# エピソード14 ## 「王国の支配者」
# エピソード14
## 「王国の支配者」
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王都。
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巨大な会議室。
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誰も声を出せなかった。
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アルバート・フォン・グランゼル。
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その名は王国そのものだった。
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四十年以上。
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国の政治を支配してきた男。
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王ですら無視できない存在。
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貴族たちは彼を恐れた。
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民衆も逆らわなかった。
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そして。
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彼が一度敵と認めた相手は。
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必ず消えていった。
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アルバートは静かに立ち上がる。
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「準備しろ。」
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それだけだった。
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だが。
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会議室の空気が震えた。
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「ローデ村へ向かう。」
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その一言で。
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王国中が動き始めた。
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## 一週間後
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ローデ村。
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朝。
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異様な空気だった。
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「来るぞ……。」
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ガルドが呟く。
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村の入口には。
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数十台の馬車。
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騎士団。
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官僚。
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貴族たち。
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まるで国そのものが来たようだった。
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村人たちは緊張する。
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しかし。
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シンだけは。
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いつも通りだった。
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「すげぇ人数だな。」
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「そこですか!?」
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リリアが叫ぶ。
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その時。
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豪華な馬車の扉が開いた。
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老人が降りてくる。
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白髪。
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鋭い目。
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杖を持っている。
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しかし。
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ただ立っているだけで。
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圧倒的だった。
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アルバート。
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彼はシンを見る。
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シンも見る。
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しばらく無言。
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誰も口を開かない。
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そして。
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先に話したのはアルバートだった。
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「お前がシンか。」
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「そうだけど。」
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「若いな。」
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「そっちは年上だな。」
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全員。
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(何言ってるんだこの人!?)
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アルバートですら少し驚いた。
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今まで。
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こんな話し方をする者はいなかった。
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貴族は媚びる。
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官僚は怯える。
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民衆は頭を下げる。
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だが。
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この青年は違う。
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アルバートは村を見回した。
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働く人々。
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笑う子供たち。
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活気のある市場。
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しばらく見て。
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言った。
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「確かに発展している。」
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村人たちがざわつく。
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アルバートに認められた。
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それは本来なら奇跡だった。
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しかし。
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アルバートは続ける。
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「だが。」
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空気が変わる。
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「だから何だ。」
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静寂。
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「一つの村が成功しただけ。」
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「国はそんなに甘くない。」
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「理想だけでは回らん。」
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シンは黙って聞いていた。
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アルバートは続ける。
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「人には格がある。」
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「向いている立場がある。」
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「身分制度は必要だ。」
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「それを否定するのは愚かだ。」
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村人たちが悔しそうな顔をする。
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だが。
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シンは怒らなかった。
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ただ。
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アルバートを見ていた。
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すると。
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能力が発動する。
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【アルバート】
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長所:責任感
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長所:決断力
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長所:忍耐
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長所:国家への愛
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才能:統治
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才能:戦略
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潜在能力:SSS
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弱点:後悔
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弱点:喪失感
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深層感情
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【もう誰も失いたくない】
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シンは固まった。
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「……。」
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アルバートを見る。
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老人の目は冷たい。
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だが。
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その奥に。
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深い悲しみがあった。
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シンは静かに聞いた。
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「誰を失った?」
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その瞬間。
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空気が凍った。
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アルバートの目が見開かれる。
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周囲も驚く。
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「なっ……。」
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ベルグですら息を呑んだ。
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誰も知らない。
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誰も触れない。
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王国最大の秘密。
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アルバートは震える声で言った。
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「何を言っている。」
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シンは続ける。
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「大事な人だったんだろ。」
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沈黙。
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長い沈黙。
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やがて。
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アルバートが呟く。
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「……息子だ。」
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全員。
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「え?」
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初耳だった。
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アルバートには。
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かつて息子がいた。
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優しい少年だった。
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しかし。
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二十年前。
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戦争で死んだ。
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その時。
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アルバートは決めた。
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二度と国を弱くしない。
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理想より現実。
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感情より秩序。
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そうして。
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今の彼になった。
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村人たちは黙る。
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初めて知った。
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この老人も。
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誰かを愛した人だったことを。
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シンは言った。
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「苦しかったな。」
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アルバートの拳が震える。
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二十年間。
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誰も言わなかった言葉。
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誰も聞かなかった言葉。
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「……。」
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しかし。
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アルバートは首を振る。
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「だからといって。」
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「お前の考えを認める気はない。」
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「私は国を守る。」
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シンも頷いた。
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「俺もだ。」
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「?」
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「俺も守りたい。」
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シンは村を見る。
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仲間を見る。
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笑う子供たちを見る。
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「だから変えたい。」
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アルバートは初めて。
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真正面からシンを見た。
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この男は。
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本気だ。
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ただの理想家じゃない。
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本当に国を良くしたいと思っている。
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だからこそ。
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危険だった。
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アルバートは背を向ける。
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そして最後に言った。
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「ならば証明してみせろ。」
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「お前の世界が正しいと。」
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「一年後。」
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「王都で待つ。」
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馬車が動き出す。
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こうして。
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シンとアルバート。
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二人の信念がぶつかる戦いが始まった。
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そしてシンはまだ知らない。
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一年後の王都で。
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王国全体を巻き込む運命の日が待っていることを。
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## 次回
### エピソード15
**「国を作ろう」**
アルバートとの約束から始まる新たな挑戦。
シンは宣言する。
「村じゃ足りない。国を作ろう。」
落ちこぼれたちの理想国家編、開幕――。




