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# 後日譚 第2話 ## 「評価されない世界の外側」

# 後日譚 第2話


## 「評価されない世界の外側」


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空の裂け目は、消えたはずだった。


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だが。


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“何か”は残っていた。


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アルカディアの図書館。


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深夜。


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シンは一冊の古い本を開いていた。


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リリアが後ろから覗く。


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「それ、何の本です?」


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シン。


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「昔の記録」


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ノエルが眉をひそめる。


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「そんなもの残ってたんですか?」


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ページには、奇妙な言葉が書かれていた。


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> 世界は三層構造である

> 第一層:人間世界

> 第二層:才能観測領域

> 第三層:未定義領域(観測不能)


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カインが目を細める。


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「意味が分からん」


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レオ。


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「腹減った」


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シンはページをめくる。


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そこには続きがあった。


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> “シン”は第一層の存在ではない可能性がある


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沈黙。


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リリア。


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「ちょっと待ってください」


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ノエル。


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「それ、どういう意味ですか」


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シンは本を閉じる。


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「俺も知らん」


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その時。


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本が“勝手に”開いた。


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ページに文字が浮かぶ。


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> 観測者システム再接続

> 対象:シン

> 状態:異常進化中


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空気が変わる。


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外で鐘が鳴る。


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街がざわつく。


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「またかよ……」


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シンが立ち上がる。


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広場へ出る。


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空に、今度は“人型”の影が浮かんでいた。


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それはゼノスでもない。


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誰でもない顔。


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だが声だけははっきりしていた。


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「シン」


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「あなたは“観測される側”ではない」


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リリアが震える。


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「観測……?」


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ノエル。


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「また神様系ですか……」


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シンは空を見る。


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「で?」


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影が言う。


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「あなたは“観測を壊す存在”」


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「才能を信じる行為は、この世界のルールを破壊する」


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カインが剣を抜く。


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「敵か」


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影は続ける。


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「敵ではない」


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「調整対象」


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その瞬間。


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世界が“静止”する。


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鳥が止まる。


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風が止まる。


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人の声も止まる。


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リリアだけが動いている。


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「え……?!」


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ノエル。


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「時間が……」


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シンだけが動く。


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空の影と向き合う。


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「何がしたい」


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影。


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「修正」


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「あなたは世界の例外」


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シンは少し考える。


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そして言う。


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「じゃあ聞くけどさ」


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「例外って、悪いことか?」


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沈黙。


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影は答えない。


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シンは続ける。


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「アベルも」


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「ミアも」


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「セレナも」


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「ゼノスも」


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「全部“例外”だったぞ」


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空気が揺れる。


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影の輪郭が乱れる。


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シン。


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「それがダメなら」


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「この世界、間違ってるだろ」


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その瞬間。


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“静止した世界”にヒビが入る。


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リリアが動く。


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「戻った……!」


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ノエル。


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「今の何をしたんですか……」


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影が揺れる。


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「観測不能」


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「再評価不能」


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そして最後に。


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「“未定義領域”への干渉を確認」


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空が閉じる。


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何もなかったように。


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沈黙。


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レオ。


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「……飯、冷めた」


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カイン。


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「今のは夢か?」


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シンは空を見る。


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「夢じゃない」


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リリア。


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「じゃあ何ですか」


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シンは少し笑う。


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「たぶん」


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「“外側”だな」


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そしてその夜。


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シンは一人で外に出る。


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誰もいない草原。


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空を見る。


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そこには、まだ“割れ目の痕”が残っていた。


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小さく。


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でも確かに。


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シンは呟く。


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「まだあるのか」


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その時。


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背後から声。


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「行くんですか?」


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リリアだった。


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シンは振り向かない。


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「さあな」


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「でも」


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「放っとくと面白くなさそうだろ」


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リリアはため息をつく。


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「また戦いですか」


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シンは笑う。


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「戦いじゃないかもな」


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「今度は」


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「世界のルール作ってるやつと話すだけだ」


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空が少しだけ光る。


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遠くで、何かが“再起動”する音がした。


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そして。


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物語はさらに外側へ続いていく。


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## 「未定義領域へ」


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