目立った建物ではない。前日は真澄達が最初にスルーした建物だった。


「あれのどこが管理小屋よ・・・。どうみてもアイス屋じゃない・・・。」


土倉光が怒気を含む声で銭形慶治を責めた。確かに土倉光の言い分は分かる。管理するからにはもっと大きな建物で乗組員の休憩所などありそうなものだ。一杯食わされたと思うのも仕方がない。


「まぁ素人目にはそうだろうな。だがあそこは遊覧船の管理小屋も兼ねてるんだよ。あの裏に鍵なんかが保管されていて、船の無線なんかもあるんだ。」


「なんであんた知ってるのよ?」


「俺は地元の青年団で的屋もやってるんだよ。夏祭りなんかここで出店があるだろう?あれに出店したりしてたんだ。そん時の客の中に船のクルーが居てな。焼きソバとか色々買っていったからどこで食うか聞いたら管理小屋だって。そんなのあったかって聞いたらそこを教えてくれたんだよ。もし違ったら俺が騙されてたで終わりだけどな。チャンチャンっと。」


「チャンチャンじゃ済まないのよ。大体どうやってあそこまで行く気なの?」


「お前らが囮になれ。その間に俺が鍵を取ってくる。」


「死んでもゴメンだわ。」


土倉光は腕を組んだまま話は終了とばかりに立ち去ろうとした。慌てて銭形慶治が呼び止める。


「待て待てぇ~い。言い方が悪かった。船で騒いでビーゾンを引き付けておいて欲しいだけだ。」


「それを早く言えばいいのよ。でもあそこにだってゾンビは群がってるし、私達が引き付けたからって完全に手薄にはならないと思うわよ?それでいいならやってみたらいいわ。」


「うむ、そこで考えたんだが、もう一人は陸上でやつらを引き付けて欲しいんだ。なぁ、兄ちゃんは泳ぎが達者だったし、そんくらい出来るだろ?やばくなったら海へダイブでOK。」


「結局一番危険な役回りは俺ですか・・・。」


「男には自分の世界がある。例えるなら空を翔る、一筋のながれぼ~しいいいいいいっ!」


「流れて消えたら終わりじゃないっすか・・・。」


「風を払い、荒れ狂ういなびか~りいいいいいいいいいいいいっ!」


「2番に変えても無理ですって・・・。」


「まぁあれだ。やれ。」


傍若無人な態度の銭形慶治にヤレヤレというゼスチャーを交えながら土倉光が口を挟む。


「桜井にそんな危険なことさせられないわよ。他に方法は無いの?」


「じゃあお前らが脱げばいいんじゃね?他に思いつかね。」


「いやいや、そんなことされたら俺等が動けなくなりますよ・・・。色んな意味で。」


「馬鹿らしくて話にならないわね。一回頭を冷やして相談し直しましょう。いいアイディアを考えておいてね。」


今度こそ土倉光は立ち去る。残された真澄と銭形慶治は顔を見合わせたが、お互いに首を傾げただけだった。





 とりあえず後で話し合うことになったが、土倉光は気にあることがあったので運転室で色々と調べてみる。確かに起動キーは必要らしく、そのことに対しては銭形慶治の言葉に嘘は無かった。次に燃料の残量を調べる。燃料系は真ん中辺りを指している。これでどのくらい進むか検討がつかない。次にマニュアルを見る。燃料の種類を調べるためだ。この船の燃料の種類は重油に添加剤がどうとか書いてある。このご時世、重油などどこで売っているのか聞いたことも無い。つまり燃料の補給は無理だという結論に至る。今ある燃料だけで手近な島などに上陸する以外に活路は無い。


「あとはこの辺りの地図ね・・・。海図なんかあればベストなんだけど。」


一人でブツブツ言いながら調べ物を継続していると、女子高生の2人が腫れた目を擦りながら現れた。


「あああっ!土倉さん、起きたんですねっ!」


渡会未来が明るい声で話しかける。水無月優も完全に目が覚めたような顔で土倉光をマジマジと見ていた。


「ええ、もう大丈夫よ。迷惑かけたわね。」


「そんなこと無いですよっ!助け合って当たり前でしょう?私達も助けられたんだし。」


「そうね。でも大きい声はやめてくれるかしら?頭がまだガンガンしてるのよ・・・。悪いわね。」


土倉光は眉間を押さえながら呻くように呟く。ハッとして口を噤んだ渡会未来に土倉光は顔の緊張を解いて微笑んだ。


「ありがとう。でも普通の大きさだったら大丈夫よ。やっぱり女の大声はキンキンくるだけだから。高音だからね。」


「失礼しました。あの、何か探してるみたいですけど、私達も手伝いましょうか?」


意外にも笑顔を返された渡会未来は、探し物の手伝いを申し出る。水無月優も『どうせ暇だから。』と呟いて探し物の輪に加わった。





 海図はすぐに見つかったが、肝心の避難場所は半径50km以内には無かった。近い島でも人が生活できそうなのは100kmほど離れた太平洋上の孤島だけだった。この燃料で100km進めるかも疑問だし、海流など複雑な事情が絡んでくるとその倍は進むことになるかもしれない。素人が手を出せる条件ではなかった。銭形慶治も渋い顔をしていたので、多分無理だと判断したのだろう。ここでまた1つの結論を迫られるわけになる。遊覧船を動く住居として使用するには、まず鍵の入手と重油の入手が必要になってくる。添加剤とは、今エコカーで騒がれているご時世なので、海上を通行する大型船などで燃料効率を上げる添加剤の使用義務が発生しており、そのための処置なのだそうだ。故にただ船を動かすためだったら必要は無いという。この近くに何処か避難できる場所があれば、そこまでのトーチカとして使えれば問題ない。これだけの船を停泊できる港があり、近くにショッピングモールやデパートのような食料を確保できる施設があり、尚且つゾンビが出来るだけ少ない地域が必要となってくる。このモモンガ浜から近いモールやデパートは全滅だろう。行けそうなのは海沿いのハイウェイにあるパーキングや、ポツポツと立っているコンビニくらいしかない。海沿いなら船を停泊させてスワンボートで接近し、様子を見て物資調達くらいは出来るかもしれない。しかしこれはタラレバの話であって、どれも確実性は欠いていた。


「とにかく鍵が無いとダメな案ばっかりね。とりあえず鍵の奪取が最優先だわ。問題は誰が取りに行くかだけど・・・。」


土倉光が全員を見ながら話を纏める。


「だから俺が取りに行くから囮になってくれって言っただろうが?」


銭形慶治はそう言って腕を組んだ。


「仕方ないんで、俺も囮をやります。ただし無理だと判断したらすぐに海に飛び込んで逃げますからね?」


「じゃあ、私達は船から大声でゾンビを引きつけるわ。やるのは日中ね。暗いのはゾンビに対して何もデメリットは無さそうだし、日があったほうが探し物は早い。」


「OK、話は決まったな。今からやるか?」


銭形慶治は早くやりたくて仕方ないようだ。もう愛用の皮の袋を腰に巻き始めていた。武器は金槌を使うらしい。他の人間はまだ何の準備も出来ていない。


「待ちなさい、もう3時を回っているのよ。今日はもう無理よ。」


「30分もあれば余裕だぜ?」


「急いては事を仕損じるって言うでしょ。ちゃんと綿密に計画しないと、また死人が出るわ。」


「そんなの俺か兄ちゃんだけじゃねえか?」


「あんたらが死ねば私達3人も遅からず死ぬのよ・・・。女だけで何しろって言うの?」


「むう・・・、OKだ。明日にしよう。腹が減っては何とやらとも言うしな。飯を頼むっ!」


「仕方ないわね。食料はおデブと貧乳の荷物からもらいなさい。もう死んじゃったんだからもらっても誰も文句なんか言わないわ。」


「ひゃっほうっ!まともな飯はいつ振りだったかな?」


銭形慶治はそう言うが早いか指差された荷物をゴソゴソやり始めた。そして顔が曇る。


「またカンパンとか缶詰かよ・・・。もっとこう暖かい物が早く食いたいぜ・・・。」





 翌日、朝から綿密な会議が開かれた。鍵は形状を知っていそうな銭型慶治が担当。これは本人の志願でもある。囮には真澄、これは他に適任者が居ないからである。土倉光は病み上がりだし、所詮は女だ。移動速度は男性には劣る。女子高生2人も運動神経は良さそうではないし、実際にゾンビに追いかけられるとなると固まるかテンパる可能性が出てくる。そうなると銭形慶治にも危険が及ぶので却下。今回のキーマンは船舶免許取得者の銭形慶治だ。彼を失う恐れはなるだけ避けたい。


「準備はいいわね?まずは私達が出来るだけ桟橋にゾンビをおびき寄せるわ。20~30分は対岸で待機してて、スワンボートなら音も無く接近できるし、行けると思ったら2人で相談して行っちゃって。もし危ないようなら鍵は諦めること、消臭スプレーは持って行きなさいよ。冷や汗なんかも呼び寄せる原因になるかもしれないから。」


男2人は軽く手を挙げると、荷物を持ってスワンボートに乗り込む。それを見届けた女3人は、桟橋側で大声を上げ始めた。ちなみに女3人は消臭を施しておらず、昨日は汗も拭かずにおいた。匂いはバッチリである。これもゾンビを引き寄せるために必要だったのだ。


『ほらほらほらっ!!!こっちよっ!!こっちにおいでっ!!!』


3人は練習していた(笑)掛け声でゾンビを呼ぶ。それに少量だが持っていた爆竹を鳴らし、トドメと言わんばかりに熊避けのブザーを鳴らす。けたたましい音が辺りに響き渡り、桟橋のみならず、モモンガ浜の中を徘徊していたゾンビも寄ってきた。すごい数である。軽く200体を越えるゾンビが所狭しと桟橋に溢れかえる。


「ほらほらほらっ!こっちに来なさいってばあああああっ!!!」


意外にも一番ノリノリで声を張り上げていたのは水無月優だった。他の2人も負けじと声を張り上げる。ゾンビは狂ったように船の向かって手を伸ばし、ばら撒かれた下着を奪い合ってむしゃぶりつく。これは女子高生2人が前日からずっと身に着けていた物だ。当然体臭が付いている。土倉光は下着を着用していなかったために、この憂き目に会わずに済んだ。前日に着替えさせられた時は、服だけ着せられていて、あとになって下着を着けていなかったことに気付いたのだ。トイレに行って初めて悲鳴を上げ、ちょっとした騒ぎになったのは別の話である。


「もうよさそうですね?」


待機していた男2人は大賑わいの桟橋をボートから眺めながら、波止場のコンクリートから顔だけを覗かせて上を確認する。何故か騒ぎに加わらない老婆のゾンビが1体だけぼんやりと立っていた。よく見ると耳に補聴器のような物が垂れ下がっている。身体的な障害はゾンビになっても引き継がれるのかもしれない。真澄はサッとコンクリートの岸壁に足を掛けると、老婆のゾンビに歩み寄り、大刀で頭を一突きにする。しばらくボンヤリと立ち尽くしたゾンビだったが、刀が抜けると同時にドサリと倒れる。他にゾンビの姿は無い。2人は作戦を変更し、見張りを真澄、探索を銭形慶治がやることに決め直し、管理小屋へ急いだ。ソフトクリーム売り場には、1人が立ち回れる程度の足場しかなく、その後ろに小さなドアがあった。


「そのドアから中に入るみたいだな。ちょっと外を見てろよ?」


そういうと銭形慶治はドアに付いていた南京錠の鍵を固定している鍵のボルトにドライバーを差し込むとクルクルと回し、あっと言う間に鍵を取り外した。そして中に入る。物の1分で戻ってくると、鍵束を見せニヤリと笑う。簡単な仕事だった。


「それっすか?どの鍵?」


「知らねえよ?これしか無かったし、どれか当たりでしょ。」


「とりあえず戻りましょう。」


「まぁ待て。土産でも持ってってやろうぜ?」


そう言うと銭形慶治は、ソフトクリーム売り場の横に設置されていた棚を開けると、中にあったトッピング用のチョコやウエハース、さらには売り物のガムや飴玉を全て持っていた大きな麻袋に詰め込む。というより流し込む。空になった売り場と棚を後に、2人がそこを離れたのは10分後だった。





 無傷で戻ってきた2人を女3人は笑顔で迎えた。特に女子高生2人はお菓子のお土産に手を打って喜んだ。


「飴ちゃん大好きっ!」


「甘い物なんかいつ振りかしら?やっぱりいいわねっ!」


「意外に気が効くのね?2点あげとくわ。満点は100だけど。」


三者三様の反応だったが、本心は嬉しいようだった。皆でしばし甘露を楽しみ、これからのことを話し合った。

補足

ゾンビは噛まれた場合のみ感染します。設定として唾液にゾンビ化を促す何かが入っており、血液感染、空気感染はしません。血液感染の場合、この時期だと蚊による感染もあるため、主人公たちが逃げるのにかなりの矛盾が発生しますので、こんな設定にしています。大西ライオ・・太陽君は引っ掛かれた際に、その手が唾液に濡れていたという不運でゾンビ化してしまいました。


まぁこんな話でよければ読んでねヾ(ゝω・`)

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