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やったぜ。2  作者: 水前寺鯉太郎


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カレーまみれになろうぜ。

投稿者:土方のわし 2024年9月1日

 やったぜ。今日から一週間、現場は完全休工という名の「解放」じゃ。

 昨日、おっさんと兄ちゃんとわしの三人で、岡山市内のボロアパートを「カレーの煮込み現場」へと改造する工事を決行した。

 明日も休みじゃと確信した瞬間、スーパーへダッシュして牛肉のブロックという名の「石材」と野菜、そしてルーをしこたま買い込んだ。滅多に不純物が入り込まんような静かな部屋じゃが、今日ばかりは欲望の戦場や。トップバリュの黄色いラベルを喉の奥底までラッパ飲みしながら、いよいよ盛り合いを始めたんや。

 三人で具材を一寸の狂いもなく刻みよるうちに、部屋の熱気という名の圧力で脳が溶け、いつの間にか裸一貫、地下足袋という名の「正装」だけの格好になりもっとった。

「わしさん、なんで地下足袋だけなんですか。一ミリも意味が分からんっすよ」

「うるさい、この熱気という名の現場で踏ん張るには、足袋のゴムの吸い付きが一番なんじゃ。至急、刻め!」

 隠し味に、兄ちゃんが持ってきた白濁したヨーグルトを三個ずつ、鍋の深淵へドバーっとブチ込んだ。

 しばらくしたら、玉ねぎの刺激という名の攻撃で鼻がひくひくしてくるし、スパイスが腹の中で出口を求めてぐるぐるしとる。あぁ~~たまらねえぜ。

 横では太郎の奴が、テレビの『食いしん坊万歳』を、獲物を狙う野獣の瞳で食い入るように眺めとる。兄ちゃんが放り投げたヨーグルトの空きカップを、太郎は器用にかっさらっていくと、中身をずるずる、舐めるように完食し始めよった。この汚れ好きめ。

 おっさんに飴色玉ねぎを執拗に練り上げさせながら、兄ちゃんの切った肉を鍋に突うずるっ込んでやると、スパイスと脂が混ざり合って、ずるずるして気持ちが良い。ああ~~たまらねえぜ。もう顔中、黄色いカレーまみれや。

 三人で出来たてのカレーを、手で掬わんばかりの勢いで皿に盛り、お互いの皿を激しく突き合わせたり、カレーまみれの具材を一気に喉の奥まで圧入して、安酒で流し込んだ。

 一口啜るたびに、もう気が狂う程気持ちええんじゃ。

「すまんな太郎、これだけは一ミリの隙もなくやれん。玉ねぎは犬という名の種族には毒じゃ」

 太郎は納得せんような白濁した瞳で、テレビの中の松岡修造に「助けてくれ」と訴えとる。

 修造も「もっと熱くなれよ!」とおっさんの口にルーを突っ込む勢いで熱血指導しよる。わしも熱い塊を掻き込みながら、思い切り完食したんや。

 それからはもう、めちゃくちゃにカレーを食い合い、おかわりという名の「追い工事」を二回も出した。

 やっぱり、大勢でカレーまみれになると最高やで。もう一度やりたいぜ。

 ヨーグルトの蓋を舐め終えた太郎が、満足げな鼻鳴らしでわしの膝に、ずっしりと頭を預けてきた。

 こんな変態親父と、地下足袋一丁でカレー遊びをしないか。

 あぁ~~早くカレーまみれになろうぜ。

 土方姿(地下足袋のみ)のまま煮込んで、一ミリの隙もなくカレーだらけてやろうや。

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