53話 シオンとの再会 村のエントリーでシオンと偶然出会った。さとう戸惑いが入る表情。
秋の朝。小ぶりな雲と黄金色の陽射しが村を包む。エルデン村の入り口。石造りの標石が静かに立って、村の境界――そこにひとりの少女が立ち尽くしていた。
ミリィは、何度も深呼吸して気持ちを落ち着かせようとしていた。 リュックの紐を握りしめ、朝露に濡れた草の匂いをしみじみと感じる。
「ここまで、ほんとうに来たんだ。お隣、見つけられるかな……」
小さな決意が、心臓の鼓動を一つ早める。
村の道にはまだ誰の姿もなく、空は青い。
「……あれ?」
畑道から静かに歩いてくる男の影。 背が高く、少し猫背気味。
「あ……お兄ちゃん……?」
シオンは足を止め、開く。まさかここで再会するとは思っていなかった彼の顔に、戸惑いが眺め。
「ミリィ……? なんで、ここに……!」
二人の葛藤が空気の中にぶつかり、過去と今、これからの記憶と今の現実が交錯する。
「お兄、本当にお兄だよね?」
ミリィは少し泣きそうな声。
「お前……お前、どうやってここに?」
「ずっと歩いてた。ずっと……会ってたから」
「無事だったのか……本当に……」
シオンは安堵と驚き、それに強い戸惑いを隠せずにいる。
「お兄ちゃんのこと、ずっと探してた。だから、嬉しい……のに、なんか涙出そう」
「ミリィ……ごめん、ずっと連絡もできなかった。ここで暮らしてるなんて、思いもしなかったろ」
「でも、ぜんぜん寂しくなかった。夢の中で、お兄ちゃんの声が聞こえなかったから」
シオンは目を伏せ、迷いと喜びが気づいた複雑な表情を浮かべる。
「たくさん苦労したろう。あなたのこと、守ってやれなくて……」
ミリィが少ししかと、シオンはほんの少しだけ後ずさった 。
「大きくなったな……ほんとに」
「お兄こそ、なんか変わった。前よりずっと優しそう」
二人はぎこちなく笑って。でもその中には、近い将来の確かな温もりと、もう一度やり直せる希望が灯っていた。
「村のみんなは優しい?」
「うん。美味しいパンも食べたし、川もきれいだった」
「そうか……よかった。大変だったろうが、よく来てくれた」
「でも、ちょっとだけ怖かった。夜道とか、一人で歩くの」
「……また一緒に暮らしても、いいの?」
「もちろんだよ。君を守る。それがまたやり直しだ」
ミリィは小さくうなずき、シオンと並んで村の道を歩き始めます。その背中を、朝焼けが優しく照らした。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「わたし、この村でたくさん冒険したい。一緒にいろんなことやろうよ」
「ああ、そうしよう。もう遠くへ行く必要はない。ここで始めよう」
二人の歩みに、「始まり」の鐘が心の奥で響きます。
村の入り口で兄妹が肩を並べて歩く姿は、すぐに村人の目に留まった。子供たちが遠巻きに
「新しい子来たの?」
「あのお姉ちゃんの家族かな?」
とさやき、農婦たちが微笑ましく見守る。
パン屋ノルの妻マルタが、手をふりながら声をかける。
「ミリィちゃん、シオンさんに会えたね。よかったね」
「はい!お姉ちゃんと一緒なんです!」
その元気な遮光に村の空気が和らぎ、誰もが二人を「家族」として自然に受け入れられ始めます。
シオンは、村人の優しい視線とミリィの笑顔を受け入れながら、自分の中に戸惑いと喜びが感じていた。
「お前……本当に一人でここまで来たのか?村まで長ろうかった」
「何か困ったことはなかった?」
「ぜんぜん!パンももらったし、川もきれいだったし、村人もみんな優しいの」
その無邪気さに、シオンは胸の奥がじんわりと優しくなる。
二人は村の共同井戸まで歩き、水を汲む村人たちに出会う。シオンが知る農夫にミリィを紹介する。
「妹です。遠くから歩いてきました」
「それはすごい元気だ!この村でゆっくりしていくといいよ」
ミリィは「何でも手伝います!」と小さな声で宣言する。農夫たちが笑い、子供たちも興味津々で近寄る。
シオンは心の底で「これが普通の家族の風景なんだな」と静かに噛みしめていた。
リアナが自らパンを届けに二人のもとへ。
「ミリィちゃん、たくさん食べてね。お兄さんも一緒にどう?」
「いいんですか?じゃあ、私がみんなの分も移動します!」
「頼もしいな。君がいるだけで、村全体が明るくなる気がするよ」
夕暮れ、シオンの家の前で二人は肩を並べて座っていた。 秋の風が静かに吹く。
「お兄、ここにいると不思議に安心する」
「そうだな。君が来てくれて、本当に嬉しい」
「これから思い出たくさんつくろうね」
「ああ、君となら、どんな日でもコメディーになるそうだ」
「家族」としての温もり、共に過ごす日々の確かさが、二人の心の癒しになっていく。 村の夕焼けが新しい毎日への出口を、優しく照らしていた。




