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ハンターランキング2位のエルフに憧れてハンターになったら人間が1人もいなかった  作者: F.R


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第8話 竜人vs獣人

理由のわからない衝動


僕、ノクティア、ルーシィ


三人で、森の中を慎重に進んでいた。


一次試験が始まってから、すでに一日以上が経っている。


戦闘の痕跡はあちこちに残っていた。


折れた木。

焦げた地面。

血の匂い。


ここは、争いの場だ。


「……できるだけ、戦わないで行こう」


僕が言うと、ノクティアもルーシィも頷いた。


魔石は十分にある。


無理に奪い合う必要はない。


今の目的はただ一つ。


「……私の友達を、探したい」


ルーシィは、歩きながら話し始めた。


「私と同じ、エルフの女の子なの」


「名前は……サラ」


その声は、少し誇らしげだった。


「とてもクールで、強くて……

 私とは全然違うタイプだけど、すごく優しいの」


そう言って、嬉しそうに微笑む。


(……いい友達なんだな)


僕は、自然とそう思った。


その時。


「……止まって」


ノクティアが、低い声で言った。


僕たちは即座に足を止め、草むらに身を隠す。


前方から、強烈な気配がぶつかってきた。


「……交戦中だ」


視線の先。


開けた場所で、戦いが始まろうとしていた。


竜人が三人。


獣人が二人。


竜人は、全員男。


体格がよく、鱗が陽光を反射している。


対する獣人は


うさぎの獣人。


男女の兄妹らしい。


僕は、思わず息を飲んだ。


「……竜人相手に、二人で……?」


竜人は、強い。


獣人二人で勝てるのか。


正直、厳しいと思った。


なのに。


なぜか、胸が高鳴る。


(……どんな戦いをするんだろう)


戦いは、一瞬で始まった。


竜人の一人が、地面を蹴る。


爆発音。


凄まじい脚力で距離を詰め、拳を振るう。


うさぎの兄が、それを横に跳んでかわす。


次の瞬間。


蹴り


ただの蹴りじゃない。


太く、鍛え上げられた脚が、

空気を裂いて、竜人の脇腹に叩き込まれる。


鈍い音。


竜人が吹き飛び、木に叩きつけられた。


「……強い……!」


僕は、思わず呟いた。


うさぎの妹も負けていない。


小柄な身体からは想像できない加速。


地面を蹴り、跳び、回り込み、連続で蹴りを叩き込む。


竜人は、すぐに立て直す。


「……面白い」


竜人の一人が、口元を歪めた。


次の瞬間、炎。


竜人が、口から火を吹いた。


森の空気が、一気に熱を帯びる。


うさぎ兄妹は、左右に散る。


兄が前に出る。


炎を蹴りで弾くように、強引に突っ切る。


だが

追撃。


別の竜人が、背後から回り込み、爪で切り裂いた。


血が飛ぶ。


「にぃ!!」


妹が叫び、無理やり割って入る。


兄妹の連携は、見事だった。


息を合わせ、

片方が囮になり、

片方が決定打を狙う。


竜人も、手強い。


三人がかりで、徹底的に潰しにくる。


激闘。


森が、壊れていく。


時間が、異様に長く感じられた。


そして。


最後は、うさぎ兄の渾身の一撃だった。


全身を捻り、地面を蹴り、

竜人の顎に、全力の蹴り。


骨が鳴る音。


竜人が倒れた。


残り二人も、続けて倒れる。


勝った。


だが。


うさぎ兄が、その場に膝をついた。


「……っ……」


腕が、折れている。


明らかに、重傷だった。


妹が、慌てて支える。


「にぃ……」


僕たちは、息を呑んだ。


(……助ける?)


でも


敵だ。


試験だ。


助ける義理は、ない。


そう、分かっているのに。


その時。


凄まじい殺気が、森を包んだ。


空気が、凍りつく。


「……なに……?」


ルーシィが、震えた。


視線の先。


現れたのは

圧倒的なオーラを放つ、竜人。


一目で分かる。


格が違う。


うさぎ兄妹も、明らかに動揺していた。


「……ノルディス……」


ルーシィが、震える声で呟く。


「……知ってるの?」


「……ハンターランキング一位……

 竜人の……息子……」


しかも、評判は最悪。


破壊を楽しむ。

魔人みたいな竜人。


ノルディスの両脇には、

同じく強そうな竜人二人。


うさぎ兄は、動けない。


妹が、前に立つ。


「逃げろ……!」


兄が叫ぶ。


その瞬間。


ノルディスの仲間が、獣人に襲いかかった。


その時だった。


僕の中で、何かが揺れた。


理由は分からない。


脳裏に、うっすらと浮かぶ

誰かの背中。


(……誰だ……?)


分からない。


でも。


次の瞬間。


僕は、飛び出していた。


「……っ!」


全力で跳ぶ。


そして


蹴り。


竜人の顔面に、クリーンヒット。


信じられないほど、綺麗に入った。


竜人は、木の方へ吹き飛んでいく。


(……え……?)


自分でも、驚いた。


ノルディスが、目を細める。


「……人間……?」


その隙に、僕は叫んだ。


「ルーシィ!!」


ルーシィは、はっと我に返る。


「……っ!」


次の瞬間。


大量の煙幕。


視界が、一気に遮られる。


僕とノクティアは、同時に動いた。


獣人兄妹を抱え、全力で走る。


斜面を下り、

息が切れるまで



かなり離れたところで、ようやく止まった。


背後から、怒号が聞こえる。


ノルディスの、怒りの叫び。


「……逃げきれたか……」


僕たちは、倒れ込むように座り、

すぐに手当を始めた。


ルーシィが、治癒魔法をかける。


骨が、元に戻っていく。


ノクティアが、僕を睨む。


「……バカ……!」


「ご、ごめん……」


本気で、怒っている。


僕は、二人に頭を下げた。


「ありがとう……ごめん……」


獣人兄妹は、まだ警戒していた。


「……なぜ……助けた……?」


そう聞かれても。


「……わからない」


本当だ。


理由は、分からない。


咄嗟に、身体が動いただけ。


「……気まぐれ、かな」


そう言うと、獣人兄は、苦笑した。


「……俺は、ラビ」


「私は、ルビ」


僕は聞いた。


「……仲間にならない?」


兄妹は、顔を見合わせる。


しばらくして、兄が言った。


「……命の恩人だ……

 お前らについていく」


でも、表情が曇る。


「……すまないが……

 魔石の確保から、協力してくれ……」


さっきの竜人の魔石を、

取り逃したらしい。


僕は、少し自慢げに袋を開けた。


「……これ、余ってる」


獣人兄妹は、ぽかんとした顔をした。


「……助かる……」


そう言って、頭を下げる。


僕たちは、笑った。


いい仲間が、増えた。


試験は、まだ続く。


そして。


竜人ノルディスは、確実に動いている。




「おい、生きてるか?」


土煙の中から首を軽く捻りながらでてきた竜人


「派手にやられたね」


「だまれ!」


「くそ、獣人の仲間か」


「いや、お前に蹴りをくれたのは獣人じゃねえぞ」


2人の竜人は疑問を浮かべている


ノルディスの口元は緩んでいた


(やっと会えたぞ人間!)



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