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ハンターランキング2位のエルフに憧れてハンターになったら人間が1人もいなかった  作者: F.R


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第7話 新しい仲間

南の森が、赤く染まっていた。


いや、赤じゃない。

黒い炎だ。


空気が歪み、木々が軋む。

近づくだけで、肌がひりつく。


「……ノクティア!」


僕は叫びながら、駆け込んだ。


そこにいたのは

地面に倒れ伏すエルフたちと、

黒炎をまとったノクティア。


目が、いつもと違う。


優しいはずの瞳が、

怒りで濁っていた。


「……許せない……」


ノクティアの声は、低く震えている。


「ルークを……馬鹿にした……」


黒炎が、さらに強く揺らめいた。


このままだと

本当に、取り返しがつかなくなる。


僕は、必死に前に出た。


「ノクティア! 大丈夫だ!」


叫ぶ。


「もう終わった! 力を収めろ!」


一歩、また一歩。


「ここには、敵しかいないわけじゃない!」


ノクティアの視線が、僕を捉える。


揺れる。

迷う。


でも、まだ怒りが勝っている。


「……でも……!」


「聞いてくれ!」


僕は、腹の痛みを無視して手を伸ばした。


「僕は大丈夫だ!」


その言葉に、ノクティアの黒炎が、わずかに揺らいだ。


倒れているエルフたちは、完全に怯えていた。


誰も、立ち上がれない。


僕は、彼らに向かって言った。


「魔石を置いて、ここから去れ」


「これ以上、戦う必要はない」


しばらくの沈黙。


やがて

一人が、震える手で魔石を投げ捨てた。


次々と、地面に落ちる魔石。


エルフたちは、何も言わず、森の奥へ逃げていった。


その背中を見送る頃には、

ノクティアの黒炎は、ゆっくりと消えていった。


いつもの

泣き虫で、優しいノクティアに戻る。


「……ルーク……」


声が、震えている。


「……あんなこと……言われて……」


今にも泣き出しそうだった。


僕は、黙ってノクティアの頭を撫でた。


「もういい」


「大丈夫だ」


ノクティアは、しばらく何も言わず、

そのまま俯いていた。


泣き止むまで、

僕はただ、撫で続けた。


その時

ノクティアが、僕の腹を見て目を見開いた。


「……っ!?」


「ルーク……それ……!」


腹の傷。


血が滲んでいる。


「だ、大丈夫……」


と言いかけた、その時。


「……わ、私……治せます」


小さな声。


振り向くと、

一人のエルフの女の子が立っていた。


ノクティアが、さっき助けた子。


彼女は、震えながらも近づいてくる。


「戦うことは……できないけど……」


そう言って、両手をかざした。


柔らかな光。


温かい。


傷が

みるみるうちに、塞がっていく。


腹の痛みが、消えていく。


「……すごい……」


こんな治癒魔法、見たことがない。


彼女は、ノクティアにも同じ魔法をかけた。


背中の火傷も、綺麗に消えていく。


相当な手練れだ。


彼女は、涙を溜めてノクティアを見た。


「……ごめんなさい……」


「私のせいで……」


ノクティアは、一瞬驚いたあと、

いつもの笑顔で言った。


「……大丈夫だよ」


「もう、終わったから」


その笑顔に、彼女は泣き崩れた。



日が沈み真っ暗な世界


とりあえず、草木を集め、

簡単なテントを作る。


「……懐かしいな」


僕が言うと、ノクティアが少し笑った。


「……修行で……森に籠もった時……」


こんなふうに草木を使ってテントを立てた


思い出して、自然と笑い合う。


エルフの女の子は、

少し照れながら名乗った。


「……ルーシィ……」


とても可愛い子だ。


(……守りたいな)


そんなことを考えて、

思わずニヤニヤしてしまう。


すると

ノクティアが、少し頬を膨らませた。


「……なに」


「いや、別に」


誤解しないでほしい。

僕とノクティアは男同士だ。

そういう関係じゃない。


ルーシィは、僕たちと組むことになった。


ヒーラーがいるのは、正直ありがたい。


魔石を数える。


十七個。


一次試験は、3人とも通過できる


あと二日、耐えればいい。


星が、綺麗だった。


三人で空を見上げながら、

静かに眠りについた。



一方、その頃


試験は、大きく動いていた。


森の奥。


「うぅっ」


「ドサッ」


「……そろそろ、動くか」


竜人--ノルディス


その周囲には、同族の集団。


すでに、三人のドアーフが地面に転がっていた。


体は、ボロボロ。


「……弱いな」


ノルディスが、冷たく言う。


「今日、人間と絡んでなかったか?」


ドアーフたちは、答えられない。


「ダークエルフ如きにやられるような奴は、

 ハンターにはなれない」


「せいぜい、剣でも作ってろ」


そのまま、ドアーフたちは気を失った。


ノルディスは、空を見上げる。


「……あの人間を探せ」


竜人たちが、動き出す。



翌朝。


「……ん……?」


顔に、柔らかいもの。


いい匂い。


目を開けると

胸だった。


「……え……?」


ルーシィのものだ。


「!?!?」


慌てて起き上がる。


顔が、熱い。


(な、なんて乱暴なんだ……!)


こんな幼いのに……。


その物音で、ノクティアとルーシィが目を覚ました。


二人とも、ぼーっとしている。


何事もなかったように、僕はパンを頬張る


そのあと、


「作戦を立て直そう」


「魔石を持ってない人は、出口で待ってるはずだ」


「無駄に戦う必要はない」


「……仲間を増やす?」


すると、ルーシィが言った。


「……私……仲間がいるの」


「試験が始まって……

 謎のエルフに、風で飛ばされちゃって……」


僕とノクティアは、顔を見合わせる。


「……探したい」


ルーシィの声は、必死だった。


ノクティアが、静かに頷く。


「……行こう」


僕も、頷いた。


「探そう」


三人は、森へ踏み出した。


ルーシィの仲間を探すために。



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