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やったぜ。2  作者: 水前寺鯉太郎


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四日目のスープカレー 

投稿者:土方のわし 2024年9月4日

 やったぜ。今日で休暇も4日目という名の「二次災害防止期間」じゃ。

 昨日あんなにウェルシュ菌という名の不純物まみれになって全滅したが、今日は心機一転、鍋という名の祭壇を親の仇のように磨き上げ、一ミリの隙もなくリベンジすることにした。もう二度とあんな「もわっ」とした卑しい死の匂いはご免じゃ。おえんわ。

 スーパーで鶏の手羽元としこたま夏野菜を買い込んできた。景気づけにトップバリュの黄色いラベルを喉の奥底までラッパ飲みしながら、まずは野菜の「表面舗装(素揚げ)」じゃ。

 ――あぁ~~たまらねぇ。素揚げの音が、生の咆哮を上げよる。

 茄子やピーマンが、沸騰した油という名の地獄の中で、じゅわじゅわと一ミリの隙もなく鳴りよる。香ばしい匂いが鼻をずるずると蹂躙し、食欲をドバーっと溢れさせてくる。

 横では太郎の奴が、昨日の絶望という名の泥沼から立ち直ったのか、テレビの『食いしん坊万歳』を眺めながら、出口を求めるような期待の声を上げとる。

「安心しろ太郎。今日は絶対に、菌という名の反逆者に胃袋を突うずるっ込ませるような真似はせん。一ミリの妥協も許さんぞ」

 昼過ぎ、除菌スプレーを二刀流で構え、一ミリの隙もない「クリーンルーム」を目指す兄ちゃんとおっさんがやって来た。

「わしさん、今日こそは……清潔という名の盛り合いをしましょうや」

「ああ。地獄の釜茹でによる、完全なる滅菌工事じゃ」

 3人で地下足袋一丁という名の「無菌服」になった。兄ちゃんがアルコールを鍋の周囲にシュッシュと、まるで魔除けのように撒き散らしよる。

「それは隠し味じゃないぞ。一気に突っ込むな」

「念のためです。菌という名の亡霊が、出口を求めて寄ってきますから」

 鍋の中に、鶏の出汁とスパイスという名の「生の報酬」をドバーっと流し込んだ。昨日のドロドロとした絶望とは違う、透き通ったスープが、修造の「もっと熱くなれよ!」という咆哮と共に熱気に包まれていく。おっさんが鍋を覗き込んで「ウェルシュ、来なせえ……一ミリの隙もなく返り討ちじゃ」と、呪文のように呟きよった。

「おっさん、鍋を脅すな。卑しい唾が入るわ。至急、離れろ!」

 素揚げした野菜を投入すると、スパイシーな香りが爆発的に広がった。スープまみれの鶏肉を、手に掬わんばかりの勢いで頬張り、安酒を喉の奥底まで流し込む。

 一口啜るたびに、もう気が狂う程気持ちええんじゃ。ああ~~たまらねえぜ。

 それからはもうめちゃくちゃや。替え玉の素麺を叩き込み、一滴残らずスープを飲み干そうとしたが、わしは寸前で、プロの勘で踏みとどまった。

 残りのスープを小分けにし、氷水という名の「急速冷却器」で急冷してから、冷蔵庫のチルド室という名の最深部へ一気に突うずるっ込んだ。

「わしさん、やっぱり常温で一晩寝かせた方が、熟成がドバーっと……」

 おっさんが卑しい口を滑らせた瞬間、わしと兄ちゃんは無言で、現場の鬼のような目で一ミリの隙もなくおっさんを睨みつけた。おっさんは「……チルド室という名の極楽ですね」と言って震えよった。

 太郎の奴、満足したのか冷蔵庫の前でスフィンクスのように座り、一ミリの隙もなく番を監視しとる。

 こんな変態親父と、地下足袋一丁でスープ遊び、しないか。

 あぁ~~早くスープまみれになろうぜ。

 保冷剤をパンパンに詰めて、凍りついたまま持って来てくれる奴、おらんかのう。

 土方姿のまま冷やし抜いて、明日こそ「冷やしカレー」という名の絶頂へ、一緒に昇天しようや。

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