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確信犯たちが集う応接間

「簡潔に答えてくれ」


応接間に通されると、辺境伯は上座にある一人掛けのソファーに既に座っていた。四家庭、総勢十五人が席に着くと同時に、辺境伯は話を切り出した。父も他の騎士も、慣れた様子で頷く。


「モンス男爵家長女、マーナが、先刻行われた年始の魔力測定会にて、光魔法への適性と王族並みの魔力量の保持を示唆された。これは事実か?」

「「「「「はい、事実です」」」」」

辺境伯の問いかけに、五名の騎士が声を揃えて答える。


「では、その会場にて、民衆が『モンス男爵家長女マーナを我らリュグムの民の誇りとし、守り育てよう』と声を上げたのは事実か?」

「「「「「はい、事実です」」」」」

辺境伯の都合良く編集された問い掛けに、五名の騎士は声を揃えて力強く答える。


「では今後、モンス男爵家長女マーナは、リュグムの守護者たる私、ディーレ辺境伯の庇護下に置かれるのが適切な処遇だな?」

「「「「「その通りです」」」」」

寸分の迷いも違いもなく、五人の騎士は声を揃えた。


「うん。じゃあ、今後のことを決めよう。どうしたらいいと思う? モンス大隊長から時計回りに具体的に挙げていって。はい、モンス君、どうぞ」


辺境伯に促された父が一拍置いて話し始める。ちなみに私は離れ難くなって、父の胸筋にまだしがみ付いている。


「まず、住居は現状のままが良いでしょう。娘はまだ七歳ですし、我が家には二名の魔法騎士と一名の魔法騎士見習いがおります。現在も防犯目的で結界魔道具を設置しており、登録の無い者は敷地に侵入できないようになっております。今後は、害意のある者を排除できる魔道具を早急に準備します」


父がその美声で「私を手放さない」と強めに主張している。腰が砕けそうだ。隣の母は顔を赤らめ、後ろに控える兄は表情筋を殺している。


「そうだった。モンス君、奥さんを溺愛していたね。家の守りは今でも十分に堅いよね。その結界魔道具はどこのものなの?」


辺境伯の問いに、我が家の右隣に座っているご一家の優しそうなお父さんが答える。


「モンス大隊長の依頼を受け、十五年前より私が作成しています。現状、年に一回新しい物に交換し、半年に一回点検をしています。今後は月に一回点検をしていきましょう」


優しそうなお父さんは上半身を乗り出して、若草色の瞳で私を見つめると、「大丈夫だよ」と微笑んだ。思わぬことに私の両頬は熱くなる。私の様子を見た父はすかさず上体を捻り、私の視界から優しそうなお父さんを消し去った。隣で母が慌てて頭を下げ、後ろに控える兄は表情筋を殺している。


「なるほど、ベントス君のお手製だったら何も問題ないね。今後はこちらで費用を持つから、点検の度に申請してね。次に、外敵排除の魔道具はどうしようか?」


辺境伯の問いに、我が家の正面に座っているご一家の赤毛の勝気そうなお母さんが答える。


「私が作成しましょう。ストーカー撃退用に作った魔道具が既にあります。ベントス隊長と同様、年一回の交換と月一回の点検も行います」


父が上体を捻ったままなので、私は勝気そうなお母さんと正面から目が合った。勝気そうなお母さんはウインクをしてくれた。思わぬことに私はモジモジしてしまう。父はすかさず上体を戻した。隣で母が申し訳なさそうな顔をし、後ろに控える兄は表情筋を殺している。


「イグニス君、くれぐれも出力は調整してね。ちょっとした怪我をさせただけで騒ぎ出す迷惑な方もいるからね」

「了解しました」


イグニスお母さんは分厚い唇を釣り上げて答える。辺境伯は、「くれぐれも頼むよ」と念押ししてから話題を変えた。


「住居は現状のままでいいとして、今後の教育はどうするの?リュグムの学校に通わせるとしても、まだ六年あるし。民衆の前で『育てる』宣言したからには、表に見える形でやっていく必要があると思うけど」


「もちろん現状のまま、家庭内で教育します。娘はまだ七歳なので」


辺境伯の問いかけに、父は間髪入れずに答えた。隣で母は目を瞬かせ、後ろに控える兄は天井を見上げてしまった。


私が家庭内にいたら、表に見えないのでは?

私の出番が来ましたか?

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