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魔法騎士たちの連携、そして辺境伯の館へ

若い神官に促されて、拍手喝采の中、家族三人で魔力測定用に設えられた壇から降りる。

すると、慣習通りに神官たちが高らかに打楽器を響かせ、雰囲気を改めた。次に魔力を測定する七歳児の名を若い神官が朗々と告げる。


皺くちゃな笑顔で固まっていた神官コンコは、何事も無かったかのようにクレール神の下へ戻った。


壇から降りるとすぐさま、辺境伯お抱えの魔法騎士たちに囲まれ、大広間の壁際へ移動した。

辺境伯お抱えの魔法騎士たちと言っても、私たち家族の護衛のためにいたのではない。彼らも七歳の子どもがいる親で、年始の魔力測定のため、この地方神殿に集っていたのだ。


騒ぎの中、視線だけで連携を取り、善意で私たちを囲んでくれたようだ。

風魔法を駆使して交わされる父と魔法騎士たちの秘密の会話を盗み聞きして、状況を把握する。


その後は、慣例通りに年始の魔力測定は進み、参加した子ども全員の測定を滞りなく終えた。神官コンコから全体への祝辞を貰い、クレール神への感謝を全体で唱和して閉会となった。


有能な騎士たちに囲まれて、壁際を少しずつ出口に向かって移動していたため、私たちは閉会と共に大広間を出る。足早に門を出ると、すでに全家族の馬が馬屋から出されていた。速やかに馬上に移り、ほぼ駆足で神殿を去った。


しみじみと両親、ならびに辺境伯お抱えの魔法騎士の手際の良さに感嘆する。

前世でも私さえ冷静であれば、今生のように守ってもらえたのだろうか。幼かったとはいえ、己の短慮がつくづく嫌になる。


「早かったな」


抱っこの姿勢で、父の首に腕を、胸筋に足を回してしがみ付いていた私。その耳を父の美声が擽る。

馬に一人でまだ乗れない私は、父と二人乗りだ。駆足の馬の頭頸とうけいは前後上下に大きく動くため、振り落とされないよう、私は父にしがみ付いていた。恥ずかしくはない。前後を走る馬にも、同じ年頃の子が似たような姿勢で乗っている。


「父上」


ほどなくして、前方から疾走してきた一騎が反転し、父と並走する。長兄のダリスだ。


「ダリス、助かった」

「父上からの伝令を受けて、すぐに動きました。ディーレ辺境伯がお館でお待ちになっております」

「このまま向かおう」

「我らもご一緒してよろしいでしょうか」

「有り難い。非常に心強い」


風魔法を使った会話をふんふんと盗み聞きしていると、ダリスから睨まれた。


「マーナ、お前いつから風を操れるようになった?」


目ざとい長兄から、お説教の気配がする。

私は素早く耳の周りに集めていた風を散らし、父にしがみ付いている四肢に力を込めた。十三歳年上のダリスは父性が強く、細かいことまで厳しい。私は機嫌を損ねたことにして、ダリス兄さまからの質問を無視した。


途中、街道を国境沿いの森へ逸れ、川を遡っていく。斜面を登っていくと、湖に面したお館が見えてくる。ディーレ辺境伯のお館だ。

「館」といっても国防の拠点なので、外壁にも内装にも華美な装飾はなく、質実剛健といった佇まいをしている。お屋敷の裏は切り立った崖になっていて、その向こうは隣国まで続く広大な森だ。


敷地に入ると、脇から馬丁が現れて馬を引き受けてくれる。馬を預けると、神殿から付き添ってくれている三組の家族と共に、お館の方へ歩く。

車寄せには白髪の執事が待ち構えていた。


「皆様、ご足労いただきありがとうございます。早速ですが、お館様がお待ちです。どうぞ応接間へ」

「承知した」


父が左手を右から左へ横一直線に振ると、同行者全員に清浄魔法がかかり、一瞬にして土埃が払われる。


私、ここでも何にもしなくて良さそう。


馬を降りても父にしがみついたまま、私はぼんやり思った。

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