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賞金稼ぎガビの冒険  作者: 秋山春
第二章 カボチャ泥棒
6/14

6話




 ガビとエレナは、ポルユスに入ったのとは違う門から外へ出た。こちらの門兵は元気いっぱいで、「よい旅を!」と満面の笑みで見送ってくれた。


 兵士の話によればウレッケという村はこの道をまっすぐいけばすぐに見えてくるらしい。


 ガビはエレナの横に並んで歩くと、気になっていた事を聞いた。


「どうして急に賞金稼ぎの仕事に連れて行ってくれるの?」


 これまで何度お願いしてもダメと言われてきたのだ。料理を手伝ったり、家中を掃除してからもう一度お願いしても取り付く島もなかったというのに。


「あなたが強くなったからよ。基礎はもう十分。あとは実戦あるのみ。ここから先は命をかけなきゃ成長できないわ」


 ガビは言葉が出なかった。


 これから命をかけた実戦が始まるのだ。

 真剣を使った安全な修行でさえ、最初は膝が震えるほど怖かったというのに……不安で胸が張り裂けそうだった。


 ようやく憧れの賞金稼ぎの世界に一歩踏み込んだというのに、命がけだと改めていわれると、どうしても嬉しさより恐怖が勝ってしまった。


「怖いの?」


「そりゃあ……怖いよ。でも平気さ」


 ガビは強がってなんでもないように言った。

 

「強がらなくていいのよ。恐怖はとても大切な感情だから。でも賞金稼ぎを目指すなら乗り越えなくちゃね」


 ガビは大きく頷いた。



2



 ウレッケに着いたのはそれからすぐの事だった。

 村の周りを木の柵で囲っているが、ポルユスと違って何からも守れそうにないほど粗末で頼りない。


 ウサギやネズミなら隙間を通れるし、イノシシなら体当たりすれば壊せそうだった。


 怪物相手なら、きっとこんな柵はあってないようなものだろうな、とガビは思った。


 村の入り口には、はげ頭でヒゲをもじゃもじゃに蓄えたガリガリの男がいた。木の箱に座ってタバコをふかしている。


 男はガビとエレナを見つけると、柵に立てかけていた草を集める大きなフォークを手にとった。


「何か用かい」


「怪しい者じゃないわ。カボチャ泥棒を退治しに来たの」


 エレナは紙を取り出して見せた。

 男は「ほう」と目を丸くして、それからガビを見た。


「子連れの賞金稼ぎとは珍しい。まあそんな事はどうでもいいな。おれが依頼したアントンだ。このちっぽけな村の長を任されてる。さぁついて来てくれ。畑に案内する」


 警戒していた割にやけにあっさりしているんだなと思いつつ、ガビはエレナと一緒に男の後ろをついて行った。


 道中、村人たちにジロジロ見られて居心地が悪かった。ガビを見てヒソヒソ話をしている。ガビは、なるべくエレナにくっついて歩いた。


「気にしないでくれ。よそ者にはああなんだ。小さな村はどこも一緒さ」


 アントンはニカっと笑いながら言った。

 前歯が一本なかった。


 村の一番奥まで行くと、ガビの家の裏庭くらい大きな畑があった。たくさんあるお皿みたいな葉っぱの下はカボチャだらけだった。


「これを見てくれ」


 柵のそばの畑の土が踏み荒らされたようになっていた。


 小さな足跡がある。ガビの知るどの動物の物とも違った。一番似ているのは子どもの足あとだろうか。


「小鬼の足あとね」


 エレナがいった。

 

「そうだとも。奴ら、昼夜問わずやって来ておれのカボチャを盗んでいきやがるんだ。まったく腹立たしいったらない」


 アントンは鋭い目で柵の向こうの森を睨みつけた。

 ガビもつられて森を見た。小鬼がいるのを知ってるからか、なんだか不気味に見えた。


「小鬼は毎日来るの?」


 ガビが尋ねると、アントンは「いいや」と首をふった。


「数日おきにやってくるんだ。人のカボチャで楽しくパーティでも開いてるんだろうさ」


「それじゃ、小鬼が来るまでこの村で待ってなきゃいけないんだ」


 ガビは建物のかげからこちらを覗いている村人達を見た。ここで数日過ごすのは心底嫌だと思った。


「そんな無駄なことしないわよ」


「どうするの?」


「足あとが森の方まで続いているでしょう?」エレナが言った。


「追いかけるの?」


「痕跡の見つけ方、追跡の仕方、怪物の特性、たくさんお勉強したわよね。実践と行きましょうか」


 


 

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