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ハンターランキング2位のエルフに憧れてハンターになったら人間が1人もいなかった  作者: F.R


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第11話 二次試験開始


二次試験当日


会場は、一次試験とは比べ物にならないほど整っていた。


円形の巨大な闘技場。


観客席には、すでに多くの関係者やハンターたちが集まっている。


空気が、張り詰めている。


七十五人。


ここまで残った者たちだけが、ここに立っている。


中央に、天使属が現れた。


白い翼がゆっくりと広がり、

その頭上に、光の板が浮かび上がる。


「これから二次試験を始める」


淡々とした声。


光の板が、空中で展開される。


対戦表


僕とノクティアは、並んでそれを見上げた。


(……僕は……)


指でなぞるように目を走らせる。


あった。


ルーク・ドレイク

 vs

 ダゴン・マルク


「……ダゴン?」


聞いたことがない。


「……ドアーフっぽい名前だな」


僕が呟くと、ノクティアが少しだけ頷いた。


「……そうかも」


次に、ノクティアの名前を見る。


ノクティア

 vs

 サラ・エルメール


「あ……」


思わず声が出た。


ルーシィの仲間。


ドアーフから僕たちを助けてくれたエルフ。


ノクティアは、露骨に不満そうな顔をした。


「……よりによって……」


「まあまあ」


僕は苦笑する。


「エルフとダークエルフ、どっちが強いのか……ちょっとワクワクしない?」


ノクティアが、じとっと僕を見る。


「……しない」


少し間を置いて、真面目な声。


「ルーシィには悪いけど……

 私は、ハンターにならないといけない」


「……全力で、行く」


その言葉は、迷いがなかった。


「一回戦、まもなく開始」


場内アナウンスが響く。


「一回戦の試合、見に行こう」


僕が言うと、ノクティアは小さく頷いた。


観戦エリアへ移動すると、


見知った顔が集まっていた。


「ルーク!」


元気な声。


ルーシィだ。


その隣には、サラ。


「よう」


獣人の兄、ラビ。


妹のルビも、ぴょんと軽く手を振る。


「昨日はありがとう」


「助かったよ」


「いえ……こちらこそ……」


他愛もない会話。


でも、ノクティアとサラの間だけ、

微妙な空気が流れている。


お互い、目を合わせない。


(……まあ、そうなるよな)


一騎打ち。


どちらかが、負ける。


一回戦目の試合が始まった。


エルフ vs ドアーフ。


「これは、いい組み合わせだな」


僕は思わず前のめりになる。


ドアーフは、巨大な斧を構えている。

対するエルフは、細身で、魔力を練っている。


戦いが始まる。


重い一撃。


魔法の迎撃。


単純な力比べじゃない。

間合い、読み、判断。


「……勉強になる……」


僕が呟くと、ルーシィが得意げに頷いた。


「実はね、種族にはちゃんと“位”があるの」


そう言って、説明を始める。


「まず、竜人」


ルーシィは、指を一本立てた。


「竜人は、こめかみに鉱石があるの」


「色で位が分かるんだよ」


「下から、透明・緑・赤・黒」


「ほとんどの竜人は、一生同じ色で終わるけど……

 まれに、進化する者もいる」


僕の脳裏に、あの姿が浮かぶ。


「……ノルディスは?」


「赤」


ルーシィは即答した。


「かなり、強いよ」


次に、指を二本。


「エルフは、体から出る魔力の色」


「下から、緑・黄・赤・黒」


「私は、緑」


そう言って、少し照れる。


「サラは……」


ルーシィは、ちらっとサラを見る。


「……よく分からないの」


サラは、何も言わず微笑むだけだった。


三本目の指。


「獣人には、はっきりした位はないよ」


「でも、獣化で一気にパワーが上がる」


「鍛錬を極めた人だけが、その境地に行けるの」


ラビとルビが、静かに頷く。


「獣の種類でも、強さは違う」


「肉食系は、基本的に強い」


「それを超える

 獣神化っていう伝説もあるけどね」


ラビが、苦笑した。


「まだ、誰も見たことない」


四本目。


「ドアーフ」


「人間より大きくて、力も強い」


「でも、他の種族と正面からやり合うのは難しいって言われてる」


「その代わり、武器作りは一流」


「腕は、ほんとにいいんだよ」


最後に、五本目。


「人間」


ルーシィの声が、少し小さくなる。


「……基本的に、弱い」


「他の種族に比べて、圧倒的に」


胸が、少しチクっとした。


「でもね」


ルーシィは、すぐに続けた。


「人間は、多種族と子孫を作れる」


「いわゆる……ハーフ」


「でも、多種族は“純潔”を残したがるから……」


「半純潔なんて、ほとんど考えない」


説明を終えたルーシィは、

なぜか、僕の顔をじっと見た。


そして、首を傾げる。


「……あれ?」


「ルークさんって……」


少し間を置いて、

何でもないことのように、言った。


「ハーフじゃないんですか?」


その瞬間。


時間が、止まった気がした。


「……え?」


自分の声が、やけに遠く聞こえる。


ノクティアが、

はっとしたように僕を見る。


サラの視線が、鋭くなる。


ラビとルビも、口を閉じた。


「……どういう、意味?」


僕は、笑おうとした。


でも、うまく笑えない。


「……いや……」


喉が、乾く。


「……僕は……」


その先の言葉が、出てこなかった。


天使属の声が、場内に響く。


「次の試合」


「ノクティア vs サラ・エルメール」


名前が呼ばれる。


ノクティアが、ゆっくりと立ち上がった。


一瞬だけ、

僕を見る。


何か言いたそうで、

でも、何も言わずに。


闘技場へ向かっていった。


僕は、その背中を見送りながら、

胸の奥に残る違和感を、

どう処理すればいいのか分からなかった。


(……ハーフ……?)


そんなはず、ない。


そう、思っていた。


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