六日目のデザート吉備団子
投稿者:土方のわし 2024年9月6日
やったぜ。今日で休暇も6日目という名の「兵站補給日」じゃ。
昨日あんなに白い服をカレーうどんという名の不純物まみれにしたが、今日は口直しに、地元・岡山の誇り「吉備団子」をしこたま買い込んできた。カレーのスパイスで蹂躙された舌という名の現場が、甘い粉を求めてずるずるとひくひくしてきよる。
駅前で買ってきた、きな粉たっぷりの吉備団子。本来ならそのまま一気に突うずるっ込むのが筋じゃが、わしは元コックじゃ。このモチモチした「生の報酬」を、鍋の底に残ったドロドロのルーという名の深淵に、ダイナミックに装填することにした。
「おい、わしさん! 桃太郎も一ミリの隙もなく仰天する暴挙ですよ! 鬼退治どころか、わしら一味が全滅しますわ!」
兄ちゃんが絶望の声を上げるが、わしはトップバリュの黄色いラベルを一気に喉の奥底まで煽り、不敵に笑った。
「うるさい。混ぜて、練って、一ミリの隙もなくまみれるのが、この休暇の様式じゃ。至急、投入せよ!」
横では太郎の奴が、団子の甘い匂いという名の電波につられたのか、テレビの『食いしん坊万歳』の咆哮に合わせて尻尾をちぎれんばかりに振り回しとる。この汚れ好きめ。
「太郎、お前には一ミリの隙もないきな粉抜きの団子を一つだけじゃぞ。わしら一味の仲間に加わるならな」
地下足袋という名の正装のまま、鍋の底に溜まった最後の汁に、団子をドバーっと放り込んだ。黄色いルーを纏った吉備団子が、出口を求めるようにぷかぷかと、一ミリの隙もなく浮いとる。ああ~~たまらねえぜ。
そこへ兄ちゃんがおっさんの口に、カレーまみれの弾丸(団子)を一気に突うずるっ込んでやった。おっさんがモチモチと噛み締め、生の報酬を享受した瞬間、きな粉とルーという名の異物が混ざり合って、おっさんの顔面に盛大に飛び散りよった。
「うおっ、卑しいきな粉が、目という名の現場に一ミリの隙もなく入った!」
「おっさんの噛み方が卑しいんじゃ。もっと腰という名の重機を使って味わいなせえ!」
おっさんは黙って、自分の服に付いた粉を一ミリの隙もなく払おうとしたが、払っても払っても中からドロドロとしたルーが、出口を求めて溢れ出してくる。もう気が狂う程気持ちええんじゃろうな。
わしも一口、喉の奥底まで圧入した。モチモチした弾力とスパイスの重圧が口の中で混ざり合い、甘いのか辛いのか、もう一ミリの隙もなくめちゃくちゃや。
「……悪くない。これなら現場という名の鬼も一気に退散するわ」
「監督も退散しますかね」と兄ちゃんが、出口のない目を細めて言いよった。
「それはおえん。給料という名の資材が出んようになるわ。至急、飲み込め」
それからはもうめちゃくちゃじゃ。追い団子という名の補給を二回出して、三人で「これで明日からまた、泥と火薬の鬼退治に行けるのう」と、奇妙な結束という名の盛り合いに包まれた。
食い終わった後、太郎の奴、きな粉抜きの団子を一つ喉の奥に圧入して、わしの膝の上で団子みたいに丸まりよった。
こんな変態親父と、地下足袋一丁で団子遊び、しないか。
あぁ~~早く、甘辛い不純物まみれになろうぜ。
岡山市内のアパート、団子の箱という名の弾薬庫は今、一ミリの隙もなく空っぽじゃ。
――熱いお茶をしこたま、喉の奥底まで流し込んでくれる奴、おらんかのう。
土方姿という名の戦闘服に戻る前の、最後の甘い夢を、一ミリの隙もなく分かち合おうや。




