54話 兄妹の絆 兄と妹としての確かな心の繋がり。
村に夜がやってくると、シオンの家の窓辺にはほのかな灯がともる。
ミリィは毛布にくるまり、小さな手で炭火にあたっている。 シオンは隣に座り、鍬で荒れた手をこすり合わせた。
「ねえ、お姉ちゃん、ここにいていいの?」
「昔、二人で森を忘れたの覚えてる?」
「覚えてる。お前が木から落ちながら、俺が必死で頑張って伸ばしたよな」
ミリィの言葉に、シオンは優しく優しいむ。その笑みは、過去の痛みをも包み込むような温かさ。
炭火の揺れる影の中、ミリィがそっと問い掛けた。
「おまえ、昔、一度だけすごく遠くに行っちゃったよね……あの時、私、泣いた」
「ずっとひとりじゃなかった?」
「いや……仲間はいたよ。でも、心から頼れる人は一人もいなかった。本当に強くなれるのは、そばに君がいる時だけだ」
「それでは、私も強くなります。お兄さんのそばにいるって決めたから」
二人は夕食の残りのパンとチーズを分け合いながら、大切な言葉を交わす。
「ひとりで頑張らなくていいんだよ。つらい時は絶対に助けてね」
「それでもね、私もお兄さんを守る。役に立ちたいんだ」
暖かい火のそばで、たがに寄り添う映像はどこまでもゆったりと伸びていました。
翌朝、二人は畑へ出る。シオンが鍬を振り、ミリィが苗を植える。
「何をしていても、お弟と一緒が楽しい」
「いつか、この村で一番の畑を作ろう!」
子供たちが寄ってきて、「お兄なら一緒、土いじりもどうってことない!」とミリィは鼻高々。シオンも、「妹がいるから頼もしい」と堂々と戻ってくる。
ある日、ミリィは失敗して苗を台無しにしてしまう。
「ごめんなさい、うまくできませんでした……」
「でも……」
「でもじゃない。失敗も一緒に乗り越えるために、兄妹なんだから」
ミリィは涙目になりながらも、シオンの手をしっかりと握り返す。
祭りの日、二人は打ち上げの準備を手伝い、夜になれば焚火を囲んで肩を並べて座る。
「本当にここに来てよかった」
「俺もだ。君がそばにいるから、どんな未来でも怖くない」
「これからもずっと一緒だよね?」
「ああ、一緒だ。何があっても、俺たちは兄妹だ」
星空の下で出会ったささやかな約束が、二人の心に揺るぎない絆として刻まれていく。
いつか、村の水車小屋で子供たちがふざけて水をこぼし、流れが途中で終わった。 ミリィも巻き込まれ、かなり果てた様子。
シオンが現れ、ミリィの背をそっと支える。
「謝ろう、一緒にや。何も一人で背負おうなんてことはない」
ミリィは泣き出しそうな顔でうなずき、一緒に村長や皆に謝る。 村の大人たちは「次から気をつければいいさ」と優しく応じる。
「お次と一緒なら、こわくない」
家事をしていてシオンが感謝を忘れると、「私はお手伝いじゃないもん!」と向き合ってそむける。
「ごめん、ちょっとついてて……」
「ちゃんとお姉ちゃんに覚えててほしいもん」
「わかった。感謝の気持ちは忘れない。君がいるから頑張れるんだ」
素直に謝る兄に、ミリィは照れながら微笑む。
「怒ったの、すぐ消えちゃった。お姉ちゃんの『ありがとう』が一番好き」
畑仕事の合間、兄妹で村人の手伝いを続けています。
「ミリィちゃん、きゅうりの苗上手になったなあ」
「シオン君、今年は味がいい作品が多いね」
「兄妹がいると、毎日が楽しいね!」と笑い合い、仕事も遊びも協力して進んでいきます。
村長が声をかける。 「二人はまるで昔からこの村にいたみたいだ」
「そうかもね」とシオンは肩に手をかけて戻ってくる。 「ここで住んで決めたから、家族でがんばります」
嵐の夜、物置小屋が壊れてしまった時も、ミリィは泣いてしまう。
シオンが手を取り、蛇行した屋根に一緒に板を打ち付けながら言う。
「失敗も大事だ、兄妹なら分け合える。お前の涙も前の強さに変わったんだ」
ミリィは涙を拭いて微笑む。
収穫祭の日、兄妹はパンと果物を言い合い、焚き火を囲んで歌い踊る。周囲の笑顔、継がれる会話、すぐ隣にある安心感。
「おっ、ここにいてよかった?」
「もちろんだ。君とこうして毎日を過ごすことが、一番の幸せだよ」
「それでは、ずっと一緒にいようね」
「約束だ。未来も、悩みも、喜びも、全部二人で支え合おう」
夜空を抱えながら、ミリィがそっと呟く。
シオンが隣で同じ星を見つめる。
兄妹の手は静かに重なり、受け止めの温かさの中で、二人は確かな絆を育んできた。




