# エピソード2 ## 「最弱騎士と呼ばれた男」
# エピソード2
## 「最弱騎士と呼ばれた男」
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リリアが仲間になってから三日後。
シンたちは隣町へ向かっていた。
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「ところでシンさん。」
「本当に世界を変えるんですか?」
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リリアが恐る恐る聞く。
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「変える。」
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シンは即答した。
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「そんな簡単に?」
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「簡単じゃない。」
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「ですよね……」
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「でも誰かが始めなきゃ変わらないだろ?」
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リリアは少し笑った。
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この人は本当に不思議だ。
無謀なのに、なぜか信じたくなる。
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その時だった。
広場の方から怒鳴り声が聞こえた。
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「役立たず!」
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「また落ちたのか!」
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「騎士失格!」
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人だかりができている。
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シンたちは近づいた。
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そこには大柄な男が立っていた。
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年齢は二十代前半。
鍛えられた身体。
真面目そうな顔。
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しかし周囲から笑われていた。
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「十五回目だぞ!」
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「騎士試験十五連敗!」
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「伝説の落ちこぼれだ!」
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周囲から笑いが起こる。
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男は何も言い返さない。
ただ拳を握り締めていた。
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リリアが小声で言う。
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「かわいそう……」
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シンもその男を見る。
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すると。
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【ガルド】
長所:責任感
長所:忍耐力
長所:仲間を守る精神
適性:守護騎士
適性:最高位防御職
潜在能力:SSS
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シンは二度見した。
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「は?」
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リリアが驚く。
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「どうしました?」
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「いや待て。」
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「どうしたんです?」
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「めちゃくちゃ才能ある。」
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「え?」
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シンは人混みをかき分ける。
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そしてガルドの前に立った。
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「なあ。」
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ガルドが振り向く。
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「なんだ?」
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「お前、騎士になりたいのか?」
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周囲がざわついた。
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「おいおい。」
「話しかけてるぞ。」
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ガルドは苦笑した。
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「やめておけ。」
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「ん?」
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「俺は笑い者だからな。」
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「そんなこと聞いてない。」
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シンは真っ直ぐ見た。
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「騎士になりたいのか?」
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ガルドは少し黙った。
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そして小さく答える。
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「なりたい。」
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「子供の頃から。」
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「誰かを守る騎士になりたかった。」
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周囲から笑い声。
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「無理だろ!」
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「才能ないんだから!」
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「諦めろ!」
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ガルドの顔が曇る。
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その時。
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シンが言った。
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「嘘だな。」
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一同。
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「え?」
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ガルドも固まる。
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「才能ないってのは嘘だ。」
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「むしろ逆。」
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「お前、天才だぞ。」
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静まり返る広場。
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ガルドは困惑した。
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「何を言ってる?」
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「本当だ。」
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「俺は十五回落ちた。」
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「知ってる。」
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「剣も弱い。」
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「知ってる。」
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「攻撃も苦手だ。」
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「知ってる。」
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ガルドは怒った。
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「ならなぜ!」
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シンは笑った。
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「守る才能があるから。」
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「……え?」
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「お前さ。」
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「戦うことより守ることばかり考えてるだろ。」
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ガルドの目が揺れる。
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図星だった。
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試験でも。
仲間が怪我しないか。
隊列は大丈夫か。
避難は終わったか。
そんなことばかり考えていた。
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「どうして分かる……」
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シンは肩をすくめる。
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「分かるんだよ。」
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「お前は攻撃型じゃない。」
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「守護騎士だ。」
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「仲間を守るために生まれてきた人間だ。」
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ガルドの瞳が震える。
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人生で初めてだった。
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自分の弱さではなく。
自分の良さを言われたのは。
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「俺が……?」
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「そうだ。」
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「守る才能は世界最高クラスだ。」
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ガルドの目に涙が浮かぶ。
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周囲はまだ笑っている。
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だが。
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その笑い声はもう聞こえなかった。
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ガルドの耳には。
たった一人の言葉だけが響いていた。
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「お前の良いところ、俺は知ってる。」
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シンは手を差し出した。
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「どうだ?」
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「俺たちの仲間にならないか?」
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ガルドは震える手でその手を見た。
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リリアも笑っている。
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「一緒に行きましょう。」
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「あなたは落ちこぼれなんかじゃありません。」
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ガルドは顔を覆った。
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そして。
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何年も我慢していた涙を流した。
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「……ありがとう。」
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「本当に……ありがとう。」
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こうして。
シンの二人目の仲間、
未来の最強守護騎士ガルドが加わった。
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だが彼らはまだ知らない。
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この世界には。
もっと大勢の「才能を見捨てられた人々」がいることを。
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そしてシンの言葉を待ち続けていることを。
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## 次回
### エピソード3
**「無口な獣人少女は情報収集の天才でした」**
森で出会った人見知りの獣人少女。
誰とも話せない彼女の中に、シンは驚くべき才能を見つける――。




