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第1話:封印された記憶
都市の博物館に漂う埃と石材の匂い。翔子は展示ケースの古文書に手をかけ、ページをめくった。
「…この伝承、初めて目にするわ」
文字は整然としているが、意味は深く、現場調査の経験だけでは読み切れない。
ロンは展示室の端で、古代の遺物をじっと観察していた。
「文献と現物、両方を確認すれば、過去の事件の痕跡が見えてくる」
翔子は頷き、指先で文字をなぞりながら、微細な矛盾を見つける。
「ここに書かれている伝承…現代の地図とは違う場所を示している」
ロンは眉をひそめる。「つまり、誰かが意図的に隠したか、記録が歪められたか」
館内の照明が古文書の紙面に反射し、文字が淡く浮かび上がる。
翔子は息を整え、心を集中させる。「小さな矛盾も、見逃さない」
遠くの展示室の陰に、微かに動く影。
「…また、誰かが見ている」
ロンの目が鋭く光る。「注意しろ。過去の事件には、未だ現代に影響を与える者がいる」
翔子はペンを握り直し、古文書に書かれた地図と矛盾箇所を丁寧にメモする。
「過去の事件も、証拠を繋げれば真実に近づける」
博物館の静寂の中、二人の心理と直感は、過去の謎を解く冒険への第一歩を踏み出していた。




