第3話:封印の村
車の窓越しに、森を抜けた先の小さな村が見えた。
古い屋根瓦と石畳の道、静まり返った空気。翔子は息を飲む。
「…ここが、文献に書かれていた村?」
ロンは運転席で地図を確認しながら頷く。「古文書通りの場所だ。だが、住民の反応は慎重に観察する必要がある」
村に入ると、微細な違和感が漂う。道端の井戸、家々の壁のひび割れ、畑に残された古い文様――すべてが過去の痕跡を示していた。
翔子はメモを取りながら、文献と現地の証拠を照合する。「ここに残る印…過去事件の関係者が使った符号かもしれない」
ロンが足元を指さす。小さな砂文様のような痕跡が、石畳に沿って残っていた。
「足跡もある。過去に誰かが意図的に配置したものかもしれない」
翔子は息を整え、地面に跪く。指先で跡をなぞりながら、頭の中で理論と直感を組み合わせる。
「小さな証拠でも、全体をつなげれば真実が見える」
遠くの家の影に、微かに人影が揺れる。
「…誰か見ている」翔子の声は静かだが緊張感を含んでいた。
ロンは視線をその方向に固定する。「警戒しろ。過去の事件は、まだこの村に影を落としている」
村の奥深くに進むにつれ、古文書に書かれた記号や道筋と現地の景観が一致し始める。
翔子はペンで地図に線を引きながら、心の中でつぶやく。「この村の秘密…核心に近づいている」
静かな村に漂う風と影の中で、翔子とロンの探求心は、過去の封印された事件を解き明かす第一歩を踏み出した。




