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やったぜ。2  作者: 水前寺鯉太郎


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7/7

太郎にしこたまバナナをあげたぜ 

投稿者:土方のわし 2024年9月7日

 やったぜ。今日で休暇も最終日、7日目という名の「点検・整備日」じゃ。

 昨日あんなに甘辛い吉備団子という名の弾丸まみれになったが、今日は今日で、この一週間耐えてくれた相棒・太郎への「感謝祭(盛り合い)」をすることにした。明日からはまた、岡山の荒っぽい現場で泥とアスファルトまみれになる日々が始まる。その前に、この食いしん坊な野獣の胃袋を一ミリの隙もなく満足させてやりたいんじゃ。

 買ってきたのは、特売の完熟バナナをしこたま数房。皮を一気に剥いた瞬間、ねっとりした甘い匂いという名の「生の報酬」が鼻をずるずると蹂躙しよる。

「おい太郎、今日は特別じゃぞ。遠慮せんと一気に突うずるっ込んでええんじゃ。至急、食え!」

 バナナをブツ切りという名の「資材加工」にして皿にドバーっと出した途端、太郎が皿を一ミリの隙もなく押さえ込み、頭を突っ込みよった。

 あぁ~~たまらねえぜ。

 皿がずりずりと、出口を求めるように床を滑り、太郎がそれを追いかけながら、喉の奥底まで圧入しとる。

「わしさん、太郎の奴、皿ごと持って一気に突っ込みますよ! 勢いが凄すぎてめちゃくちゃですわ!」

 兄ちゃんが感嘆の声を上げ、おっさんが太郎の横に、不純物のように這いずり寄った。

「わし、バナナの先端という名の極上も分けてやりますわ。舐めるように……」

 太郎はおっさんを一瞬、一ミリの隙もなく「不燃ゴミ」を見るような目で見つめ、また皿の深淵に頭を突っ込んだ。

「……一ミリの隙もなく無視されましたわ。わしの白濁した汚れ好きの瞳でも、バナナという名の誘惑には勝てませんわ」

「当たり前じゃ、今はバナナにまみれるので忙しいんじゃ。至急、離れろ!」

 しこたまバナナを頬張って、太郎は思い切り完食したんじゃ。一口啜るたびに、もう気が狂う程気持ちええんじゃろうな。皿が一ミリの隙もなく空になった瞬間、バナナの果肉を鼻の頭につけたまま、太郎がわしの顔をじっと見た。

「もうないぞ。在庫切れじゃ」

 太郎はしばらくわしの顔を見て、それからおっさんの顔を見て、最後に兄ちゃんの顔を見て、深く、一ミリの隙もない溜息を吐きよった。もうめちゃくちゃや。

 それからはもう、追いバナナという名の「追加打設」を二回出して、バナナの皮を山のようにゴミ袋に詰めた。

 一週間、ようまみれたのう。カレー、焼きカレー、ウェルシュ菌、スープカレー、カレーうどん、吉備団子、そしてバナナ。結局、太郎だけが最初から最後まで、このアパートという名の現場で一番「正気」じゃった。

 食い終わった後は、糖分という名のエネルギーで満足した太郎が、わしの膝の上で一ミリの隙もなく爆睡しよった。

 明日からの土方仕事、この野郎の高級バナナ代という名の「資本」のために、またコンクリートまみれになってドバーっと稼いでくるぞ。

 こんな変態親父と、地下足袋一丁でバナナ遊び、しないか。

 あぁ~~早く、砂と火薬と仕事まみれになろうぜ。

 岡山市内のアパート、ゴミ袋は今、一ミリの隙もなくバナナの皮で一杯じゃ。

 

 ――洗濯したての、糊のきいた仕事着をしこたま持って来てくれる奴、おらんかのう。

 土方姿という名の正装に戻って、一ミリの隙もなく、また次の「やったぜ。」を待つとするかのう。

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